NIPPON EXPRESSホールディングスの強みとは:日本通運の国内物流がセグメント利益の約半分、米州・欧州・アジアの国際物流、警備輸送・重量品建設も。2025年12月期は土地売却益と欧州ののれん減損が重なり、当期利益26億円(−91.5%)
NIPPON EXPRESSホールディングスを、2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日)で分析しました。売上収益2兆5,748億円(−0.1%)、営業利益514億円(+4.9%、営業利益率2.0%)、税引前利益417億円(−19.5%、為替の影響など)、親会社の所有者に帰属する当期利益26億円(−91.5%)、ROE0.3%、親会社所有者帰属持分比率34.3%。営業利益には、東京都江東区の土地・建物の譲渡益743億円と、欧州セグメントに配分したのれんの減損損失595億円が含まれます。セグメント利益は、日本(ロジスティクス)445億円(+9.8%、料金改定とコスト削減)、物流サポート161億円(+31.8%)、米州57億円、東アジア57億円、重量品建設53億円、欧州47億円(−57.4%)、南アジア・オセアニア32億円、警備輸送24億円。2025年2月にドイツのSimon Hegele社を買収。年100円の配当(2025年1月に1株→3株の分割)、2026年12月期は営業利益1,000億円・当期利益600億円・年100円の予想。ヤマトホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美日本通運の親会社って、利益が9割も減ったの?

プレ男決算短信を見ると、土地を売った利益と、欧州の会社ののれんの減損が同じ年に出たんだって。数字を分けて見てみよう
企業分析の連載、153社目はNIPPON EXPRESSホールディングスです。2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、同じ決算短信のPDF(IR資料の配信サービスに掲載)を使っています。比較には、この連載のヤマトホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、NIPPON EXPRESSホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
日本通運などのグループで、航空・海運・鉄道の貨物の取扱い、倉庫・流通加工、引越などのロジスティクスを日本と世界で手がけ、警備輸送・重量品建設・物流サポートももつ会社
| 項目(IFRS・連結) | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆5,748億円 | −0.1% |
| 営業利益 | 514億円 | +4.9% |
| 営業利益率 | 2.0% | 前期 1.9% |
| 税引前利益 | 417億円 | −19.5% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 26億円 | −91.5% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 0.3% | 前期 3.8% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 34.3% | 前期 37.2% |
| 配当 | 年100円(配当性向926.7%) | 前期 300円(分割前) |
- 営業利益には、東京都江東区の土地・建物の譲渡による固定資産売却益743億円(その他の収益)と、主に欧州セグメントに配分したのれんの減損損失595億円(その他の費用)が両方含まれています
- 税引前利益は、為替の影響などで減りました
- 2025年1月1日に1株→3株の株式分割をしています(→株式分割と投資単位)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上収益 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|
| 日本(ロジスティクス) | 料金改定の効果、取扱いは減少、コスト削減 | 1兆2,603億円(−0.1%) | 445億円(+9.8%) |
| 物流サポート | 物流商品・整備製作・不動産の取扱い増加 | 4,467億円(+6.2%) | 161億円(+31.8%) |
| 欧州(ロジスティクス) | Simon Hegele社の連結、コスト増 | 5,279億円(+5.2%) | 47億円(−57.4%) |
| 米州(ロジスティクス) | 航空・海運貨物の取扱いが減少 | 1,380億円(−9.8%) | 57億円 |
| 東アジア(ロジスティクス) | 事業再編・機能統合のコスト削減 | 1,658億円(−4.7%) | 57億円(+25.9%) |
| 南アジア・オセアニア(ロジスティクス) | 航空貨物の減少、販売単価の下落 | 1,554億円(−1.4%) | 32億円(−40.5%) |
| 重量品建設 | シャットダウンメンテナンス工事は増加、風力工事関連は減少 | 485億円(−2.9%) | 53億円 |
| 警備輸送 | 料金改定の効果、コスト増 | 695億円(+1.4%) | 24億円 |
- セグメント利益の合計876億円のうち、日本(ロジスティクス)が約51%、海外4地域の合計は約22%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 国内物流の収益性改善
- 日本(ロジスティクス)は、取扱いが減った中でも、料金改定と各種コスト削減で利益が+9.8%でした
② 世界の物流網と買収
- 米州・欧州・東アジア・南アジア・オセアニアに拠点をもちます。2025年2月には、医療機器などのロジスティクスに強みをもつドイツのSimon Hegele社を買収し、欧州のコントラクトロジスティクスを強化しました
③ 資産の見直し
- 会社は、ROIC5%をハードルレートとして、低収益な事業用資産・投資用不動産の売却やセール&リースバック、別荘地管理事業などの事業譲渡を進めています
4. 弱み・リスク
① 欧州事業
- 欧州は、コスト増でセグメント利益が57.4%減り、主に欧州セグメントに配分したのれんの減損損失595億円を計上しました
② 低い利益率と配当性向
- 営業利益率は2.0%、ROEは0.3%、配当性向は926.7%でした
③ 一度きりの損益
- 2025年12月期の営業利益は、土地の譲渡益とのれんの減損という一度きりの項目に大きく左右されています
5. ライバルとの比較
物流大手のヤマトホールディングスと並べます。会計基準(ヤマトは日本基準)と決算期(ヤマトは3月期)、事業の中身(ヤマトは宅急便が中心)が違うので、おおまかな比較です。
| NXHD(2025年12月期) | ヤマトHD(2026年3月期) | |
|---|---|---|
| 売上(営業収益) | 2兆5,748億円(−0.1%) | 1兆8,657億円(+5.8%) |
| 営業利益 | 514億円(+4.9%) | 283億円(+99.2%) |
| 営業利益率 | 2.0% | 1.5% |
| ROE | 0.3% | 2.4% |
| 自己資本(帰属持分)比率 | 34.3% | 44.6% |
- どちらも営業利益率は低い水準です(→ヤマトホールディングスの強みとは)。海運で物流を手がける会社は川崎汽船の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
NXHDの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年12月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 日本(ロジスティクス)のセグメント利益 | 445億円 | 決算短信(セグメント別の業績概況) |
| 欧州のセグメント利益 | 47億円 | 決算短信(セグメント別の業績概況) |
| 一度きりの収益・費用 | 土地譲渡益743億円、のれん減損595億円 | 決算短信(注記) |
| 会社の業績予想 | 2026年12月期 売上収益2兆7,000億円、営業利益1,000億円、当期利益600億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年100円、2026年12月期予想100円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美土地の売却益と減損が重なって、当期利益だけを見るとわかりにくいのね。セグメント利益で本業を見るようにしよう
倉庫と国際輸送の会社は三井倉庫ホールディングスの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- NXHDは、日本通運などで国内外の物流を手がける会社
- 2025年12月期は営業利益514億円(+4.9%)、当期利益は26億円(−91.5%)
- 営業利益に土地譲渡益743億円と欧州ののれん減損595億円
- セグメント利益の約51%が日本、欧州は57.4%減
- 2026年12月期は営業利益1,000億円・当期利益600億円の予想
参考文献
- NIPPON EXPRESSホールディングス. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日). https://pdf.irpocket.com/C9147/YpwX/xR9Z/nTUC.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- ヤマトホールディングス. 2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日). https://www.yamato-hd.co.jp/investors/pdf/4q_tansin_2026_03.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。