決算短信・有価証券報告書の読み方:速報の「決算短信」は期末から45日以内が目安、くわしい「有価証券報告書」は3か月以内に提出。どこに何が書いてあるか、最初に見る5か所
会社の成績表である決算短信と有価証券報告書の違いと読み方を、東京証券取引所の「決算短信・四半期決算短信 作成要領等」(2026年7月)、金融商品取引法24条、トヨタ自動車の有価証券報告書(2026年3月期)の目次を例にまとめました。決算短信は速報で、東証は通期決算を期末後45日以内(30日以内がより望ましい)に開示するよう求めています。有価証券報告書は事業年度経過後3か月以内にEDINETで提出。業績予想は「約束」ではないことも。初心者が最初に見る5か所(主要な経営指標の推移・事業の内容・事業等のリスク・経営者による分析・セグメント情報)を紹介します。

メル美会社のことをちゃんと調べたいけど、有価証券報告書って200ページ以上あるの…どこから読めばいい?

プレ男決算短信と有価証券報告書って、なにがちがうの?
今回は、会社の成績表である決算短信と有価証券報告書の読み方です。東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信 作成要領等」(2026年7月)、金融商品取引法(e-Gov法令検索)、実際の書類の例としてトヨタ自動車の有価証券報告書(2026年3月期、2026年6月10日提出)で確認しました。
この記事は書類の読み方の説明です。特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
2つの書類のちがい
| 決算短信 | 有価証券報告書(有報) | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 取引所のルールによる速報 | 金融商品取引法による法定の書類 |
| いつ出る | 通期決算は期末後45日以内が適当、30日以内がより望ましい(東証) | 事業年度が終わってから3か月以内(金融商品取引法24条) |
| どこで見る | 東証の適時開示(TDnet)、各社のIRページ | 金融庁のEDINET、各社のIRページ |
| 中身 | サマリー情報、業績の概況と見通し、財務諸表と主な注記 | 事業の内容、リスク、経営者による分析、財務諸表、役員・株主の状況など、くわしい内容 |
| 監査 | — | 監査報告書が付く |
決算短信:いつ出る?
東証の作成要領(2026年7月)では、次のようにしています。
- 上場会社は、決算の内容が定まったら直ちに開示することが義務づけられている
- とりわけ通期の決算は、遅くとも決算期末後45日以内(45日目が休日なら翌営業日)に開示することが適当で、30日以内(期末が月末なら翌月内)の開示がより望ましい
- 通期決算の開示が50日を超えたときは、その理由と今後の見込みを開示する
- 第1・第3四半期の決算短信は、各四半期の終わりから45日以内の開示が原則
3月決算の会社なら、4月下旬〜5月中旬に決算短信が出ることが多い、ということです。
有価証券報告書:いつ出る?
- 金融商品取引法24条により、上場会社などは事業年度ごとに有価証券報告書を出します。期限は、日本の会社なら事業年度が終わってから3か月以内です
- 3月決算の会社なら、6月末までに提出されます。トヨタの2026年3月期の有報は、2026年6月10日に EDINET で提出されました
- EDINETは、金融庁の電子開示システムで、有価証券報告書・半期報告書・大量保有報告書などを誰でも無料で見られます
「業績予想」は約束ではない
- 決算短信では、翌年度の「売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益」の予想(次期の業績予想)を出す形が広く使われています
- ただし東証は、業績予想は「合理的に仮定された条件に基づいて算出されたもの」で、達成を約束するもの(コミットメント)ではなく、業績の進み具合に応じて修正されることが当然に予定されていると説明しています
- 実際、予想は途中で変わります。例:トヨタは2026年5月に今期(2027年3月期)の営業利益の見通しを3.0兆円としましたが、2026年8月4日の第1四半期決算で3.4兆円に上方修正しました(→トヨタの強みとは)
有価証券報告書の目次:トヨタの例
トヨタの有報(2026年3月期)の目次の主なところです。
| 部 | 主な項目 |
|---|---|
| 第1 企業の概況 | 主要な経営指標等の推移、沿革、事業の内容、関係会社の状況 |
| 第2 事業の状況 | 経営方針・課題、サステナビリティ、事業等のリスク、経営者による財政状態・経営成績・キャッシュ・フローの状況の分析、研究開発活動 |
| 第3 設備の状況 | 設備投資、主要な設備 |
| 第4 提出会社の状況 | 株式の状況・大株主、自己株式の取得、配当政策、コーポレート・ガバナンス、従業員の状況 |
| 第5 経理の状況 | 連結財務諸表(注記にセグメント情報)、個別の財務諸表 |
最初に見る5か所
200ページを全部読む必要はありません。初めてなら、次の5か所から。
1. 主要な経営指標等の推移(第1の1)
- 5年分の売上(営業収益)、利益、純資産、総資産、1株当たりの利益・純資産、ROE、PER、キャッシュ・フロー、従業員数などが1つの表にまとまっています
- 例:トヨタの営業収益は、2022年3月期の31.4兆円から2026年3月期の50.7兆円へ(連結、IFRS)
- 指標の意味はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方で
2. 事業の内容(第1の3)
- 会社が何をしている会社か、どんな事業の区分(セグメント)があるか、主な子会社はどこか、が書いてあります
3. 事業等のリスク(第2の3)
- 会社自身が「業績に影響しうる」と考えるリスクの一覧です。為替、原材料、規制、災害、競争など
- 会社が自分で書いたものなので、会社がなにを心配しているかがわかります
4. 経営者による分析(第2の4、いわゆる MD&A)
- 1年の業績がなぜ増えた・減ったかを、会社が説明している部分です
- 例:トヨタは、2026年3月期の営業利益の減少(前期比1兆293億円減)のうち、米国関税の影響を1兆3,800億円と書いています
5. セグメント情報(第5の連結財務諸表の注記)
- 事業ごと・地域ごとの売上と利益の内訳です。「何で稼いでいるか」がいちばんよくわかる表です
- 例:トヨタの営業利益3兆7,662億円のうち、自動車事業が2兆7,770億円、金融事業が8,517億円

メル美まず「5年の推移」と「セグメント」。それから「リスク」を読めば、だいたいの姿がわかるんだね
読むときの注意
- 会計基準が会社によって違います(日本基準・IFRS・米国基準)。たとえば日本基準の「経常利益」は、IFRS の会社の決算には出てこないことがあります。会社どうしを比べるときは基準をそろえて見ます
- 連結(グループ全体)と個別(その会社だけ)の数字があります。ふつうは連結を見ます。トヨタの有報でも、連結(IFRS)と個別(日本基準)の表が別々にあります
- 決算期が違う会社(3月決算と12月決算など)を比べるときは、どの期間の数字かに注意します
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取引所のルールで出る会社のお知らせは適時開示(TDnet)の見方へ。
まとめ
- 決算短信=速報。通期は期末後45日以内が適当、30日以内がより望ましい(東証)
- 有価証券報告書=法定の書類。期末から3か月以内、EDINETで無料で見られる
- 業績予想は約束ではない。途中で修正される
- 最初に見るのは、5年の推移・事業の内容・リスク・経営者の分析・セグメント情報
- 会計基準・連結/個別・決算期をそろえて比べる
参考文献
- 東京証券取引所. 決算短信・四半期決算短信 作成要領等(2026年7月). https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/format/summary/tvdivq0000004wuh-att/t13vrt0000010n9j.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- 東京証券取引所. 決算短信作成要領・四半期決算短信作成要領. https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/format/summary/index.html (閲覧日:2026年10月5日)
- e-Gov法令検索. 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第24条. https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025 (閲覧日:2026年10月5日)
- 金融庁. EDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム). https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/ (閲覧日:2026年10月5日)
- トヨタ自動車. 有価証券報告書(2026年3月期、2026年6月10日提出). https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/library/securities-report/archives/archives_2026_03.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- トヨタ自動車. 2027年3月期 第1四半期 決算報告プレゼンテーション資料(2026年8月4日). https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2027_1q_presentation_jp.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
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