JAL(日本航空)の強みとは:国際線・国内線のフルサービスキャリアに、ZIPAIRなどのLCC、マイル/金融・コマースを組み合わせた航空グループ。2026年3月期は売上収益2兆125億円(+9.1%)・EBIT2,180億円(+26.4%)。インバウンドと日本発ビジネス需要で国際線が伸びる
日本航空(JAL)を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益2兆125億円(+9.1%)、EBIT(財務・法人所得税前利益)2,180億円(+26.4%)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,376億円(+28.6%)、ROE12.2%、親会社所有者帰属持分比率40.3%。セグメントのEBITは、フルサービスキャリア1,450億円(+30.5%、売上収益1兆5,874億円、国際線9,180億円・国内線6,431億円)、マイル/金融・コマース455億円(+19.5%)、LCC96億円(−17.1%、ZIPAIR・スプリング・ジャパンなど)。国際旅客はインバウンドと日本発ビジネス需要で旅客数・単価とも増加、3月の中東情勢の悪化では欧州線直行便への代替需要を取り込み。国際貨物も増加。航空燃油費は3,954億円。2026年3月に「JALグループ経営ビジョン2035」を発表。年96円の配当、2027年3月期は原油価格の高騰などの不確実性の中、EBIT1,800億円・年96円の予想。ANAとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男JALとANA、どっちも飛行機の会社だよね。何が違うの?

メル美JALは「マイル/金融・コマース」っていう事業を分けて数字を出しているんだって
企業分析の連載、86社目はJAL(日本航空)です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のANAホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、JAL株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
国際線・国内線の旅客と貨物を運ぶ航空会社に、LCC(格安航空会社)とマイル・金融・コマースの事業を組み合わせた航空グループ
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆125億円 | +9.1% |
| EBIT(財務・法人所得税前利益) | 2,180億円 | +26.4% |
| EBITの売上収益に対する比率 | 10.8% | 前期 9.4% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,376億円 | +28.6% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 12.2% | 前期 11.4% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 40.3% | 前期 34.9% |
| 配当 | 年96円(配当性向31.3%) | 前期 86円 |
- JALは、本業のもうけを「EBIT」(当期利益から法人所得税・利息・その他の財務収益・費用を除いたもの)で示しています。日本基準の「営業利益」とは定義が違います
- 会社は、2026年3月2日に公表した業績予想を上回ったとしています
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身 | 売上収益 | EBIT |
|---|---|---|---|
| フルサービスキャリア | JAL・日本トランスオーシャン航空などの国際線・国内線 | 1兆5,874億円(+9.3%) | 1,450億円(+30.5%) |
| マイル/金融・コマース | マイル、金融、コマース | 2,222億円(+10.9%) | 455億円(+19.5%) |
| LCC | ZIPAIR、スプリング・ジャパンなど | 1,149億円(+10.4%) | 96億円(−17.1%) |
- セグメントの数字は、セグメント間の取引を消す前の金額です
フルサービスキャリアの売上収益の中身
| 2026年3月期 | 前期比 | |
|---|---|---|
| 国際線 | 9,180億円 | +10.6% |
| うち旅客 | 7,600億円 | +9.1% |
| うち貨物郵便 | 1,562億円 | +18.7% |
| 国内線 | 6,431億円 | +6.5% |
| うち旅客 | 6,091億円 | +6.6% |
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 国際線の伸び
- インバウンド(訪日客)需要に加え、日本発のビジネス需要が計画を上回って回復し、国際旅客は旅客数・単価とも大きく増えました。2026年1月に成田=デリー線を開設しました
- 3月の中東情勢の悪化で中東の外国航空会社が運休した際には、欧州線の直行便への代替需要や、インド発北米行きの乗り継ぎ需要を取り込んだとしています
② 航空以外の利益
- マイル/金融・コマースのEBITは455億円で、会社は「非航空事業の利益拡大」を進めています
③ 国際貨物
- 国際貨物は、自社の貨物機と、カリッタ航空の大型貨物機を使った米国線の定期便などで、アジア=北米間の需要や、医薬品・AI・EV関連部品などの高単価貨物を取り込みました。国際線の貨物郵便収入は+18.7%です
4. 弱み・リスク
① 燃油の値段
- 航空燃油費は3,954億円(+4.1%)です。会社は、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫による原油価格の高騰などで、世界情勢の不確実性が増しているとしています(→原油価格を動かすもの)
② 2027年3月期の減益の見通し
- 2027年3月期は、EBIT1,800億円(−17.4%)、当期利益1,100億円(−20.1%)の予想です。配当は中東情勢の影響を考え、年96円に据え置きとしています
③ LCCの減益
- LCCは増収でしたが、EBITは17.1%減でした。ZIPAIRは座席数を大きく増やした一方、有償座席利用率は84.8%→77.7%に下がりました
5. ライバルとの比較
同じ日本の大手航空グループ、ANAホールディングスと比べます。どちらも2026年3月期ですが、会計基準(ANAは日本基準の営業利益、JALはIFRSのEBIT)が違うので、おおまかな比較です。
| JAL | ANAホールディングス | |
|---|---|---|
| 売上 | 2兆125億円(+9.1%) | 2兆5,392億円(+12.3%) |
| 本業の利益 | EBIT 2,180億円(+26.4%) | 営業利益 2,174億円(+10.6%) |
| 利益率 | 10.8% | 8.6% |
| 当期利益 | 1,376億円 | 1,690億円 |
| 自己資本の比率 | 40.3% | 37.7% |
- 売上はANAが大きく、本業の利益はほぼ同じくらいです(→ANAホールディングスの強みとは)。訪日客の需要にかかわる会社はオリエンタルランドの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
JALの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 国際線・国内線の売上収益 | 9,180億円・6,431億円 | 決算短信(フルサービスキャリア) |
| マイル/金融・コマースのEBIT | 455億円 | 決算短信(セグメント) |
| 航空燃油費 | 3,954億円 | 決算短信 |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益2兆950億円、EBIT1,800億円 | 決算短信(今後の見通し) |
| 配当 | 年96円、2027年3月期予想96円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男飛行機だけじゃなく、マイルや金融でも稼いでいるんだね。燃料の値段と、来年の減益の見通しも見ておこう
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まとめ
- JALは、フルサービスキャリア・LCC・マイル/金融・コマースの航空グループ
- 2026年3月期は売上収益2兆125億円、EBIT2,180億円(+26.4%)
- インバウンドと日本発ビジネス需要で国際線が伸び、国際貨物も増加
- 航空以外のマイル/金融・コマースのEBITは455億円
- 2027年3月期は原油価格の高騰などの不確実性の中、EBIT1,800億円の予想
参考文献
- 日本航空. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日). https://www2.jpx.co.jp/disc/92010/140120260430514545.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- ANAホールディングス. ANAホールディングス株式会社 説明会 2026年3月期決算(2026年4月30日). https://www.ana.co.jp/group/investors/data/kessan/pdf/2026_04_1.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。