ANAホールディングスの強みとは:訪日客でにぎわう国際線と国内線、LCCのPeach、貨物。2026年3月期は売上高2兆5,392億円・営業利益2,174億円で過去最高。2027年3月期は中東情勢による燃油高で営業利益1,500億円(−31%)の予想
ANAホールディングスを、2026年3月期決算の決算説明会資料(2026年4月30日)で分析しました。売上高2兆5,392億円(+12.3%)、営業利益2,174億円(+10.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,690億円(+10.5%)で、いずれも過去最高。旺盛な訪日需要と、NCAの連結化が増収に寄与しました。航空事業の営業利益は2,219億円で、ANA国際旅客の収入は8,789億円、国内旅客7,380億円、Peach1,433億円。燃油費・燃料税は4,723億円。自己資本比率は37.7%に回復。2027年3月期は中東情勢による燃油市況の急騰(ドバイ原油130ドル/バレルなどの前提)で、営業利益1,500億円(−31.0%)、純利益960億円の予想。JALとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男空港、外国から来た人でいっぱいだよね。航空会社って今すごく儲かってるの?

メル美でも、燃料が高くなると大変そう。ニュースで中東の話もよく聞くし
企業分析の連載、25社目はANAホールディングスです。ANAホールディングス株式会社 説明会 2026年3月期決算(2026年4月30日)の資料で確認しました。比較にはJALグループ「2026年3月期 連結業績」(2026年4月のプレスリリース)を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ANA株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
国際線・国内線の旅客、LCC(Peach)、貨物を運ぶ航空グループ。訪日客の増加で過去最高の業績
| 項目(連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆5,392億円 | +12.3% |
| 営業利益 | 2,174億円 | +10.6% |
| 営業利益率 | 8.6% | 前期 8.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,690億円 | +10.5% |
| 自己資本比率 | 37.7% | 前期 31.2% |
| 有利子負債残高 | 1兆1,717億円 | 前期 1兆3,490億円 |
| 配当 | 年65円 | 前期 60円 |
- 売上高・営業利益・当期純利益のいずれも過去最高です
- 増収の理由は、旺盛な訪日需要の取り込みと、NCAの連結化です
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 航空事業 | 2兆3,132億円 | 2,219億円 |
| 航空関連事業 | 3,616億円 | 14億円 |
| 商社事業 | 1,542億円 | 75億円 |
| 旅行事業 | 653億円 | −1億円 |
航空事業の収入の内訳(2026年3月期):
| 収入 | 金額 | 前期比 |
|---|---|---|
| ANA 国際旅客 | 8,789億円 | +734億円 |
| ANA 国内旅客 | 7,380億円 | +340億円 |
| ANA 貨物郵便 | 2,137億円 | −41億円 |
| NCA | 1,356億円 | (新たに連結) |
| Peach(LCC) | 1,433億円 | +39億円 |
- 営業利益のほとんどは航空事業です。いちばん大きい収入は国際旅客
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 訪日需要
- 国際旅客は訪日需要が好調で、計画を上回りました
② 財務の回復
- 利益の積み上げと社債型種類株式(1,950億円)の発行で自己資本が増え、自己資本比率は37.7%に。劣後ローン2,000億円も返済しました。会社は「財務基盤は復元」としています
③ フルサービスとLCCの両方
- ANAブランドに加え、LCCのPeach、貨物のNCAを持ち、さまざまな需要に対応できます
4. 弱み・リスク
① 燃油と中東情勢
- 燃油費・燃料税は4,723億円(+592億円)。2027年3月期は、中東情勢による燃油市況の急騰で、燃油費が約1,400億円増えると見込み、運賃・燃油サーチャージの改定やヘッジ、コスト削減で影響を約600億円に抑える計画です
- 前提は、第1四半期にドバイ原油130ドル/バレル、シンガポールケロシン200ドル/バレルなど、第1四半期末までに事態が収束するというものです(→原油価格を動かすもの)
② 2027年3月期は大幅減益の予想
- 売上高は2兆7,700億円で過去最高の計画ですが、営業利益1,500億円(−31.0%)、純利益960億円(−43.2%)の予想です
③ 為替と景気
- 為替の円安で外貨建ての費用が増えました。会社の資料は、原油高が長引けば景気の減速・後退で航空需要が停滞するシナリオも示しています
5. ライバルとの比較
JAL(日本航空)と比べます。JALはIFRSで「EBIT」という利益を使っているので、利益の物差しが違う点に注意してください。
| ANAHD(2026年3月期) | JAL(2026年3月期) | |
|---|---|---|
| 売上高(売上収益) | 2兆5,392億円(+12.3%) | 2兆125億円(+9.1%) |
| 利益 | 営業利益2,174億円(+10.6%) | EBIT 2,180億円(+26.4%) |
| 利益率 | 8.6% | EBITマージン10.8% |
| 純利益 | 1,690億円 | 1,376億円 |
| 年間配当 | 65円 | 96円 |
- 規模はANA、利益率はJALが上回りました。JALにはマイル/金融・コマース事業(EBIT455億円)もあります
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ANAの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 国際旅客の収入 | 8,789億円 | 決算説明会資料(航空事業 収入・費用) |
| 燃油費・燃料税 | 4,723億円 | 決算説明会資料 |
| 自己資本比率・有利子負債 | 37.7%・1兆1,717億円 | 決算説明会資料(貸借対照表) |
| 会社の業績予想と前提(原油・為替) | 営業利益1,500億円、1ドル=155円 | 決算説明会資料 |
| 配当 | 年65円、2027年3月期予想60円 | 決算説明会資料 |
- 燃油の前提(原油価格・為替)と、中東情勢の収束時期の想定が実際とどうずれるかを確かめます
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美お客さんが増えても、燃料が高くなると利益が大きく減る。航空会社は原油のニュースとセットで見ないとね
エネルギーの会社は東京ガスの強みとはへ。
移動の需要で稼ぐ鉄道会社はJR東海の強みとはへ。
もう一つの大手航空グループはJAL(日本航空)の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- ANAHDは、国際線・国内線・LCC・貨物の航空グループ
- 2026年3月期は売上高2兆5,392億円、営業利益2,174億円で過去最高
- 訪日需要とNCAの連結化で増収。自己資本比率37.7%に回復
- 2027年3月期は中東情勢による燃油高で営業利益1,500億円(−31%)の予想
- JALと比べて、規模はANA、利益率はJALが上
参考文献
- ANAホールディングス. ANAホールディングス株式会社 説明会 2026年3月期決算(2026年4月30日). https://www.ana.co.jp/group/investors/data/kessan/pdf/2026_04_1.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 日本航空. JALグループ 2026年3月期 連結業績(プレスリリース). https://press.jal.co.jp/ja/release/202604/009510.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。