任天堂の強みとは:Switch 2 発売の年に売上高2兆3,130億円(前期の約2倍)。事業はゲーム専用機ほぼ一本、売上の76.9%が海外。強みは自社キャラクターとハード・ソフト一体の開発、弱みは「ヒットと本体の世代交代」で業績が大きく揺れること
任天堂を、決算短信と有価証券報告書(2026年3月期)、2027年3月期第1四半期決算短信で分析しました。売上高2兆3,130億円(前期比98.6%増)、営業利益3,601億円、営業利益率15.6%(前期24.3%)。Nintendo Switch 2 は2025年6月発売で1,986万台、ソフト4,871万本。事業は単一セグメントで、売上の96.8%がゲーム専用機。デジタル売上高4,076億円、海外売上高比率76.9%、自己資本比率77.6%。2025年11月に配当方針を「連結営業利益の40%か配当性向60%の高い方」に変更。過去5年の売上の波、ソニーのゲーム事業との比較、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

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企業分析の連載、3社目は任天堂です。2026年3月期 決算短信(2026年5月8日)、第86期 有価証券報告書(2026年6月25日提出)、2027年3月期 第1四半期 決算短信(2026年8月)、配当方針の変更のお知らせ(2025年11月4日)で確認しました。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、任天堂株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
ゲーム機(ハード)とゲームソフトを自分たちでつくり、マリオなどの自社キャラクターで世界中に売る会社。事業はほぼゲーム専用機の一本足
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆3,130億円 | +98.6% |
| 営業利益 | 3,601億円 | +27.5% |
| 営業利益率 | 15.6%(前期 24.3%) | — |
| 経常利益 | 5,421億円 | +45.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4,240億円 | +52.1% |
| 海外売上高比率 | 76.9% | — |
| 従業員数(連結) | 8,666人 | — |
- 子会社32社・関連会社4社(2026年3月31日現在)
- 経常利益が営業利益より大きいのは、持分法による投資利益827億円、受取利息460億円、為替差益443億円などがあったためです
2. 何で稼いでいるか
任天堂の事業は単一セグメントです。有報によると、販売ルートや販売市場が同じで、経営資源の配分や業績評価を全体で行っているためです。製品・サービス別の売上は次のとおりです。
| 区分 | 2026年3月期の売上高 | 割合 |
|---|---|---|
| ゲーム専用機(ハード・ソフト・オンラインサービスなど) | 2兆2,395億円 | 96.8% |
| IP関連収入等(映画・モバイルアプリ・キャラクターグッズなど) | 735億円 | 3.2% |
2025年度に売れたもの(決算短信)
| ハードウェア | ソフトウェア | |
|---|---|---|
| Nintendo Switch 2(2025年6月発売) | 1,986万台 | 4,871万本(『マリオカート ワールド』1,470万本など) |
| Nintendo Switch(発売10年目) | 380万台 | 1億3,691万本 |
- ゲーム専用機のデジタル売上高は4,076億円(前期比+25.0%)。ダウンロード販売やオンラインサービスの売上です
- IP関連収入等は、主に映画関連の売上が減り、735億円(前期比−9.7%)でした
どこで売っている?
| 地域(顧客の所在地) | 売上高 | 割合 |
|---|---|---|
| 日本 | 5,349億円 | 23.1% |
| 米大陸 | 9,353億円 | 40.4% |
| (うち米国) | 7,901億円 | 34.2% |
| 欧州 | 5,515億円 | 23.8% |
| その他 | 2,914億円 | 12.6% |
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 自社のキャラクターとハード・ソフト一体の開発
- 有報によると、任天堂のゲーム専用機は、当社と関係会社が開発し、当社で製造し(部品の製造・組立ては外部に委託)、主に関係会社が国内外で販売します。本体と、それで遊ぶソフトの両方を自社でつくる形です
- 2025年度のヒットは『マリオカート ワールド』『ドンキーコング バナンザ』『Pokémon LEGENDS Z-A』『スーパーマリオギャラクシー』など、長く続くシリーズが中心でした
- Switch 2 で Switch のソフトも遊べるため、前の世代の定番ソフトも売れ続けた、と会社は説明しています
② デジタル化とアカウント
- デジタル売上高4,076億円。Nintendo Switch Online などの有料会員サービスも提供しています
- 有報では、ニンテンドーアカウントを通じてお客様と直接つながることを目指すと書いています
③ とても厚い財務
- 自己資本比率77.6%、現金及び現金同等物1兆3,166億円(2026年3月31日)
- 有報では、研究開発や設備投資などを内部留保資金でまかなうことを原則としています
- 研究開発費は1,778億円(2026年3月期)
④ 利益に連動する配当
- 2025年11月に配当方針を変え、「連結営業利益の40%」を配当総額の基準にした額か、「連結配当性向60%」を基準にした額の高い方を年間配当にしています(変更前は33%と50%)
- 2026年3月期の配当は年219円(中間42円・期末177円)、配当性向60.1%
4. 弱み・リスク
① 本体の世代交代で業績が大きく揺れる
過去5年の売上高と当期純利益(有報「主要な経営指標等の推移」)です。
| 決算期 | 売上高 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
|---|---|---|
| 2022年3月期 | 1兆6,953億円 | 4,777億円 |
| 2023年3月期 | 1兆6,017億円 | 4,328億円 |
| 2024年3月期 | 1兆6,719億円 | 4,906億円 |
| 2025年3月期 | 1兆1,649億円 | 2,788億円 |
| 2026年3月期 | 2兆3,130億円 | 4,240億円 |
- Switch 2 発売の前年(2025年3月期)は売上が大きく落ち、発売の年に約2倍になりました。本体の世代交代のタイミングで、業績が大きく上下します
- 2026年3月期は売上が約2倍でも、営業利益率は24.3%から15.6%に下がりました
② ヒット作への依存
- 有報の「事業等のリスク」で、会社自身が「全ての新製品や新サービスがお客様に受け入れられる保証はありません」と書いています
- 需要は年末商戦などに集中し、季節で変動します
③ 外部への製造委託と部品
- 主要な部品の製造や組立てをグループ外の企業に委託しており、委託先の生産拠点は海外に多い、と有報に書いています。部品不足や価格高騰は、利益率の低下や供給不足につながるリスクです
④ 為替
- 海外売上が7割を超え、そのほとんどを現地通貨で取引し、多額の外貨建資産も持つため、為替の影響を強く受ける(有報)。2027年3月期の前提は1ドル150円、1ユーロ175円です
⑤ 今期の見通し
- 2027年3月期は、売上高2兆500億円(−11.4%)、営業利益3,700億円(+2.7%)、当期純利益3,100億円(−26.9%)を見込んでいます(2026年5月8日公表。8月の第1四半期決算で修正なし)
- 第1四半期(2026年4〜6月)は、Switch 2 が382万台、売上高5,178億円(前年同期比−9.5%)、営業利益1,426億円(+150.5%)でした
5. ライバルとの比較
ゲームで比べられる日本の会社は、ソニーグループのゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野です(どちらも2026年3月期。任天堂は日本基準、ソニーはIFRSで、会計基準が違います)。
| 任天堂(全社) | ソニー G&NS分野 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆3,130億円 | 4兆6,857億円 |
| 営業利益 | 3,601億円 | 4,633億円 |
| 営業利益率 | 15.6% | 9.9% |
| その年の本体 | Switch 2 発売の年(1,986万台) | 発売から年数のたった PS5 |
| 会社全体の事業 | ゲーム専用機がほぼすべて(単一セグメント) | ゲームのほか、音楽・映画・センサーなど6分野 |
- ソニーは本体の普及後に、ダウンロードとネットワークサービスで稼いだ年。任天堂は新しい本体を広げる年でした。比べるときは、本体のサイクルのどこにいるかをそろえて見る必要があります
- ソニーの分析はソニーの強みとはで
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
任天堂の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| Switch 2 のハード台数・ソフト本数 | 1,986万台・4,871万本 | 決算短信(経営成績の概況) |
| デジタル売上高 | 4,076億円 | 決算短信 |
| 営業利益率 | 15.6% | 決算短信のサマリー |
| 予想販売数量と為替の前提 | 1ドル150円・1ユーロ175円 | 決算短信・決算説明資料 |
| 営業外の損益(為替差益・持分法) | 為替差益443億円、持分法827億円 | 決算短信 |
| ROE(自己資本利益率) | 14.9% | 有報・決算短信 |
| 配当(営業利益40%・配当性向60%) | 年219円、2027年3月期予想162円 | 決算短信 |
- 予想販売数量は、決算短信に「当社HPで公表している決算説明資料に記載」とあります
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方、決算書の読み方は決算短信・有価証券報告書の読み方へ

プレ男新しいゲーム機が出る前の年は売上が落ちて、出た年に一気に伸びる。1年だけ見ても会社のことはわからないんだね
IP(キャラクター)をおもちゃ・ゲーム・映像に広げる会社はバンダイナムコホールディングスの強みとはへ。
まとめ
- 任天堂はゲーム専用機がほぼすべての会社(売上の96.8%)
- 2026年3月期は Switch 2(1,986万台) で売上高2兆3,130億円(前期の約2倍)、営業利益3,601億円
- 強みは自社キャラクターとハード・ソフト一体の開発、デジタル化、厚い財務、利益連動の配当
- 弱みは本体の世代交代とヒットへの依存で業績が揺れること、外部への製造委託、為替
- 決算のたびに、台数・本数、デジタル売上、利益率、為替の前提を確かめる
参考文献
- 任天堂. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月8日). https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2026/260508.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- 任天堂. 第86期 有価証券報告書(2026年6月25日提出). https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2026/security_q2603.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- 任天堂. 2027年3月期 第1四半期 決算短信〔日本基準〕(連結). https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2026/260806.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- 任天堂. 剰余金の配当(中間配当)、配当方針の変更および期末配当予想の修正に関するお知らせ(2025年11月4日). https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2025/251104_3.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- ソニーグループ. 有価証券報告書(2025年度、2026年3月期). https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/r7_q4.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。