三菱商事の強みとは:LNG・銅・原料炭などの資源から、食品・コンビニ・電力まで8つの事業グループに投資する総合商社。2026年3月期の純利益は8,005億円(前期比15.8%減)、稼ぎ頭は金属資源と地球環境エネルギー。弱みは資源価格と減損
三菱商事を、2026年3月期決算短信〔IFRS〕で分析しました。収益18兆9,160億円、当社の所有者に帰属する当期純利益8,005億円(前期比15.8%減)、持分法による投資損益4,679億円。セグメント別の純利益は金属資源2,045億円、地球環境エネルギー1,609億円、S.L.C.910億円、社会インフラ851億円、食品産業833億円など。銅事業や千代田化工建設の改善があった一方、汎用素材事業の減損、自動車関連事業の持分法投資の減損、ローソンの前年度再評価益の反動などで減益。累進配当を続け、2026年3月期は年110円、2027年3月期は純利益1兆1,000億円・年125円の見通し。三井物産との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男商社って、モノを右から左に売ってもうけてるんでしょ?

メル美いまは、鉱山とかLNGとかコンビニとか、いろんな会社に「投資」して稼いでるらしいよ
企業分析の連載、9社目は三菱商事です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)で確認しました。比較には三井物産の2026年3月期 決算短信(2026年5月1日)を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、三菱商事株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
世界中の資源・エネルギー・食品・インフラなどの事業に出資し、売買の仲介もする総合商社。利益の多くは、出資している会社からの利益(持分法の利益など)
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 収益 | 18兆9,160億円 | +1.6% |
| 税引前利益 | 1兆961億円 | −21.3% |
| 当社の所有者に帰属する当期純利益 | 8,005億円 | −15.8% |
| 持分法による投資損益 | 4,679億円 | 前期 3,375億円 |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 8.5% | 前期 10.3% |
- 持分法による投資損益は、出資している会社(関連会社など)の利益のうち、持分に応じた分です。純利益の半分以上の規模です
2. 何で稼いでいるか
決算短信のセグメント情報(2026年3月期、当社の所有者に帰属する当期純利益)です。
| セグメント | 主な事業(決算短信の記載から) | 純利益 | 割合※ | 前期 |
|---|---|---|---|---|
| 金属資源 | 銅事業、豪州原料炭事業 など | 2,045億円 | 27.2% | 2,278億円 |
| 地球環境エネルギー | 天然ガス・LNG、石油製品 など | 1,609億円 | 21.4% | 1,986億円 |
| S.L.C. | ローソン、三菱食品 など | 910億円 | 12.1% | 1,850億円 |
| 社会インフラ | 千代田化工建設、北米不動産開発 など | 851億円 | 11.3% | 398億円 |
| 食品産業 | サーモン養殖、国内畜産 など | 833億円 | 11.1% | 924億円 |
| モビリティ | 自動車関連事業 など | 576億円 | 7.7% | 1,124億円 |
| 電力ソリューション | 洋上風力、米州電力、欧州総合エネルギー など | 434億円 | 5.8% | −156億円 |
| マテリアルソリューション | 化学品、樹脂建材 など | 263億円 | 3.5% | 683億円 |
※8セグメントの合計(7,521億円)に対する割合。
- 金属資源と地球環境エネルギー(資源・エネルギー)で約5割
- 「S.L.C.」は、決算短信でローソンや三菱食品の増減がこの区分に書かれている事業グループです
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 資源の権益
- 金属資源の純利益は2,045億円で最大。2026年3月期は、銅事業で過去の減損損失の一部の戻入れや市況の上昇がありました
- 地球環境エネルギーでは、LNG北米事業の生産開始などの動きがあります(生産開始にともなうコストの先行もあり)
② 分散した事業ポートフォリオ
- 資源から、食品・コンビニ・電力・インフラ・自動車まで、8つの事業グループに分かれています。ある分野が落ちても、ほかの分野が支える形です
- 2026年3月期も、社会インフラ(+453億円)や電力ソリューション(+590億円)が改善しました
③ 累進配当
- 「持続的な利益成長に合わせて増配していく累進配当」を続け、自己株式の取得も機動的に行う方針です
- 配当は2025年3月期の年100円から、2026年3月期年110円、2027年3月期の予想年125円
4. 弱み・リスク
① 減損と一時的な損益
2026年3月期の減益の理由として、決算短信は次のようなものを挙げています。
- マテリアルソリューション:サウディ石油化学・基礎化学事業の減損、機能素材事業の減損
- モビリティ:自動車関連事業の持分法投資の減損
- S.L.C.:ローソンの前年度の持分法適用会社化にともなう再評価益の反動
投資の価値が下がると減損損失が出て、利益が大きく変わります。逆に前の年に売却益などがあると、翌年はその反動で減ります。
② 資源・市況
- 豪州原料炭事業は、市況の下落と前年度の炭鉱売却の反動で減りました。資源の値段で利益が大きく動きます
③ 会社が挙げるリスク
決算短信の「事業等のリスク」には、世界マクロ経済環境の変化(米国の関税などの通商政策を含む)、市場リスク、信用リスク、カントリーリスク、事業投資リスクが並んでいます。
5. ライバルとの比較
同じ総合商社の三井物産と比べます(どちらも2026年3月期、IFRS)。
| 三菱商事 | 三井物産 | |
|---|---|---|
| 収益 | 18兆9,160億円 | 13兆9,952億円 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 8,005億円(−15.8%) | 8,340億円(−7.4%) |
| ROE | 8.5% | 10.2% |
| 持分法による投資損益 | 4,679億円 | 4,474億円 |
- 2026年3月期は、純利益で三井物産が三菱商事を上回りました
- どちらも、出資先からの持分法の利益が大きいのが特徴です
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
三菱商事の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| セグメント別の純利益(とくに金属資源・地球環境エネルギー) | 2,045億円・1,609億円 | 決算短信のセグメント情報 |
| 減損・売却益などの一時的な損益 | 汎用素材・自動車関連の減損 など | 決算短信(セグメント別の増減要因) |
| 持分法による投資損益 | 4,679億円 | 決算短信のサマリー |
| 営業収益キャッシュ・フロー | 2027年3月期見通し1兆2,500億円 | 決算短信 |
| ROE | 8.5% | 決算短信のサマリー |
| 純利益の見通しと配当 | 2027年3月期 1兆1,000億円(+37.4%)、年125円 | 決算短信 |
- 「営業収益キャッシュ・フロー」は、三菱商事が独自に定義する指標(運転資金の増減を除いた営業キャッシュ・フローに、リース負債の支払いを反映したもの)です
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男商社って「投資会社」っぽいんだね。だから減損とか売却益で利益が大きく動くのか
ほかの総合商社は伊藤忠商事の強みとはへ。
リースから事業投資まで手がける会社はオリックスの強みとはへ。
まとめ
- 三菱商事は、資源から食品・電力まで8つの事業グループに出資する総合商社
- 2026年3月期の純利益は8,005億円(−15.8%)。金属資源・地球環境エネルギーで約5割
- 強みは資源の権益、分散した事業、累進配当
- 弱みは減損や前年の売却益の反動、資源・市況、カントリーリスク
- 2027年3月期は純利益1兆1,000億円、配当年125円の見通し
参考文献
- 三菱商事. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結). https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/earnings/pdf/202605j.pdf (閲覧日:2026年10月7日)
- 三井物産. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/library/meeting/pdf/ja_263_4q_ta.pdf (閲覧日:2026年10月7日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。