トヨタの強みとは:営業収益50.7兆円・連結販売959万台(2026年3月期)。利益の7割強は自動車、2割強は金融。強みはハイブリッドを軸にした「全方位」と現地生産、弱みは米国関税(1兆3,800億円の減益要因)と北米への依存
トヨタ自動車を、有価証券報告書(2026年3月期)と決算説明資料で分析しました。営業収益50兆6,849億円、営業利益3兆7,662億円(前期比21.5%減)、営業利益率7.4%。営業利益のうち自動車事業が2兆7,770億円、金融事業が8,517億円。トヨタ・レクサスの販売1,047万7千台(小売)の48.1%が電動車で、その大半はハイブリッド。海外で売る車の73.9%を海外で生産。一方で米国関税の影響は1兆3,800億円、外部顧客への営業収益の36.5%が米国。フォルクスワーゲン・グループ(2025年12月期、営業利益率2.8%)との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男トヨタって日本一の会社でしょ? 車を売ってもうけてるんだよね?

メル美車だけじゃなくて「金融」でもかなり稼いでるって聞いたよ。数字で見てみよう
企業分析の連載、1社目はトヨタ自動車です。有価証券報告書(2026年3月期、2026年6月10日提出)、2026年3月期 決算報告プレゼンテーション資料、2027年3月期 第1四半期 決算報告プレゼンテーション資料(2026年8月4日)で確認しました。比較にはフォルクスワーゲン・グループの年次報告書(2025年12月期)を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、トヨタ株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
決算書の読み方は決算短信・有価証券報告書の読み方で書いています。
1. ひとことで言うと
世界中で車をつくって売り、その車を買う人へのローンやリースでも稼ぐ会社。ハイブリッドを中心に、エンジン車から電気自動車まで「全部つくる」作戦
- 2026年3月期(2025年4月〜2026年3月、IFRS・連結)の数字
| 項目 | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業収益(売上) | 50兆6,849億円 | +5.5% |
| 営業利益 | 3兆7,662億円 | −21.5% |
| 営業利益率 | 7.4%(前期 10.0%) | — |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 3兆8,481億円 | −19.2% |
| 連結販売台数 | 959万5千台(日本 208万2千台、海外 751万3千台) | +2.5% |
| 従業員数(連結) | 39万927人 | — |
- 子会社602社、関連会社・共同支配企業159社(2026年3月31日現在)
- 営業利益率は、営業利益÷営業収益で計算したものです
2. 何で稼いでいるか
有報のセグメント情報(2026年3月期)です。
| 事業 | 営業収益 | 営業利益 | 利益率 | 営業利益の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車 | 45兆4,177億円 | 2兆7,770億円 | 6.1% | 約74% |
| 金融(ローン・リース) | 4兆8,571億円 | 8,517億円 | 17.5% | 約23% |
| その他(情報通信など) | 1兆6,514億円 | 1,320億円 | 8.0% | 約4% |
| 合計(消去を含む) | 50兆6,849億円 | 3兆7,662億円 | 7.4% | — |
- 営業収益は約9割が自動車ですが、利益の約4分の1は金融から来ています
- 金融事業は、トヨタ車などを買う人へのローンやリースです。金融事業の債権の52.2%は北米(2026年3月31日)
- 金融事業の増益(前期比+24.6%)について、トヨタは「主に米国の販売金融子会社において、金利スワップ取引の評価益が計上されたことなど」と説明しています。毎年続くとは限らない利益が含まれている点に注意です
どこで売っている?
| 地域(外部顧客への営業収益) | 金額 | 割合 |
|---|---|---|
| 日本 | 10兆9,856億円 | 21.7% |
| 米国 | 18兆4,940億円 | 36.5% |
| その他 | 21兆2,054億円 | 41.8% |
- 車両の販売台数でみた主な市場は、日本21.7%、北米30.6%、欧州12.3%、アジア18.3%(有報)
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① ハイブリッドを中心にした「全方位」
- トヨタ・レクサスの販売台数(小売)1,047万7千台のうち、電動車は504万台(48.1%)。その内訳はハイブリッド(HEV)462万台、プラグインハイブリッド17万5千台、電気自動車(BEV)24万3千台、燃料電池車1千台(2025年4月〜2026年3月)
- 2027年3月期の見通しでは、電動車の比率を56.7%、BEVを59万8千台に増やす計画です
- 電気自動車だけに絞らず、ハイブリッドで稼ぎながら電気自動車も増やす、という形です
② 売る場所でつくる:現地生産
- 海外で売る車の73.9%を海外で生産しています(2026年3月期。北米74.6%、欧州69.0%、アジア96.4%)
- トヨタは、生産の現地化で「現地での収益と費用の通貨のマッチングをはかることが可能」とし、為替の影響を一部やわらげていると説明しています
③ 金融事業と「バリューチェーン」
- 車を売ったあとのローン・リースで、営業利益の約23%を稼いでいます
- 決算資料では、販売台数の増加や価格改定に加えて「バリューチェーン収益拡大」を利益の下支えとして挙げています
④ 大きな財務基盤
- 親会社の所有者に帰属する持分(自己資本にあたるもの)は39兆9,189億円、現金及び現金同等物は12兆6,596億円(2026年3月31日)
- 研究開発支出は1兆5,229億円(2026年3月期)
4. 弱み・リスク
① 米国の関税
- 2026年3月期の営業利益は前期より1兆293億円減りました。トヨタはその要因のうち、米国関税の影響を1兆3,800億円としています
- 有報の「事業等のリスク」でも、2025年に自動車産業に特化した関税を含む対米輸出関税の大幅な引き上げが発表され、「現在も高い関税率が継続しています」と書いています
② 北米への依存
- 外部顧客への営業収益の36.5%が米国、金融事業の債権の52.2%が北米です。米国の景気・金利・政策の影響を大きく受けます
③ 損益分岐台数の上昇
- 有報の「経営方針」で、トヨタ自身が「人への投資や未来への投資の拡大に加え、米国関税の影響も重なり、足元では、損益分岐台数が大きく上昇しています」と書いています
- 2027年3月期の見通しは、2026年5月時点で営業利益3.0兆円(中東情勢の影響を含む)、8月4日の第1四半期決算で3.4兆円に上方修正。ただし、令和8年熊本地震の影響は「精査中、見通しには未反映」としています
④ そのほか、会社が挙げるリスク
有報の「事業等のリスク」には、競争の激化、需要の変動、為替・金利、原材料価格、気候変動と低炭素経済への移行、情報セキュリティ、法規制、自然災害などが並んでいます。2024〜2025年には認証問題への対応にも取り組んだと書いています。
5. ライバルとの比較
世界の大手、フォルクスワーゲン(VW)・グループと比べます。決算期・会計の区分・台数の数え方が違うので、おおまかな比較です。
| トヨタ(2026年3月期) | VWグループ(2025年12月期) | |
|---|---|---|
| 売上 | 営業収益 50兆6,849億円 | 売上高 3,219億ユーロ |
| 営業利益 | 3兆7,662億円 | 営業利益 89億ユーロ |
| 営業利益率 | 7.4% | 2.8% |
| 台数 | グループ総販売台数 1,128万3千台(小売) | 顧客への引き渡し 約900万台 |
- VWは2025年12月期、ポルシェの商品計画見直しに関連するのれん等の減損などで47億ユーロの負担があり、2025年4月初めからの米国の輸入関税の引き上げも悪影響だった、と年次報告書で説明しています
- どちらも米国の関税の影響を受けた年でした
- 円とユーロの換算はしていません(為替レートの選び方で数字が変わるため)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
トヨタの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 営業利益と、その増減の内訳(関税・為替・原価改善) | 3兆7,662億円(関税 −1兆3,800億円) | 有報「経営者による分析」、決算説明資料 |
| 自動車事業の営業利益率 | 6.1% | 有報のセグメント情報 |
| 電動車の比率(うちHEV・BEV) | 48.1%(HEV 462万台) | 決算説明資料 |
| 地域別の販売台数(とくに北米) | 北米 293万4千台 | 有報・決算説明資料 |
| 金融事業の利益と、評価損益の影響 | 8,517億円 | 有報のセグメント情報 |
| ROE(親会社所有者帰属持分利益率) | 10.1% | 有報「主要な経営指標等の推移」 |
| PER(有報の期末時点) | 10.7倍 | 同上 |
| 配当と自己株式取得 | 年95円(2027年3月期予想100円)、自己株式取得枠1兆円(2026年8月設定) | 決算説明資料 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ
- 為替の前提(1ドル何円で見通しをつくっているか)も、決算説明資料に毎回書いてあります

プレ男関税だけで1兆円以上…! 車を売る会社なのに、利益の4分の1がローンやリースなのもびっくり
EV戦略の見直しで大きな損失を出した会社の例はホンダの強みとはへ。
トヨタグループに部品を納める会社はデンソーの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- トヨタは営業収益50.7兆円・営業利益3.8兆円(2026年3月期)。利益の約74%が自動車、約23%が金融
- 強みはハイブリッド中心の全方位(電動車48.1%)、現地生産(海外販売の73.9%)、金融事業、大きな財務基盤
- 弱みは米国関税(1兆3,800億円の減益要因)、米国への依存(売上の36.5%)、損益分岐台数の上昇
- VWグループ(2025年12月期)の営業利益率2.8%に対し、トヨタは7.4%
- 決算のたびに、利益の増減の内訳・電動車比率・北米・金融の評価損益を確かめる
参考文献
- トヨタ自動車. 有価証券報告書(2026年3月期、2026年6月10日提出). https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/library/securities-report/archives/archives_2026_03.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- トヨタ自動車. 2026年3月期 決算報告プレゼンテーション資料. https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2026_4q_presentation_jp.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- トヨタ自動車. 2027年3月期 第1四半期 決算報告プレゼンテーション資料(2026年8月4日). https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2027_1q_presentation_jp.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- Volkswagen AG. Annual Report 2025, Summary(Group Management Report). https://annualreport2025.volkswagen-group.com/group-management-report/summary.html (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。