いすゞ自動車の強みとは:トラック・バスの商用車(CV)と、ピックアップトラック(LCV)、産業用エンジンの会社。2026年3月期は売上収益3兆4,791億円(+7.5%)、総販売台数56万5,858台(+8.1%)。米国関税や中東情勢の出荷停止で営業利益は2,037億円(−11.2%)
いすゞ自動車を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益3兆4,791億円(+7.5%)、営業利益2,037億円(−11.2%、営業利益率5.9%)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,349億円(−3.7%)、ROE9.5%、親会社所有者帰属持分比率40.4%。総販売台数は56万5,858台(+8.1%)で、国内8万1,741台(+5.5%)、海外のCV(トラック・バス)22万9,898台(+6.0%、中近東・アフリカ・中南米)、LCV(ピックアップトラックと派生車)25万4,219台(+11.0%)。産業用エンジンの売上収益は1,280億円(+21.4%)。米国関税、資材費の上昇、為替、成長関連費用、中東情勢による3月の出荷停止で減益。セグメント利益は自動車1,899億円、金融139億円。年92円の配当(配当性向47.6%)、2027年3月期は中東情勢で400億円の減益影響を織り込み営業利益2,600億円(+27.6%)・年94円の予想。マツダとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男いすゞって、街で見かけるトラックの会社だよね

メル美決算短信を見ると、海外で売るピックアップトラックの台数がトラック・バスより多いんだって
企業分析の連載、113社目はいすゞ自動車です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のマツダの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、いすゞ自動車株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
トラック・バス(CV)、ピックアップトラックとその派生車(LCV)、産業用エンジンをつくって世界で売る会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 3兆4,791億円 | +7.5% |
| 営業利益 | 2,037億円 | −11.2% |
| 営業利益率 | 5.9% | 前期 7.1% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,349億円 | −3.7% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 9.5% | 前期 10.2% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 40.4% | 前期 41.6% |
| 総販売台数 | 56万5,858台 | +8.1% |
| 配当 | 年92円(配当性向47.6%) | 前期 92円 |
- 販売台数の増加と価格対応はプラスでしたが、米国関税、資材費などの上昇、為替、成長関連費用の増加、中東情勢による出荷停止で、営業利益は減りました
2. 何で稼いでいるか
販売台数
| 区分 | 台数 | 前期比 |
|---|---|---|
| 国内(車両) | 8万1,741台 | +5.5% |
| 海外のCV(トラック・バス) | 22万9,898台 | +6.0% |
| 海外のLCV(ピックアップトラック・派生車) | 25万4,219台 | +11.0% |
- 海外のCVは、米国の関税影響や市況の悪化があった一方、中近東・アフリカ・中南米を中心に増えました
- 海外のLCVは、タイ国内向けは厳しい市況が続いたものの、アフリカ・オセアニアを中心に増えました。輸出向けは、サウジアラビアの需要減と、中東情勢の影響による3月の出荷停止で減りました
売上収益の内訳
- 国内1兆3,853億円(+8.6%)、海外2兆937億円(+6.8%)です
- 産業用エンジンは1,280億円(+21.4%)、保有事業などの「その他」は8,428億円(+7.4%)でした
| セグメント | 売上収益 | セグメント利益 |
|---|---|---|
| 自動車 | 3兆4,350億円(+7.5%) | 1,899億円(−12.1%) |
| 金融 | 2,108億円(+13.9%) | 139億円(−4.0%) |
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 新興国を含む幅広い販売先
- 中近東・アフリカ・中南米・オセアニアなどで販売を伸ばしました
② 車を売ったあとの事業
- 保有事業などが国内・海外で伸び、「その他」の売上収益は+7.4%でした
③ 産業用エンジン
- 産業用エンジンの売上収益は+21.4%でした
4. 弱み・リスク
① 米国関税と中東情勢
- 米国関税の影響に加え、中東情勢で3月に出荷を止めました。会社は、2027年3月期の予想に中東情勢による400億円の減益影響を織り込んでいます
② 資材費の上昇
- 資材費などの上昇が利益を押し下げています
③ 北米の売上の減少
- 北米(米国)の売上収益は、2,792億円から2,199億円に減りました(地域別の売上収益の合計)
5. ライバルとの比較
自動車メーカーのマツダと比べます。いすゞは商用車・ピックアップトラックが中心で、事業の中身が違い、会計基準(マツダは日本基準)も違うので、おおまかな比較です(どちらも2026年3月期)。
| いすゞ自動車 | マツダ | |
|---|---|---|
| 売上収益(売上高) | 3兆4,791億円(+7.5%) | 4兆9,182億円(−2.0%) |
| 営業利益 | 2,037億円(−11.2%) | 516億円(−72.3%) |
| 営業利益率 | 5.9% | 1.0% |
| ROE | 9.5% | 1.9% |
- どちらも米国関税などで減益でしたが、いすゞのほうが利益を保っています(→マツダの強みとは)。自動車メーカーはトヨタの強みとは、物流の会社はヤマトホールディングスの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
いすゞの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| CV・LCVの販売台数 | 海外CV 22万9,898台、海外LCV 25万4,219台 | 決算短信(経営成績の概況) |
| 自動車事業のセグメント利益 | 1,899億円 | 決算短信(セグメントの業績) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益3兆7,000億円、営業利益2,600億円 | 決算短信(次期の見通し) |
| 配当 | 年92円、2027年3月期予想94円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美トラックだけじゃなく、ピックアップトラックやエンジンも売っているのね。中東情勢で出荷が止まった影響がどこまで続くか見ておきたいな
アジアが利益の柱の自動車メーカーは三菱自動車工業の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- いすゞは、トラック・バス(CV)とピックアップトラック(LCV)、産業用エンジンの会社
- 2026年3月期は売上収益3兆4,791億円(+7.5%)、営業利益2,037億円(−11.2%)
- 総販売台数は56万5,858台(+8.1%)
- 減益の理由は米国関税・資材費・中東情勢による出荷停止など
- 2027年3月期は中東情勢の400億円の影響を織り込んで、営業利益2,600億円の予想
参考文献
- いすゞ自動車. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/72020/140120260513527748.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- マツダ. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www.mazda.com/content/dam/mazda/corporate/mazda-com/ja/pdf/investors/library/result/2026/result20260512_j.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。