商船三井の強みとは:鉄鉱石などを運ぶドライバルク、原油・LNGのエネルギー輸送、コンテナ船(ONE)・自動車船の製品輸送、ダイビルの不動産まで。2026年3月期はコンテナ船の運賃下落で経常利益1,758億円(−58.1%)
商船三井を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日、5月21日に貸借対照表の勘定科目を訂正)で分析しました。売上高1兆8,250億円(+2.8%)、営業利益1,270億円(−15.8%)、経常利益1,758億円(−58.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益2,133億円(−49.9%)、ROE7.7%、自己資本比率48.2%。セグメントの経常損益は、製品輸送959億円(うちコンテナ船266億円、持分法適用会社ONEの運賃市況の下落で−87.7%)、エネルギー555億円(前期の三井海洋開発の持分法適用化に伴う再評価益の剥落など)、ドライバルク108億円、ウェルビーイングライフ−27億円(不動産は67億円)。純利益には固定資産・投資有価証券の売却益などの特別利益817億円も。年200円の配当、2027年3月期は経常利益1,450億円・年205円の予想。日本郵船との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男海運会社って、コロナのあとにすごくもうかってたよね。今はどうなってるの?

メル美商船三井って、クルーズ船やフェリーもやってるんだって。ビルも持っているらしいよ
企業分析の連載、67社目は商船三井です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日)で確認しました。この決算短信は5月21日に貸借対照表の勘定科目が訂正されていますが、この記事の損益の数字は訂正の対象外です。比較には、この連載の日本郵船の強みとはで確認した日本郵船の数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、商船三井株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
鉄鉱石・穀物などのばら積み船、原油・LNGなどのエネルギー船、コンテナ船・自動車船を運航し、不動産やフェリー・クルーズも手がける海運会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆8,250億円 | +2.8% |
| 営業利益 | 1,270億円 | −15.8% |
| 経常利益 | 1,758億円 | −58.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,133億円 | −49.9% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 7.7% | 前期 16.9% |
| 自己資本比率 | 48.2% | 前期 53.9% |
| 配当 | 年200円(配当性向32.3%) | 前期 360円 |
- 海運会社は、持分法適用会社(コンテナ船のONEなど)の利益が経常利益に入るので、営業利益より経常利益を見るのがポイントです。持分法による投資利益は417億円(前期2,624億円)に減りました
- 純利益が経常利益より大きいのは、固定資産の売却益(333億円)・投資有価証券の売却益(359億円)などの特別利益817億円があったためです
2. 何で稼いでいるか
セグメントの売上高と経常損益(2026年3月期)です。
| セグメント | 中身(決算短信の記載から) | 売上高 | 経常損益 | 前期 |
|---|---|---|---|---|
| 製品輸送 | コンテナ船(ONE)、自動車輸送、港湾・ロジスティクス | 6,415億円 | 959億円 | 3,029億円 |
| (うちコンテナ船) | 536億円 | 266億円 | 2,176億円 | |
| エネルギー | タンカー、FPSO、LNG・エタン船 | 5,257億円 | 555億円 | 1,021億円 |
| ドライバルク | ケープサイズなどのばら積み船 | 4,557億円 | 108億円 | 154億円 |
| ウェルビーイングライフ | 不動産(ダイビル)、フェリー、クルーズ | 1,222億円 | −27億円 | 81億円 |
- いちばん大きく減ったのはコンテナ船(−87.7%)です。新しい船が次々と完成して船の供給が増え、運賃が下がりました
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① いろいろな船の組み合わせ
- 原油船は9月以降、OPECプラスの自主減産の解除で荷物が増え、市況は高い水準でした。LPG船も、米国の入港料措置や米中の関税問題で航海距離が伸び、船の需給が引き締まりました
② 長期契約の事業
- FPSO(浮体式の石油生産設備)やLNG・エタン船は、長期の貸船契約で安定した利益を確保しているとしています
③ 不動産
- 不動産の中核のダイビルは、既存のオフィス・商業ビルが堅調で、豪州・英国の新しい物件も利益に貢献しました
4. 弱み・リスク
① コンテナ船の市況
- コンテナ船は船の供給の増加で運賃に下落圧力がかかり、2027年3月期も、船腹供給の増加や中東情勢による燃料費の上昇が予想されるとしています
② 中東情勢
- 3月以降、中東情勢の悪化で、ばら積み船の市況が不安定になりました。ホルムズ海峡の事実上の封鎖にも触れています
③ 一度きりの利益の反動
- 前期には三井海洋開発の持分法適用化に伴う再評価益などがあり、その反動で減益になった事業もあります。当期の特別利益(売却益)も毎年出るものではありません
5. ライバルとの比較
海運大手の日本郵船と比べます(どちらも日本基準・2026年3月期)。
| 商船三井 | 日本郵船 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆8,250億円(+2.8%) | 2兆4,236億円(−6.4%) |
| 経常利益 | 1,758億円(−58.1%) | 2,111億円(−57.0%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,133億円(−49.9%) | 2,117億円(−55.7%) |
| ROE | 7.7% | 7.1% |
- どちらもコンテナ船(ONE)の利益が大きく減り、経常利益はほぼ同じ割合で減りました(→日本郵船の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
商船三井の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| セグメント別の経常損益 | 製品輸送959億円(うちコンテナ船266億円)など | 決算短信(セグメント) |
| 持分法による投資損益 | 417億円 | 決算短信のサマリー |
| 特別利益 | 817億円 | 決算短信(損益計算書) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高2兆400億円、経常利益1,450億円、純利益1,700億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年200円、2027年3月期予想205円 | 決算短信 |
- 2027年3月期から、石油製品船・ケミカル船・タンクターミナルをまとめた「ケミカルロジスティクス事業」を新しいセグメントにします
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ。原油の動きは原油価格を動かすもの

プレ男コンテナ船の運賃が下がると、海運会社の利益は大きく減るんだね。経常利益と持分法の利益を見るのがコツなんだ
海運大手は川崎汽船の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 商船三井は、ドライバルク・エネルギー・製品輸送・不動産などの海運会社
- 2026年3月期は経常利益1,758億円(−58.1%)
- 減益の主因はコンテナ船(ONE)の運賃下落(経常損益−87.7%)
- 純利益2,133億円には売却益などの特別利益817億円を含む
- リスクはコンテナ船の市況と中東情勢
参考文献
- 商船三井. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日). https://ir.mol.co.jp/ja/ir/library/mrsfcfh/main/01/teaserItems1/011117/linkList/03/link/%28J%292025.4Q%20Financial%20Highlights.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 日本郵船. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日). https://www.nyk.com/ir/library/highlights/2025/__icsFiles/afieldfile/2026/05/11/260511_tanshin_jp.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。