原油価格を動かすもの:需要(中国などの成長・景気)、供給(OPECプラスの減産・米国のシェールオイル)、地政学リスク。2020年4月にはWTIが一時マイナス価格に。日本が輸入する原油の多くはホルムズ海峡とマラッカ海峡を通る
原油価格が何で動くのかを、資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」第2章第2節「一次エネルギーの動向」でまとめました。代表的な指標はWTIやブレント。世界の石油消費は1973年の5,606万バレル/日から2023年には1億22万バレル/日になり、非OECD諸国のシェアは25%から55%に拡大。2022年の石油消費の63%は輸送用です。供給では、2016年に15年ぶりの協調減産で「OPECプラス」が生まれ、米国はシェール革命で2023年に過去最高の生産。価格は、2008年の世界金融危機、2014年夏以降の供給過剰、2020年のコロナ禍(4月にWTIが一時マイナス)、2022年のロシアのウクライナ侵略などで大きく動きました。投資する方法と注意点も。売買をすすめるものではありません。

プレ男ガソリン代が上がったり下がったりするのって、原油の値段のせい? 原油の値段は誰が決めてるの?

メル美ニュースで「OPECプラスが減産」ってよく聞くけど、それで値段が変わるのかな
今回は、原油価格を動かすものです。資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」第2章第2節「一次エネルギーの動向」で確認しました。
この記事はしくみの説明です。原油や関連する商品・株の売買をすすめるものではなく、価格の予想もしません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
原油価格の「ものさし」
- 北米市場の代表的な指標原油はWTI原油(West Texas Intermediate)、欧州市場の指標はブレント原油です
- ニュースで「原油価格」というときは、多くはこのどちらかの先物価格を指します
① 需要:誰がどれだけ使うか
- 世界の石油消費は、1973年の5,606万バレル/日から、2023年には1億22万バレル/日に増えました
- OECD諸国の消費は、自動車の燃費改善や気候変動対策などで2005年をピークに減少傾向
- 非OECD諸国の消費は、1973年の1,421万バレル/日から2023年の5,549万バレル/日へ。世界の消費に占めるシェアは25%→55%に拡大しました
- 2022年の世界の石油消費の63%は輸送用(自動車など)です
→ 中国やインドなどの景気、世界の景気後退への懸念は、原油価格を動かす大きな要因です
② 供給:誰がどれだけ掘るか
OPECとOPECプラス
- OPEC(サウジアラビア、イラン、イラク、クウェート、UAE、ベネズエラなど)の、世界の原油生産に占めるシェアは、1990年代以降40%前後です
- 2016年11〜12月、OPECと非OPEC産油国が15年ぶりの協調減産に合意し、参加国は「OPECプラス」と呼ばれるようになりました
- 2020年のコロナ禍では970万バレル/日というかつてない規模の減産で合意。2022年11月からは200万バレル/日、2024年1月からは291万バレル/日の協調減産。さらに一部の国が自主減産を行いました
米国のシェールオイル
- 米国はシェール革命で生産を拡大し、2023年には生産量が過去最高になりました
- 2014年夏以降は、米国などの増産と、シェア確保を重視したOPECの増産で供給過剰になり、価格が急落しました

メル美産油国が掘る量を減らせば値段は上がりやすく、増やせば下がりやすい。でも米国のシェールもあるから、思いどおりにはいかないんだね
③ 地政学リスクと輸送ルート
- 2022年2月のロシアによるウクライナ侵略などで、原油価格は同年3月に急上昇しました
- 2023年以降も、イスラエル・パレスチナ情勢や、イスラエルとイラン・フーシー派・ヒズボラの間の中東情勢の緊迫化が、短期的な上昇要因になりました
- 日本を含む東アジアの国は、中東から輸入する原油の大半がホルムズ海峡とマラッカ海峡の2つの「チョークポイント」(狭い海峡)を通るため、輸送のリスクが高いと資源エネルギー庁は分析しています
価格はこう動いてきた(資源エネルギー庁)
| 時期 | 出来事 | 価格 |
|---|---|---|
| 2000年代半ば〜 | 中国など非OECD諸国の需要急増 | 上昇 |
| 2008年 | 世界金融危機で需要急減 | 急落 |
| 2010年代前半 | 世界経済の回復、OPECの減産など | 高い水準 |
| 2014年夏〜 | 米国などの増産とOPECの増産、需要の伸びの鈍化 | 急落 |
| 2017年〜 | OPECプラスの協調減産 | 回復 |
| 2020年 | コロナ禍で需要が急減。4月にWTIが一時マイナス価格 | 大幅下落 |
| 2022年 | ロシアのウクライナ侵略 | 3月に急上昇、その後下落 |
| 2024年 | 4月以降、中国・インドなどの需要の弱さ | 概ね下落傾向 |
- 需要・供給・地政学のどれか1つではなく、組み合わせで動いていることがわかります
原油に投資するには・注意点
- 原油の先物(→商品先物取引のしくみ)、原油価格に連動をめざすETF・ETN(→ETFとは)、石油会社の株などがあります
- 先物には期限があり、レバレッジで損失が大きくなることがあります。2020年のマイナス価格のように、常識では考えにくい値動きも起きます
- 金とのちがいは金(ゴールド)投資のしくみへ
燃料の値段が業績を大きく動かす会社の例はANAホールディングスの強みとはへ。
原油価格で利益が大きく変わる会社の例はINPEXの強みとはへ。
原油などの指標に連動する上場の債券はETN(上場投資証券)とはへ。
まとめ
- 原油価格は、需要(中国などの成長・世界の景気)、供給(OPECプラスの減産・米国のシェール)、地政学リスクで動く
- 世界の石油消費は1日約1億バレル(2023年)、非OECDが55%、63%が輸送用(2022年)
- 2020年4月にはWTIが一時マイナス価格
- 日本の原油輸入はホルムズ海峡・マラッカ海峡を通るリスクを抱える
参考文献
- 経済産業省 資源エネルギー庁. エネルギー動向(2025年6月版) 第2章 第2節 一次エネルギーの動向. https://www.enecho.meti.go.jp/about/energytrends/202506/html/s-2-2.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。