ソニーの強みとは:ゲーム・音楽・映画・カメラ・半導体の「6つの事業」。2026年3月期の営業利益1兆4,475億円は過去5年で最高、稼ぎ頭はゲームと音楽。金融事業を切り離した会計処理で最終損益は3,269億円の赤字に
ソニーグループを有価証券報告書(2026年3月期)と決算資料で分析しました。継続事業の売上高12兆4,796億円、営業利益1兆4,475億円(営業利益率11.6%)。営業利益の約3割がゲーム&ネットワークサービス、約3割が音楽、約4分の1がイメージセンサー。ゲームの売上の約7割はダウンロード販売とネットワークサービス。2025年10月の金融事業のパーシャル・スピンオフにともなう会計上の振替(1兆3,778億円の損失)で、当社株主に帰属する当期純損益は3,269億円の損失。任天堂(2026年3月期)との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男ソニーって、テレビとウォークマンの会社でしょ?

メル美いまはゲームと音楽が稼ぎ頭らしいよ。しかも最高益なのに「赤字」ってどういうこと?
企業分析の連載、2社目はソニーグループです。有価証券報告書(2026年3月期)、2025年度 決算短信・決算説明会資料、2026年度 第1四半期 連結業績概要(2026年7月)で確認しました。比較には任天堂の決算短信・有価証券報告書(2026年3月期)を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ソニー株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
ゲーム・音楽・映画という「エンタテインメント」と、カメラやイメージセンサーという「テクノロジー」を両方もつ会社。2025年10月に金融事業(ソニー生命など)を切り離した
| 項目(継続事業、IFRS・連結) | 2025年度(2026年3月期) | 前年度 |
|---|---|---|
| 売上高 | 12兆4,796億円 | 12兆349億円 |
| 営業利益 | 1兆4,475億円 | 1兆2,766億円 |
| 営業利益率 | 11.6% | 10.6% |
| 当社株主に帰属する当期純利益(継続事業) | 1兆309億円 | 1兆674億円 |
| 当社株主に帰属する当期純損益(非継続事業を含む) | 3,269億円の損失 | 1兆1,416億円の利益 |
| 従業員数(連結) | 9万4,900人 | 11万2,300人 |
- 前年度の数字も、金融事業を除いた形に組み替えたものです
最高益なのに「赤字」の理由
- ソニーは2025年10月1日、金融事業を営むソニーフィナンシャルグループ(SFGI)の株式を株主に配る「パーシャル・スピンオフ」を行いました。株主は、ソニー株1株につき SFGI 株1株を受け取りました。ソニーに残った SFGI の持分は16.40%です
- このとき、それまで「その他の包括利益」としてためていた金額のうち1兆3,778億円を、損失として損益計算書に振り替えました(会計のルール IFRS による処理)
- その結果、非継続事業(金融事業)の損益は1兆3,578億円の損失となり、グループ全体の最終損益が3,269億円の赤字になりました
- 一方、同じ年度の当社株主に帰属する包括利益は1兆4,980億円のプラスです。本業(継続事業)の利益は1兆309億円でした
2. 何で稼いでいるか
有報のセグメント情報(2025年度)です。売上高はセグメント間取引を含みます。
| 事業(分野) | 売上高 | 営業利益 | 利益率 | 営業利益の割合※ |
|---|---|---|---|---|
| ゲーム&ネットワークサービス(G&NS) | 4兆6,857億円 | 4,633億円 | 9.9% | 約32% |
| 音楽 | 2兆1,201億円 | 4,470億円 | 21.1% | 約31% |
| 映画 | 1兆4,993億円 | 1,049億円 | 7.0% | 約7% |
| エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S:カメラ・テレビ・ヘッドホンなど) | 2兆2,605億円 | 1,586億円 | 7.0% | 約11% |
| イメージング&センシング・ソリューション(I&SS:イメージセンサー) | 2兆1,515億円 | 3,573億円 | 16.6% | 約25% |
| その他 | 891億円 | −746億円 | — | — |
※セグメントの営業利益の合計(1兆4,564億円)に対する割合。
- ゲーム・音楽・センサーの3つで営業利益の約9割
- ゲームの外部売上4兆5,701億円のうち、ダウンロードのソフト・追加コンテンツが2兆4,153億円、ネットワークサービスが7,631億円。合わせて約7割が、本体(ハードウェア)以外の売上です
- 音楽は、ストリーミングによる売上が8,527億円で最大。音楽出版(楽曲の管理・ライセンス)も4,199億円あります
どこで売っている?
| 地域(顧客の所在地) | 売上高 | 割合 |
|---|---|---|
| 日本 | 1兆3,332億円 | 10.7% |
| 米国 | 4兆644億円 | 32.6% |
| 欧州 | 2兆8,268億円 | 22.7% |
| 中国 | 1兆4,287億円 | 11.4% |
| アジア・太平洋 | 1兆6,949億円 | 13.6% |
| その他 | 1兆1,316億円 | 9.1% |
- 売上の約9割が海外です
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① ゲームは「本体を売ったあと」に稼ぐ
- G&NS分野は2025年度、過去最高益を更新しました。ソニーは「拡大したPS5のインストールベース(普及台数)を背景とした、ネットワークサービスとゲームソフトウェア販売からの安定的な収益拡大」と説明しています
- 本体の売上は減っても(ハードウェア・その他は前年度比で減収)、ダウンロード販売と PS Plus などのネットワークサービスで利益が伸びる形です
② 音楽の「権利」と、アニメのヒット
- 音楽分野の営業利益率は21.1%で、6分野の中で最も高い
- 2025年度は、アニプレックスなどによる『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の世界的ヒットが、音楽分野の売上成長に貢献したと書いています。映画分野でも、同作のグローバル配給がアニメ配信の伸びに貢献しました
③ イメージセンサー
- I&SS分野の営業利益は3,573億円(前年度比+962億円)
- 車載向けイメージセンサーについて、ソニーは「金額シェアは想定どおり拡大しています」としています。2026年5月には、次世代イメージセンサーの開発・製造で TSMC と戦略的提携に向けた覚書(MOU) を結びました
④ 事業どうしのつながり
- ゲームの映画化・アニメ化(『Ghost of Tsushima』のアニメシリーズ化など)のように、ゲーム・音楽・映画のIPを分野をまたいで使う取り組みを進めています
- 研究開発費は7,620億円(2025年度、売上高の約6.1%)
4. 弱み・リスク
① 減損・ヒット頼み
- G&NS分野では、ゲーム開発会社 Bungie の無形資産等の減損1,201億円を計上しました
- 映画の製作売上は前年度の6,103億円から4,957億円に減りました。映画・ゲームは作品の当たり外れで業績が動きます
② テレビなどの競争と関税
- ET&S分野は、ディスプレイ(テレビ)の販売台数減少で減益(営業利益1,586億円、前年度比−323億円)。ソニーは「ディスプレイにおける競争の激化や米国追加関税等の厳しい事業環境」と書いています
③ 半導体メモリの値上がり
- ゲームのハードウェアについて「半導体メモリの価格高騰及び供給不足の影響がある」とし、販売台数や販促の計画を柔軟に見直すとしています
④ 為替と海外依存
- 売上の約9割が海外で、有報の「事業等のリスク」でも外国為替変動の影響を挙げています。2026年度の見通しの前提は1ドル153円前後・1ユーロ175円前後(2026年7月時点、2Q〜4Q)です
⑤ 会社が挙げるそのほかのリスク
有報の「事業等のリスク」には、競争の激化、研究開発投資、買収・構造改革、法規制、経済・政治の動向、知的財産、デジタル音楽配信の寡占化、災害、情報セキュリティなどが並んでいます。
5. ライバルとの比較
ゲームでは、同じ日本の任天堂と比べます(どちらも2026年3月期。ただしソニーはIFRS、任天堂は日本基準で、会計基準が違います)。
| ソニー G&NS分野 | 任天堂(全社) | |
|---|---|---|
| 売上高 | 4兆6,857億円 | 2兆3,130億円 |
| 営業利益 | 4,633億円 | 3,601億円 |
| 営業利益率 | 9.9% | 15.6% |
| 主な本体 | PS5 | Nintendo Switch 2(2025年6月発売、1,986万台) |
| 売上の特徴 | ダウンロード・ネットワークサービスで約7割 | ゲーム専用機の売上のうちデジタル売上高 4,076億円 |
- 任天堂は2025年度に新しい本体(Switch 2)を発売した年で、ソニーは発売から年数のたった PS5 のソフト・サービスで稼いだ年でした。本体の発売サイクルのどの時期かで、売上と利益率は大きく変わります
- 会社全体で見ると、ソニーはゲーム以外に音楽・映画・センサーなどがあり、任天堂は事業が単一セグメント(ゲーム専用機とIP関連)です
- 任天堂の分析は任天堂の強みとはで
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ソニーの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年度 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 分野別の営業利益(とくにG&NS・音楽・I&SS) | 4,633億円・4,470億円・3,573億円 | 有報のセグメント情報、決算説明資料 |
| G&NSのデジタル・ネットワーク売上 | 2兆4,153億円+7,631億円 | 有報(製品カテゴリー別売上高) |
| 一時的な損益(減損・会計上の振替) | Bungie 減損1,201億円、スピンオフの振替1兆3,778億円 | 有報 |
| 継続事業と全体の当期純損益の違い | 1兆309億円と−3,269億円 | 有報・決算短信 |
| 業績見通しと為替の前提 | 2026年度 営業利益1兆7,200億円(2026年7月時点) | 決算説明資料 |
| ROE(継続事業ベース) | 12.6% | 有報「主要な経営指標等の推移」の注記 |
| 配当 | 2026年度予想 年35円 | 決算説明資料 |
- 2026年度の見通し(2026年7月時点)は、売上高12兆5,000億円、営業利益1兆7,200億円(5月時点から+1,200億円の上方修正)。2026年7月28日の熊本地震の影響は「現時点で合理的な算定が困難」として織り込んでいません
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方、決算書の読み方は決算短信・有価証券報告書の読み方へ

メル美「赤字」の見出しだけ見てたら勘ちがいしてた。継続事業と全体、どっちの数字かを確かめるのが大事なんだね
まとめ
- ソニーはゲーム・音楽・映画・テクノロジー・センサーの会社。2025年10月に金融事業を切り離した
- 2025年度は営業利益1兆4,475億円(有報に載る過去5年で最高)、利益の約9割をゲーム・音楽・センサーで稼ぐ
- 最終損益の3,269億円の赤字は、スピンオフにともなう1兆3,778億円の会計上の振替による
- 強みはソフト・サービスで稼ぐゲーム、利益率の高い音楽、イメージセンサー
- 弱みは減損・ヒット頼み、テレビの競争と関税、半導体メモリ高、為替
参考文献
- ソニーグループ. 有価証券報告書(2025年度、2026年3月期). https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/r7_q4.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- ソニーグループ. 2025年度 決算短信. https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/presen/er/pdf/25q4_sony.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- ソニーグループ. 2025年度 決算説明会資料(業績). https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/presen/er/pdf/25q4_sonypre.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- ソニーグループ. 2026年度 第1四半期 決算説明会資料. https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/presen/er/pdf/26q1_sonypre.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- 任天堂. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月8日). https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2026/260508.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- 任天堂. 第86期 有価証券報告書(2026年6月25日提出). https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2026/security_q2603.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。