ホンダ(本田技研工業)の強みとは:二輪(バイク)と、四輪・金融サービスの会社。2026年3月期は北米などのEV計画見直しでEV関連損失1兆4,536億円を計上し、営業損失4,143億円。一方、二輪は営業利益7,319億円(+10.3%)の稼ぎ頭
本田技研工業を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日)で分析しました。売上収益21兆7,966億円(+0.5%)、営業損失4,143億円(前年度は1兆2,135億円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失4,239億円。米国でのEV補助金の見直しなどでEV市場の拡大が鈍り、北米で生産予定だったEVモデルの開発中止など四輪電動化戦略を見直したことで、EV関連の損失(減損・除却など)を四輪事業に計上し、四輪事業は営業損失1兆4,111億円。関税の影響も受けました。一方、二輪事業は営業利益7,319億円(+10.3%)、金融サービス事業は2,755億円。親会社所有者帰属持分比率35.3%。2027年3月期は営業利益5,000億円・年70円の見通し(1ドル=145円)。トヨタとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男ホンダが赤字!? 車もバイクも売れてるイメージなのに、何があったの?

メル美電気自動車の計画を見直したってニュースを見たよ。それが関係あるのかな
企業分析の連載、34社目は本田技研工業(ホンダ)です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日)で確認しました。比較には、この連載のトヨタ自動車の強みとはで確認したトヨタの2026年3月期の数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ホンダ株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
二輪車(バイク)と四輪車(自動車)、その販売を支える金融サービス、パワープロダクツ(発電機など)の会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 21兆7,966億円 | 21兆6,888億円(+0.5%) |
| 営業利益 | −4,143億円(損失) | 1兆2,135億円 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | −4,239億円(損失) | 8,358億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 35.3% | 40.1% |
| 営業キャッシュ・フロー | 1兆1,353億円 | 2,922億円 |
| 配当 | 年70円 | 68円 |
- 営業損失の主な理由は、EV(電気自動車)関連損失と関税の影響だとしています
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身 | 売上収益 | 営業利益 | 前期 |
|---|---|---|---|---|
| 二輪 | 二輪車、ATV、Side-by-Sideなど | 4兆188億円 | 7,319億円 | 6,634億円 |
| 四輪 | 四輪車 | 14兆1,669億円 | −1兆4,111億円 | 2,439億円 |
| 金融サービス | ホンダ製品の販売金融 | 3兆5,327億円 | 2,755億円 | 3,156億円 |
| パワープロダクツ及びその他 | 発電機など | 4,204億円 | −107億円 | −94億円 |
- 二輪と金融サービスは黒字ですが、四輪の大きな損失で、全体が赤字になりました
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 二輪事業
- 二輪の営業利益は7,319億円(+10.3%)、売上収益に対する利益率は約18%です。売上の増加も二輪事業が支えたとしています
② 金融サービス
- 販売金融の営業利益は2,755億円。車やバイクを売ったあとも、ローンなどで収益を生みます
③ 現金を生む力
- 営業キャッシュ・フローは1兆1,353億円、現金及び現金同等物は5兆1,185億円
4. 弱み・リスク
① EV戦略の見直しと大きな損失
- 会社によると、米国でEV補助金の見直しや化石燃料規制の緩和が進み、EV市場の拡大スピードが鈍化。中国では新興EVメーカーの台頭で競争が激しくなりました
- これを受けて、一部のEVモデルの上市・開発の中止、共同開発したEVの製造終了などを決め、2026年3月12日には四輪電動化戦略を見直し、北米で生産予定だったEVモデルの上市・開発も中止しました
- その結果、EV関連損失は1兆4,536億円(営業利益の増減要因として)。非金融資産の減損損失5,214億円、除却損失3,314億円などを四輪事業に計上しました
- 2027年3月期も、EV関連損失約5,000億円を見込んでいます
② 関税
- 米国の関税が四輪などの利益を押し下げました
③ 為替
- 2027年3月期の見通しは1ドル=145円が前提で、為替の影響は−1,420億円と見込んでいます
5. ライバルとの比較
トヨタ自動車と比べます(どちらも2026年3月期)。
| ホンダ | トヨタ | |
|---|---|---|
| 売上(売上収益・営業収益) | 21兆7,966億円 | 50兆6,849億円 |
| 営業利益 | −4,143億円(損失) | 3兆7,662億円(−21.5%) |
| 主な柱 | 二輪・四輪・金融 | 自動車・金融 |
- トヨタも減益でしたが黒字を保ち、ホンダはEV関連損失で赤字になりました。電動化の進め方の違いが、2026年3月期の結果に表れた形です(→トヨタ自動車の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ホンダの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 二輪の営業利益 | 7,319億円 | 決算短信(セグメント情報) |
| 四輪の営業損益 | −1兆4,111億円 | 決算短信(セグメント情報) |
| EV関連損失 | 1兆4,536億円(2027年3月期は約5,000億円の見込み) | 決算短信(業績見通しの増減要因) |
| 会社の業績見通し | 2027年3月期 営業利益5,000億円、当期利益2,600億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年70円、2027年3月期予想70円(配当性向104.8%) | 決算短信 |
- 四輪の本業(EV関連損失を除いた部分)の利益と、関税の影響を分けて見ることが大切です
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美赤字の原因は、EVの計画をやめたことによる一度きりの大きな損失が中心。バイクはしっかり稼いでいるんだね
タイヤの会社はブリヂストンの強みとはへ。
ほかの自動車・二輪の会社はスズキの強みとは、マツダの強みとは、ヤマハ発動機の強みとはへ。
経営再建中の自動車メーカーは日産自動車の現状と課題も参考にしてください。
まとめ
- ホンダは、二輪・四輪・金融サービスの会社
- 2026年3月期は営業損失4,143億円。EV関連損失1兆4,536億円と関税が主な理由
- 四輪は1兆4,111億円の損失、二輪は7,319億円の利益、金融は2,755億円
- 背景は、米国のEV補助金の見直しなどによるEV市場の鈍化と、中国の競争激化
- 2027年3月期は営業利益5,000億円の見通し。EV関連損失は約5,000億円を見込む
参考文献
- 本田技研工業. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日). https://global.honda/jp/investors/library/filings/auto_20260513531560/pdfFile.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- トヨタ自動車. 有価証券報告書(2026年3月期、2026年6月10日提出). https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/library/securities-report/archives/archives_2026_03.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。