三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の強みとは:2026年3月期の純利益は2兆4,272億円(前期比30.3%増)。稼ぎ頭は大企業向けの銀行業務と海外の投資銀行業務、モルガン・スタンレーの持分利益も8,455億円。弱みは景気・金利・為替と、海外の大きな事業のリスク
三菱UFJフィナンシャル・グループを、決算短信(2026年3月期)と有価証券報告書(第21期)で分析しました。親会社株主に帰属する当期純利益は2兆4,272億円、連結業務純益は2兆3,772億円(前期比7,860億円増)。円金利の上昇による資金利益の増加、手数料収入の増加、海外の買収の貢献が増益の要因。事業本部別の営業純益では、コーポレートバンキング(7,070億円)とグローバルCIB(5,803億円)が大きい。モルガン・スタンレーの議決権の23.9%を持ち、持分法による投資利益は8,455億円。2027年3月期は純利益2兆7,000億円を目標とし、業績予想は出していません。三井住友フィナンシャルグループとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

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企業分析の連載、5社目は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)です。2026年3月期 決算短信(2026年5月15日)、有価証券報告書(第21期、2025年4月1日〜2026年3月31日)、2027年3月期 第1四半期 決算短信(2026年8月3日)で確認しました。比較には三井住友フィナンシャルグループの2026年3月期 決算短信を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、MUFG株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
銀行・信託銀行・証券・クレジットカードなどを持つ日本最大級の金融グループ。国内の個人・企業向けに加えて、海外の銀行業務や投資銀行業務、アジアの銀行、モルガン・スタンレーとの提携で稼ぐ
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 14兆6,208億円 | +7.3% |
| 連結業務粗利益 | 5兆9,444億円 | +1兆1,251億円 |
| 連結業務純益 | 2兆3,772億円 | +7,860億円 |
| 経常利益 | 3兆4,101億円 | +27.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2兆4,272億円 | +30.3% |
| 自己資本当期純利益率(ROE) | 11.3% | 前期 9.3% |
| 総資産 | 431兆7,315億円 | — |
- 銀行は一般の会社の「売上高」の代わりに、業務粗利益(資金利益・手数料・トレーディングなどの合計)を見ます
- 従業員数(連結)は16万1,576人(有報)
2. 何で稼いでいるか
決算短信のセグメント情報(2026年3月期)です。営業純益は、粗利益から経費(人件費・物件費)を引いたものです。
| 事業本部 | 粗利益 | 営業純益 | 顧客部門の営業純益に占める割合 |
|---|---|---|---|
| リテール・デジタル(個人) | 1兆646億円 | 2,859億円 | 11.3% |
| 法人・ウェルスマネジメント(中堅中小企業・富裕層) | 8,669億円 | 4,080億円 | 16.2% |
| コーポレートバンキング(大企業) | 1兆1,259億円 | 7,070億円 | 28.0% |
| グローバルコマーシャルバンキング(アジアなどの銀行) | 9,042億円 | 3,876億円 | 15.4% |
| 受託財産(資産運用・管理) | 6,218億円 | 1,525億円 | 6.0% |
| グローバルCIB(海外の大企業・投資銀行業務) | 1兆815億円 | 5,803億円 | 23.0% |
| 市場(有価証券の運用など) | 3,069億円 | −355億円 | — |
- 顧客部門のなかでは、大企業向け(国内のコーポレートバンキングと海外のグローバルCIB)で約5割
- グループ全体の経費は粗利益の約60.5%です(経費3兆6,259億円÷粗利益5兆9,913億円)
増益の理由(決算短信)
- 海外の買収案件の収益貢献
- 円金利の上昇の取り込みや利ざやの改善による資金利益の増加
- 国内外の手数料収入の増加
- 前年の債券ポートフォリオ組替えによる売却損の反動
- 持分法による投資利益8,455億円(前期比+2,485億円)。主な理由はMorgan Stanley の業績好調
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 国内の大企業とのつながり
- コーポレートバンキング事業本部の営業純益は7,070億円で、事業本部のなかで最大です
② 海外:アジアの銀行と投資銀行業務
- 有報の関係会社には、タイの Bank of Ayudhya(議決権76.88%)、インドネシアの Bank Danamon(92.47%)などの銀行が並んでいます。ベトナムのヴィエティンバンク(19.72%)、フィリピンのセキュリティバンクなどにも出資しています
- 海外の大企業向けのグローバルCIB事業本部は営業純益5,803億円
③ モルガン・スタンレーとの戦略的提携
- MUFGはモルガン・スタンレーの普通株式の議決権の23.9%(2026年3月末)を持ち、日本では証券の合弁会社を共同で運営、米州ではコーポレートファイナンス業務で提携しています(有報)
- 2026年3月期は、持分法による投資利益(8,455億円)の増加の主な理由がモルガン・スタンレーの業績好調でした
④ 金利上昇の恩恵
- 決算短信は、増収の理由に円金利上昇影響の取り込みや利ざやの改善を挙げています。日本銀行は2026年9月に政策金利を1.25%程度に引き上げました(→不動産の利回りの計算とローンのリスク)
4. 弱み・リスク
有報の「事業等のリスク」には、次のような項目が並んでいます。
- 本邦及び世界の経済の不透明性・悪化
- 紛争・テロ・自然災害などの外的要因
- 業務範囲拡大・海外事業展開に伴うリスク
- モルガン・スタンレーとの戦略的提携に関するリスク:MUFGは支配株主ではないため、同社の事業や決定を支配できない、と書いています
- 自己資本比率等の規制(G-SIBs規制、TLAC規制など)
- 為替、貸出(貸倒引当金、特定の業種への与信の集中)、保有株式、市場業務のリスク
数字で見ると、
- 与信関係費用(貸し倒れに備える費用など)は3,558億円で、前期より2,471億円増えました(前年の海外での大口の貸倒引当金の戻入れの反動)
- 株式等関係損益は4,860億円で、前期より1,065億円減りました(前年の政策保有株式の大口売却益の反動)
- 利益の一部は、モルガン・スタンレーの業績しだいの持分法の利益です
5. ライバルとの比較
同じ3メガバンクの三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)と比べます(どちらも2026年3月期、日本基準)。
| MUFG | SMFG | |
|---|---|---|
| 経常収益 | 14兆6,208億円 | 10兆7,908億円 |
| 経常利益 | 3兆4,101億円 | 2兆3,033億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2兆4,272億円(+30.3%) | 1兆5,829億円(+34.4%) |
| 自己資本当期純利益率(ROE) | 11.3% | 10.4% |
| 総資産 | 431兆7,315億円 | 328兆5,111億円 |
| 持分法による投資損益 | 8,455億円 | 1,377億円 |
- 純利益の規模は、SMFGがMUFGの約65%
- どちらも前期比3割以上の増益でした
- MUFGは持分法の利益(モルガン・スタンレーなど)が大きいのが特徴です
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
MUFGの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 連結業務純益(本業のもうけ) | 2兆3,772億円 | 決算短信 |
| 事業本部別の営業純益 | コーポレート7,070億円、グローバルCIB5,803億円 など | 決算短信のセグメント情報 |
| 与信関係費用 | 3,558億円 | 決算短信 |
| 持分法による投資利益(モルガン・スタンレー) | 8,455億円 | 決算短信 |
| ROE | 11.3% | 決算短信のサマリー |
| 純利益の目標と進み具合 | 2027年3月期の目標2兆7,000億円。第1四半期は8,094億円 | 決算短信 |
| 配当と配当性向 | 年86円(配当性向40.3%)、2027年3月期予想96円 | 決算短信 |
- MUFGは、業務に「経済情勢、相場環境等に起因するさまざまな不確実性」があるとして、業績予想の代わりに純利益の目標値を出しています
- 有報の中期経営計画の前提には、日本の政策金利1%程度、ドル円150円台前半などが書かれています。金利や為替が前提とずれると、利益も変わります
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男金利が上がって利ざやが増えた年なんだね。でも貸し倒れや、モルガン・スタンレーの業績しだいの部分もあるのか
保険の会社は東京海上ホールディングスの強みとはへ。
ほかのメガバンクはみずほフィナンシャルグループの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- MUFGは銀行・信託・証券・カードなどを持つ金融グループ。2026年3月期の純利益は2兆4,272億円(+30.3%)
- 稼ぎ頭は大企業向け(国内コーポレート7,070億円、海外グローバルCIB5,803億円)
- 強みは国内の大企業とのつながり、アジアの銀行と投資銀行業務、モルガン・スタンレーとの提携(持分法利益8,455億円)、金利上昇
- 弱みは景気・金利・為替、海外事業、規制、モルガン・スタンレーを支配できないこと
- SMFG(純利益1兆5,829億円)と比べ、規模と持分法の利益が大きい
参考文献
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www.mufg.jp/dam/ir/fs/2025/pdf/summary2603_ja.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ. 有価証券報告書 第21期(2025年4月1日〜2026年3月31日). https://www.mufg.jp/dam/ir/report/security_report/pdf/yu_mufg26.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ. 2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年8月3日). https://www.mufg.jp/dam/ir/fs/2026/pdf/summary2606_ja.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- 三井住友フィナンシャルグループ. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結). https://www.smfg.co.jp/investor/financial/latest_statement/2026_3/2026_fy_01.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。