マツダの強みとは:「CX-5」などのSUVを北米・日本・欧州で売る自動車メーカー。2026年3月期は米国の関税の影響1,549億円で営業利益516億円(−72.3%)。日本セグメントは1,618億円の赤字、北米は1,675億円の黒字に
マツダを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で分析しました。売上高4兆9,182億円(−2.0%)、営業利益516億円(−72.3%、営業利益率1.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益351億円(−69.2%)、ROE1.9%。営業利益の減少1,345億円のうち、米国の関税の影響が1,549億円。グローバル販売台数は122万3千台(−6.1%)で、関税負担の大きいメキシコ製CX-30の生産を抑えたことなどで米国は39万5千台(−9.2%)。セグメント営業利益は日本−1,618億円(前期485億円)、北米1,675億円(+150.2%)、欧州180億円。営業キャッシュ・フローは2億円にとどまりました。主力の「CX-5」は世界累計500万台で、グローバル販売のおよそ4分の1。年55円の配当(配当性向98.9%)、2027年3月期は新型CX-5の展開で営業利益1,500億円・グローバル販売132万4千台の予想。スズキとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美マツダの車って、どこの国でよく売れているのかな

プレ男アメリカの関税で、利益がすごく減ったって聞いたよ。どれくらい影響があったの?
企業分析の連載、62社目はマツダです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。比較には、この連載のスズキの強みとはで確認したスズキの数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、マツダ株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の車の購入をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
「CX-5」などのSUVを中心に、北米・日本・欧州などで車を売る自動車メーカー。輸出の比率が高い
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4兆9,182億円 | −2.0% |
| 営業利益 | 516億円 | −72.3% |
| 営業利益率 | 1.0% | 前期 3.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 351億円 | −69.2% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 1.9% | 前期 6.5% |
| 自己資本比率 | 42.5% | 前期 43.8% |
| グローバル販売台数 | 122万3千台 | −6.1% |
| 配当 | 年55円(配当性向98.9%) | 前期 55円 |
- 会社は、米国の関税政策が「輸出比率が高い当社グループの事業に大きな影響を及ぼし、収益構造の見直しを求められる大変厳しい局面」になったとしています
営業利益が減った理由(前期比 −1,345億円)
| 要因 | 金額 |
|---|---|
| 関税の影響 | −1,549億円 |
| 原材料・物流費など | −377億円 |
| 台数・構成 | −318億円 |
| 為替 | +106億円 |
| コスト改善 | +369億円 |
| 固定費ほか | +424億円 |
- 関税の影響だけで、前期の営業利益(1,861億円)の8割以上にあたります
2. 何で稼いでいるか
セグメント(地域)別の売上高と営業利益です。
| セグメント | 売上高 | 営業利益 | 前期(利益) |
|---|---|---|---|
| 日本 | 3兆3,579億円(−10.0%) | −1,618億円 | 485億円 |
| 北米 | 2兆9,534億円(−10.3%) | 1,675億円(+150.2%) | 670億円 |
| 欧州 | 8,889億円(+16.0%) | 180億円 | 192億円 |
| その他の地域 | 6,611億円 | 327億円 | 231億円 |
- 日本のセグメントが大きな赤字、北米が大きな黒字になりました
市場別の販売台数
| 市場 | 販売台数 | 前期比 |
|---|---|---|
| 北米 | 58万2千台(うち米国39万5千台) | −5.7% |
| 日本 | 14万4千台 | −5.3% |
| 欧州 | 16万4千台 | −6.0% |
| 中国 | 7万1千台 | −4.0% |
| その他 | 26万2千台 | −8.2% |
- 米国では、「CX-5」「CX-50」は増えたものの、関税負担の大きいメキシコ製の「CX-30」の生産を抑えたことなどで、販売が9.2%減りました
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 主力の「CX-5」
- 「CX-5」は、2012年の発売以来世界累計500万台で、グローバル販売のおよそ4分の1を占める主力モデルです。約8年ぶりにフルモデルチェンジした新型CX-5を、2025年度の後半から欧州・北米で売り始めました
② 自分でコントロールできることへの取り組み
- 一定の生産・販売台数を保ちながら、原価低減(+369億円)、固定費の削減、価格戦略の見直しなどに取り組んだとしています
③ 欧州の増収
- 欧州は売上高が16.0%増えました
4. 弱み・リスク
① 米国の関税
- 関税の影響は1,549億円。2027年3月期も、地政学リスク、関税、原材料の高騰など不透明な環境が続くとしています
② 現金を生む力の低下
- 営業活動によるキャッシュ・フローはわずか2億円(前期3,056億円)でした。売上債権の増加や法人税等の支払いなどが理由です
③ 配当性向の高さ
- 利益が減っても配当は年55円を維持し、配当性向は98.9%になりました
5. ライバルとの比較
同じく中堅の自動車メーカー、スズキと比べます。会計基準(スズキはIFRS)が違うので、おおまかな比較です。どちらも2026年3月期です。
| マツダ | スズキ | |
|---|---|---|
| 売上 | 4兆9,182億円(−2.0%) | 6兆2,930億円(+8.0%) |
| 営業利益 | 516億円(−72.3%) | 6,229億円(−3.1%) |
| 営業利益率 | 1.0% | 9.9% |
| いちばん大きい市場 | 北米(58万2千台) | インド(186万2千台) |
- 北米への輸出が多いマツダは関税の影響を大きく受け、インドが中心のスズキは影響が小さい、という違いが出ました(→スズキの強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
マツダの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 営業利益の増減要因(関税の影響) | 関税 −1,549億円 | 決算短信(経営成績) |
| 米国の販売台数 | 39万5千台 | 決算短信(市場別販売) |
| 営業キャッシュ・フロー | 2億円 | 決算短信(キャッシュ・フロー) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高5兆5,000億円、営業利益1,500億円、販売132万4千台 | 決算短信 |
| 配当 | 年55円、2027年3月期予想55円 | 決算短信 |
- 会社予想の為替の前提は、1ドル155円、1ユーロ180円です
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ。米国の関税の影響はトヨタの強みとは、ホンダの強みとはも

プレ男関税だけで1,500億円以上も利益が減ったんだ。どこの国で車をつくって、どこで売っているかで、影響がこんなに違うんだね
トラック・ピックアップトラックの会社はいすゞ自動車の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- マツダは、CX-5などのSUVを北米・日本・欧州で売る自動車メーカー
- 2026年3月期は米国の関税の影響1,549億円で、営業利益516億円(−72.3%)
- 日本セグメントは−1,618億円、北米は+1,675億円
- 営業キャッシュ・フローは2億円、配当性向は98.9%
- 2027年3月期は新型CX-5の展開で営業利益1,500億円の予想
参考文献
- マツダ. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www.mazda.com/content/dam/mazda/corporate/mazda-com/ja/pdf/investors/library/result/2026/result20260512_j.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- スズキ. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日). https://www.suzuki.co.jp/ir/library/financialaffairs/pdf/2026_fin/financialaffairs.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。