ヤマトホールディングスの強みとは:「宅急便」のエクスプレス事業が営業収益の8割以上。2026年3月期は営業収益1兆8,657億円(+5.8%)、営業利益283億円(前期の約2倍)で営業利益率は1.5%。人への投資や調達単価の上昇の中、運賃の改定と大口法人の価格の見直しを進める
ヤマトホールディングスを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日)で分析しました。営業収益1兆8,657億円(+5.8%)、営業利益283億円(+99.2%、営業利益率1.5%)、経常利益263億円(+34.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益137億円(−64.0%、前期の本社ビルなどのセール・アンド・リースバックの特別利益の反動)、ROE2.4%、自己資本比率44.6%。エクスプレス事業(宅急便)は外部顧客への営業収益1兆5,580億円(+1.5%)、営業利益23億円(前期より152億円の改善)。宅急便・宅急便コンパクト・EAZYは19億4,100万個(−1.0%)、ネコポス・クロネコゆうパケットは4億5,100万個(+15.4%)。2025年10月に宅急便の届出運賃を改定。コントラクト・ロジスティクス(ナカノ商会の連結子会社化で+69.6%)、グローバル、モビリティも。配当は年46円で配当性向106.8%、2027年3月期は営業利益420億円の予想。日本郵政の郵便・物流との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男ネットで買った物は、だいたいクロネコヤマトで届くよ。もうかっているんだろうね

メル美決算短信を見ると、営業利益率は1.5%なんだって。荷物が多くても、利益はとても薄いみたい
企業分析の連載、89社目はヤマトホールディングスです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日)で確認しました。比較には、この連載の日本郵政の強みとはで確認した郵便・物流セグメントの数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ヤマトホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
「宅急便」を中心に、個人・法人の荷物を運び、企業の物流センターの運営、国際輸送、車両整備なども手がける物流の会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 1兆8,657億円 | +5.8% |
| 営業利益 | 283億円 | +99.2% |
| 営業利益率 | 1.5% | 前期 0.8% |
| 経常利益 | 263億円 | +34.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 137億円 | −64.0% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 2.4% | 前期 6.5% |
| 自己資本比率 | 44.6% | 前期 46.5% |
| 配当 | 年46円(配当性向106.8%) | 前期 46円 |
- 営業収益は、小口法人・個人からの宅急便の取扱数量の拡大、大口法人に対するプライシング(価格)の適正化、法人向けビジネスの拡大で増えました
- 費用は、社員やパートナーの待遇向上などの人への投資、集配拠点の再配置、調達単価の上昇などで増えました
- 純利益が減ったのは、前期に本社ビルなどのセール・アンド・リースバック(売却して借りる取引)の特別利益があった反動などです
2. 何で稼いでいるか
| 事業 | 中身(決算短信の記載) | 外部顧客への営業収益 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| エクスプレス | 宅急便を中心とした国内の輸配送 | 1兆5,580億円(+1.5%) | 23億円(前期より152億円改善) |
| コントラクト・ロジスティクス | 企業の在庫・配送拠点やEC事業者の物流センターの運営 | 1,646億円(+69.6%) | 62億円 |
| グローバル | 国際フォワーディング、海外のコントラクト・ロジスティクス | 976億円(+13.5%) | 82億円(−9億円) |
| モビリティ | 車両整備、「EVライフサイクルサービス」 | 220億円(+7.5%) | 52億円(+14億円) |
| その他 | IT、コールセンター、金融サービスなど | 235億円(−3.9%) | 66億円 |
- 外部顧客への営業収益の8割以上がエクスプレスです。計算すると約84%です
宅急便などの取扱数量
| 区分 | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 宅急便・宅急便コンパクト・EAZY | 19億4,100万個 | −1.0% |
| ネコポス・クロネコゆうパケット | 4億5,100万個 | +15.4% |
| クロネコゆうメール | 9,500万冊 | −13.6% |
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 価格の見直し
- 2025年10月に宅急便の届出運賃を改定し、大口法人のお客様には付加価値に応じた価格の適正化を進めています。同年11月には「宅急便当日配送サービス」を始め、同一都道府県内の運賃を新しくつくりました
② 法人向けビジネスの拡大
- コントラクト・ロジスティクスは、ナカノ商会の連結子会社化や新しい案件の獲得で、外部顧客への営業収益が+69.6%でした。2025年10月には福島県郡山市に、輸送ターミナルとロジスティクスセンターを組み合わせた拠点を開設しました
③ 宅急便のネットワーク
- 宅急便の取扱数量は年19億個を超えます。会社は「宅急便ネットワークの強靭化」を中期経営計画の柱にしています
4. 弱み・リスク
① とても薄い利益
- 営業利益率は1.5%です。会社は、物価上昇や中長期的な輸送力不足など、外部環境の変化によるコスト上昇が続くと見込んでいます
② 配当性向が100%超
- 2026年3月期の配当性向は106.8%で、純利益より多くの配当を払いました(→配当方針の読み方)
③ 上期の赤字の見通し
- 2027年3月期の第2四半期(累計)は、営業利益0円、純損失15億円の予想です
5. ライバルとの比較
宅配の大手、日本郵政の郵便・物流セグメントと比べます。会計の区分が違うので、おおまかな比較です(どちらも2026年3月期)。
| ヤマトHD(全社) | 日本郵政(郵便・物流セグメント) | |
|---|---|---|
| 収益 | 営業収益 1兆8,657億円(+5.8%) | 経常収益 2兆3,084億円 |
| 利益 | 営業利益 283億円 | 経常損益 −55億円 |
- どちらも、人件費や委託費などのコストが増える中、宅配の利益はとても薄い状況です(→日本郵政の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ヤマトHDの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 宅急便などの取扱数量 | 19億4,100万個(−1.0%) | 決算短信(エクスプレス事業) |
| エクスプレス事業の営業利益 | 23億円 | 決算短信(セグメント) |
| 営業利益率 | 1.5% | 決算短信のサマリー |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 営業収益1兆9,200億円、営業利益420億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年46円、2027年3月期予想46円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男毎日たくさんの荷物を運んでいても、人件費などが増えて利益は少しなんだね。運賃の見直しがどこまで効くか見ておこう
国内外の物流の会社はNIPPON EXPRESSホールディングスの強みとはも参考にしてください。
ほかの宅配便の会社はSGホールディングスの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- ヤマトHDは、宅急便を中心とした物流の会社。営業収益の8割以上がエクスプレス事業
- 2026年3月期は営業収益1兆8,657億円、営業利益283億円(営業利益率1.5%)
- 運賃の改定と大口法人の価格の見直し、法人向けビジネスの拡大を進める
- リスクはコスト上昇と輸送力不足。配当性向は106.8%
- 2027年3月期は営業利益420億円の予想
参考文献
- ヤマトホールディングス. 2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日). https://www.yamato-hd.co.jp/investors/pdf/4q_tansin_2026_03.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 日本郵政. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS06651/276e8835/c88e/49db/a946/4e9a1dc6bcac/140120260513531522.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。