川崎汽船の強みとは:自動車船・物流・コンテナ船(ONE社)の製品物流がセグメント利益の約8割。ドライバルク、LNG船などのエネルギー資源も。2026年3月期は経常利益1,091億円(−64.6%)、コンテナ運賃の下落でONE社の持分法利益が大きく減少
川崎汽船を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月8日、東証の適時開示)で分析しました。売上高1兆183億円(−2.8%)、営業利益841億円(−18.2%)、経常利益1,091億円(−64.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,329億円(−56.5%)、ROE7.7%、自己資本比率76.9%。持分法による投資利益は227億円(前期2,020億円)で、うちコンテナ船のONE社からは150億円。新造船の大量竣工による供給過剰で平均運賃が前期を下回った。セグメント損益は、製品物流908億円(−69.0%、自動車船・物流・近海内航・コンテナ船)、ドライバルク109億円(−17.9%)、エネルギー資源96億円(+96.9%、中長期の傭船契約)。年120円の配当(配当性向57.0%)、2027年3月期は経常利益1,000億円・年120円の予想。日本郵船・商船三井との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男海運の会社って、前の年にすごくもうかってたって聞いたけど、今年はどうなの?

メル美川崎汽船の決算短信を見ると、コンテナ船の運賃が下がって、経常利益は前の年の3分の1くらいになったんだって
企業分析の連載、137社目は川崎汽船です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月8日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の日本郵船の強みとは・商船三井の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、川崎汽船株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
自動車船・物流・近海内航・コンテナ船(持分法適用関連会社のONE社)の「製品物流」を中心に、鉄鉱石などを運ぶドライバルク、LNG船などのエネルギー資源の輸送も手がける海運会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆183億円 | −2.8% |
| 営業利益 | 841億円 | −18.2% |
| 経常利益 | 1,091億円 | −64.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,329億円 | −56.5% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 7.7% | 前期 18.8% |
| 自己資本比率 | 76.9% | 前期 74.6% |
| 配当 | 年120円(配当性向57.0%) | 前期 100円 |
- 経常利益が大きく減ったのは、持分法による投資利益が2,020億円→227億円に減ったためです。うち、コンテナ船のONE社(OCEAN NETWORK EXPRESS)からの持分法による投資利益は150億円でした
- 当期純利益が経常利益を上回ったのは、固定資産売却益(188億円)などの特別利益と、法人税等調整額のマイナスによるものです
2. 何で稼いでいるか
セグメント損益は、経常利益の段階の数字です(一部の営業外損益の配賦方法を変え、前期も組み替えています)。
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 売上高 | セグメント損益 |
|---|---|---|---|
| 製品物流 | 自動車船、物流(国内物流・港湾、国際物流、完成車物流)、近海・内航、コンテナ船 | 6,164億円(+0.6%) | 908億円(−69.0%) |
| ドライバルク | 大型船・中小型船(鉄鉱石、ボーキサイト、石炭など) | 2,927億円(−9.2%) | 109億円(−17.9%) |
| エネルギー資源 | LNG船、LPG船、電力炭船、大型原油船、ドリルシップ、FPSOなど | 1,006億円(−1.2%) | 96億円(+96.9%) |
- その他を含むセグメント損益の合計(調整額の前)1,135億円のうち、製品物流が約80%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 厚い財務
- 自己資本比率は76.9%、現金及び現金同等物は3,197億円です
② 中長期契約のエネルギー資源
- LNG船・LPG船・ドリルシップ・FPSOなどは、中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、底堅い収益に貢献しました
③ 物流事業の広がり
- 国内物流・港湾、フォワーディング(航空輸送では半導体輸送量が増加)、豪州の完成車物流、フェリーなどの内航も手がけています
4. 弱み・リスク
① コンテナ船の運賃
- コンテナ船は、新造船の大量竣工による供給過剰が解消せず、平均運賃が前期を下回り、ONE社は減収減益でした
② 自動車船と関税・中東情勢
- 自動車船は、米国向けの追加関税と期末の中東情勢の悪化で、配船の変更や燃料費などのコスト上昇の影響を受けました
③ 利益の振れ幅
- 経常利益は前期の3,081億円から1,091億円へ大きく減りました。海運の利益は市況で大きく変わります
5. ライバルとの比較
海運大手の日本郵船・商船三井と比べます。3社とも日本基準・2026年3月期です。
| 川崎汽船 | 日本郵船 | 商船三井 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆183億円(−2.8%) | 2兆4,236億円(−6.4%) | 1兆8,250億円(+2.8%) |
| 経常利益 | 1,091億円(−64.6%) | 2,111億円(−57.0%) | 1,758億円(−58.1%) |
| 当期純利益 | 1,329億円(−56.5%) | 2,117億円(−55.7%) | 2,133億円(−49.9%) |
| ROE | 7.7% | 7.1% | 7.7% |
| 自己資本比率 | 76.9% | 59.1% | 48.2% |
| 配当 | 年120円 | 年230円 | 年200円 |
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
川崎汽船の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 持分法による投資利益(うちONE社) | 227億円(150億円) | 決算短信(経営成績の概況) |
| 製品物流のセグメント損益 | 908億円 | 決算短信(セグメント別) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高1兆200億円、経常利益1,000億円、当期純利益950億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年120円、2027年3月期予想120円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男海運の利益は、コンテナ船の運賃で大きく変わるんだね。ONE社の持分法利益を毎回見ておこう
まとめ
- 川崎汽船は、製品物流(自動車船・物流・コンテナ船)が中心の海運会社
- 2026年3月期は経常利益1,091億円(−64.6%)
- ONE社などの持分法による投資利益が2,020億円→227億円
- 自己資本比率は76.9%
- 2027年3月期は経常利益1,000億円・年120円の予想
参考文献
- 川崎汽船. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月8日). https://www2.jpx.co.jp/disc/91070/140120260507518026.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 日本郵船. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日). https://www.nyk.com/ir/library/highlights/2025/__icsFiles/afieldfile/2026/05/11/260511_tanshin_jp.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 商船三井. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日). https://ir.mol.co.jp/ja/ir/library/mrsfcfh/main/01/teaserItems1/011117/linkList/03/link/%28J%292025.4Q%20Financial%20Highlights.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。