企業分析2026年10月5日

トヨタの強みとは:営業収益50.7兆円・連結販売959万台(2026年3月期)。利益の7割強は自動車、2割強は金融。強みはハイブリッドを軸にした「全方位」と現地生産、弱みは米国関税(1兆3,800億円の減益要因)と北米への依存

トヨタ自動車を、有価証券報告書(2026年3月期)と決算説明資料で分析しました。営業収益50兆6,849億円、営業利益3兆7,662億円(前期比21.5%減)、営業利益率7.4%。営業利益のうち自動車事業が2兆7,770億円、金融事業が8,517億円。トヨタ・レクサスの販売1,047万7千台(小売)の48.1%が電動車で、その大半はハイブリッド。海外で売る車の73.9%を海外で生産。一方で米国関税の影響は1兆3,800億円、外部顧客への営業収益の36.5%が米国。フォルクスワーゲン・グループ(2025年12月期、営業利益率2.8%)との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

目次
  1. 1. ひとことで言うと
  2. 2. 何で稼いでいるか
  3. 3. 強み
  4. 4. 弱み・リスク
  5. 5. ライバルとの比較
  6. 6. 投資プレイヤー的チェックポイント
  7. まとめ

プレ男トヨタって日本一の会社でしょ? 車を売ってもうけてるんだよね?

メル美車だけじゃなくて「金融」でもかなり稼いでるって聞いたよ。数字で見てみよう

企業分析の連載、1社目はトヨタ自動車です。有価証券報告書(2026年3月期、2026年6月10日提出)、2026年3月期 決算報告プレゼンテーション資料、2027年3月期 第1四半期 決算報告プレゼンテーション資料(2026年8月4日)で確認しました。比較にはフォルクスワーゲン・グループの年次報告書(2025年12月期)を使っています。

この記事は会社のしくみと数字の解説で、トヨタ株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

決算書の読み方は決算短信・有価証券報告書の読み方で書いています。

1. ひとことで言うと

世界中で車をつくって売り、その車を買う人へのローンやリースでも稼ぐ会社。ハイブリッドを中心に、エンジン車から電気自動車まで「全部つくる」作戦

項目 2026年3月期 前期比
営業収益(売上) 50兆6,849億円 +5.5%
営業利益 3兆7,662億円 −21.5%
営業利益率 7.4%(前期 10.0%) —
親会社の所有者に帰属する当期利益 3兆8,481億円 −19.2%
連結販売台数 959万5千台(日本 208万2千台、海外 751万3千台) +2.5%
従業員数(連結) 39万927人 —

2. 何で稼いでいるか

有報のセグメント情報(2026年3月期)です。

事業 営業収益 営業利益 利益率 営業利益の割合
自動車 45兆4,177億円 2兆7,770億円 6.1% 約74%
金融(ローン・リース) 4兆8,571億円 8,517億円 17.5% 約23%
その他(情報通信など) 1兆6,514億円 1,320億円 8.0% 約4%
合計(消去を含む) 50兆6,849億円 3兆7,662億円 7.4% —

どこで売っている?

地域(外部顧客への営業収益) 金額 割合
日本 10兆9,856億円 21.7%
米国 18兆4,940億円 36.5%
その他 21兆2,054億円 41.8%

3. 強み

会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。

① ハイブリッドを中心にした「全方位」

② 売る場所でつくる:現地生産

③ 金融事業と「バリューチェーン」

④ 大きな財務基盤

4. 弱み・リスク

① 米国の関税

② 北米への依存

③ 損益分岐台数の上昇

④ そのほか、会社が挙げるリスク

有報の「事業等のリスク」には、競争の激化、需要の変動、為替・金利、原材料価格、気候変動と低炭素経済への移行、情報セキュリティ、法規制、自然災害などが並んでいます。2024〜2025年には認証問題への対応にも取り組んだと書いています。

5. ライバルとの比較

世界の大手、フォルクスワーゲン(VW)・グループと比べます。決算期・会計の区分・台数の数え方が違うので、おおまかな比較です。

トヨタ(2026年3月期) VWグループ(2025年12月期)
売上 営業収益 50兆6,849億円 売上高 3,219億ユーロ
営業利益 3兆7,662億円 営業利益 89億ユーロ
営業利益率 7.4% 2.8%
台数 グループ総販売台数 1,128万3千台(小売) 顧客への引き渡し 約900万台

6. 投資プレイヤー的チェックポイント

トヨタの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。

見ておく数字 2026年3月期 どこに書いてある
営業利益と、その増減の内訳(関税・為替・原価改善) 3兆7,662億円(関税 −1兆3,800億円) 有報「経営者による分析」、決算説明資料
自動車事業の営業利益率 6.1% 有報のセグメント情報
電動車の比率(うちHEV・BEV) 48.1%(HEV 462万台) 決算説明資料
地域別の販売台数(とくに北米) 北米 293万4千台 有報・決算説明資料
金融事業の利益と、評価損益の影響 8,517億円 有報のセグメント情報
ROE(親会社所有者帰属持分利益率) 10.1% 有報「主要な経営指標等の推移」
PER(有報の期末時点) 10.7倍 同上
配当と自己株式取得 年95円(2027年3月期予想100円)、自己株式取得枠1兆円(2026年8月設定) 決算説明資料

プレ男関税だけで1兆円以上…! 車を売る会社なのに、利益の4分の1がローンやリースなのもびっくり

EV戦略の見直しで大きな損失を出した会社の例はホンダの強みとはへ。

トヨタグループに部品を納める会社はデンソーの強みとはも参考にしてください。

まとめ


参考文献

  1. トヨタ自動車. 有価証券報告書(2026年3月期、2026年6月10日提出). https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/library/securities-report/archives/archives_2026_03.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
  2. トヨタ自動車. 2026年3月期 決算報告プレゼンテーション資料. https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2026_4q_presentation_jp.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
  3. トヨタ自動車. 2027年3月期 第1四半期 決算報告プレゼンテーション資料(2026年8月4日). https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2027_1q_presentation_jp.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
  4. Volkswagen AG. Annual Report 2025, Summary(Group Management Report). https://annualreport2025.volkswagen-group.com/group-management-report/summary.html (閲覧日:2026年10月5日)

この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。