三井物産の強みとは:鉄鉱石などの金属資源とLNGなどのエネルギーで、純利益の約半分を稼ぐ総合商社。2026年3月期の純利益は8,340億円(−7.4%)。機械・インフラは持分法の利益が大きい。ホルムズ海峡の通航制限も経営環境に
三井物産を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日)で分析しました。収益13兆9,952億円(−4.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益8,340億円(−7.4%)、ROE10.2%、持分法による投資損益4,474億円。セグメント別の当期利益は金属資源2,536億円、機械・インフラ2,259億円、エネルギー1,642億円、化学品675億円、次世代・機能推進590億円、生活産業520億円、鉄鋼製品189億円で、金属資源とエネルギーで7セグメント合計の約50%。会社は、年度末に中東情勢の悪化でホルムズ海峡の通航制限が起き、エネルギーなどの供給途絶が発生したとしています。2027年3月期は純利益9,200億円・年140円の予想。2026年4月にセグメント名を変更。三菱商事・伊藤忠商事との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男三菱商事、伊藤忠と見てきたけど、三井物産はどんな特徴があるの?

メル美「資源に強い」ってよく聞くよ。本当かどうか、数字で見てみたい
企業分析の連載、20社目は三井物産です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日)で確認しました。比較には、この連載の三菱商事の強みとは・伊藤忠商事の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、三井物産株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
鉄鉱石・原料炭などの金属資源と、LNGなどのエネルギーに強い総合商社。機械・インフラなどでも出資先からの利益を稼ぐ
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 収益 | 13兆9,952億円 | −4.6% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 8,340億円 | −7.4% |
| うち持分法による投資損益 | 4,474億円 | 前期 4,941億円 |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 10.2% | 前期 11.9% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 42.1% | 前期 44.9% |
| 配当 | 年115円(配当性向39.5%) | 前期 100円 |
2. 何で稼いでいるか
決算短信のセグメント情報(2026年3月期、親会社の所有者に帰属する当期利益)です。
| セグメント | 当期利益 | 前期 | 7セグメント合計に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 金属資源 | 2,536億円 | 2,854億円 | 30.2% |
| 機械・インフラ | 2,259億円 | 2,329億円 | 26.9% |
| エネルギー | 1,642億円 | 1,735億円 | 19.5% |
| 化学品 | 675億円 | 759億円 | 8.0% |
| 次世代・機能推進 | 590億円 | 873億円 | 7.0% |
| 生活産業 | 520億円 | 537億円 | 6.2% |
| 鉄鋼製品 | 189億円 | 132億円 | 2.3% |
- 金属資源とエネルギーで約50%。資源の比重が大きいことがわかります
- 機械・インフラは、持分法による投資損益が2,398億円と大きく、出資先の利益で稼ぐ形です
- 2026年4月1日から、機械・インフラは「モビリティ・デジタル・インフラ」、生活産業は「ウェルネスエコシステム」、次世代・機能推進は「イノベーション&コーポレートディベロップメント」に名前が変わりました
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 資源の稼ぐ力
- 金属資源とエネルギーで純利益の約半分。基礎営業キャッシュ・フロー(会社が重視する、事業から生まれる現金の目安)も、金属資源3,304億円、エネルギー2,620億円と大きい
② 出資先からの利益
- 持分法による投資損益は4,474億円で、純利益の半分以上にあたります。機械・インフラでは2,398億円
③ 株主還元の方針
- 年間配当は100円→115円、2027年3月期は140円の予想
4. 弱み・リスク
① 資源価格
- 資源の比重が大きいため、鉄鉱石・原料炭・ガスなどの価格で利益が大きく動きます(→原油価格を動かすもの)
② 中東情勢
- 会社は経営環境として、年度末にかけて「中東情勢の悪化によるホルムズ海峡の通航制限を受けて、エネルギーなどの供給途絶が発生し、減速感が急速に高まりました」と書いています
③ 減益のセグメントが多い
- 7セグメントのうち6つが減益。次世代・機能推進は持分法の投資損益がマイナス192億円でした
④ 米国の関税・中国経済
- 会社は、米国の関税政策による下押しや、中国の内需の不振も挙げています
5. ライバルとの比較
総合商社3社を比べます(すべてIFRS・2026年3月期)。
| 三井物産 | 三菱商事 | 伊藤忠商事 | |
|---|---|---|---|
| 親会社に帰属する当期純利益 | 8,340億円(−7.4%) | 8,005億円(−15.8%) | 9,003億円(+2.3%) |
| ROE | 10.2% | 8.5% | 14.6% |
| いちばん大きいセグメント | 金属資源(2,536億円) | 金属資源(2,045億円) | 機械(1,556億円) |
| 2027年3月期の純利益の見通し | 9,200億円 | 1兆1,000億円 | 9,500億円 |
- 三井物産と三菱商事は金属資源が最大、伊藤忠は分散型という違いがあります
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
三井物産の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 金属資源・エネルギーの当期利益 | 2,536億円・1,642億円 | 決算短信(セグメント情報) |
| 持分法による投資損益 | 4,474億円 | 決算短信のサマリー |
| 基礎営業キャッシュ・フロー | 9,789億円 | 決算短信(セグメント情報) |
| ROE | 10.2% | 決算短信のサマリー |
| 純利益の見通しと配当 | 2027年3月期 9,200億円、年140円 | 決算短信 |
- 2027年3月期からはセグメントの名前と範囲が変わるので、前の年と比べるときは修正再表示の数字を使います
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美同じ総合商社でも、三井と三菱は資源、伊藤忠は分散。中東や資源のニュースへの反応も変わりそうだね
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金・銅の鉱山を持つ会社は住友金属鉱山の強みとはへ。
まとめ
- 三井物産は、金属資源とエネルギーで純利益の約半分を稼ぐ総合商社
- 2026年3月期の純利益は8,340億円(−7.4%)、ROE10.2%
- 持分法による投資損益が4,474億円と大きい
- リスクは資源価格、中東情勢(ホルムズ海峡)、米国の関税・中国経済
- 2027年3月期は純利益9,200億円・年140円の予想
参考文献
- 三井物産. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/library/meeting/pdf/ja_263_4q_ta.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 三菱商事. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結). https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/earnings/pdf/202605j.pdf (閲覧日:2026年10月7日)
- 伊藤忠商事. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www.itochu.co.jp/ja/ir/financial_statements/2026/__icsFiles/afieldfile/2026/05/01/26_ended_01.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。