日本郵船の強みとは:コンテナ船・自動車船・ばら積み船・タンカー・LNG船・物流までの総合物流。2026年3月期は経常利益2,111億円(−57%)で、コンテナ船(持分法のONE)の運賃市況の下落が響いた。一方タンカーは中東情勢で市況が上昇
日本郵船を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日)で分析しました。売上高2兆4,236億円(−6.4%)、営業利益1,386億円(−34.3%)、経常利益2,111億円(−57.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益2,117億円(−55.7%)、ROE7.1%、自己資本比率59.1%。海運は、コンテナ船の会社ONE(Ocean Network Express、持分法適用会社)からの利益が大きく、ONEの運賃市況が下落したため、定期船事業の経常利益は2,743億円→497億円に。自動車事業979億円、エネルギー事業544億円(VLCCなどの市況が中東情勢で上昇)。航空運送は、日本貨物航空を2025年8月1日の株式交換でANAホールディングスに移しました。年間配当230円(記念配当25円を含む)、2027年3月期は経常利益1,850億円・年200円の予想。商船三井との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美海運の会社って、コロナのころすごく儲かったって聞いたよ。今はどうなんだろう

プレ男船で荷物を運ぶ会社でしょ? 中東の海峡のニュースとも関係あるのかな
企業分析の連載、30社目は日本郵船です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日)で確認しました。比較には商船三井の2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日)を使っています(商船三井は5月21日に貸借対照表の勘定科目の訂正を出していますが、下の比較の数字は訂正の対象外です)。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、日本郵船株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
海・陸・空にまたがる総合物流の会社。コンテナ船、自動車船、ばら積み船、タンカー・LNG船などを運航し、物流も手がける
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆4,236億円 | −6.4% |
| 営業利益 | 1,386億円 | −34.3% |
| 経常利益 | 2,111億円 | −57.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,117億円 | −55.7% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 7.1% | 前期 17.1% |
| 自己資本比率 | 59.1% | 前期 67.6% |
| 配当 | 年230円(うち記念配当25円、配当性向45.6%) | 前期 325円 |
- 海運会社は、出資先の利益(持分法による投資利益)が大きいため、経常利益で見ることが多い業種です。2026年3月期の持分法による投資利益は850億円(前期2,934億円)でした
2. 何で稼いでいるか
セグメントの経常利益(2026年3月期)です。
| セグメント | 中身 | 売上高 | 経常利益 | 前期 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車 | 自動車船、自動車物流 | 5,268億円 | 979億円 | 1,133億円 |
| エネルギー | VLCC(大型原油タンカー)、LPG船、LNG船、FPSOなど | 2,369億円 | 544億円 | 461億円 |
| 定期船 | コンテナ船(ONE)、ターミナル | 1,809億円 | 497億円 | 2,743億円 |
| 物流 | 航空・海上貨物の取扱い、ロジスティクス | 8,047億円 | 102億円 | 212億円 |
| ドライバルク | ばら積み船 | 5,510億円 | 95億円 | 181億円 |
| 航空運送 | (日本貨物航空、第1四半期まで) | 411億円 | 21億円 | 210億円 |
- 前期に大きかった定期船(コンテナ船)の利益が大きく減りました。コンテナ船の事業は、持分法適用会社のONE(Ocean Network Express)が中心で、ONEからの持分法による投資利益は190億円でした
- 航空運送は、日本貨物航空とANAホールディングスの株式交換が2025年8月1日に完了し、第2四半期以降は含みません(→ANAホールディングスの強みとは)
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 事業の幅
- コンテナ船が落ちても、自動車(979億円)やエネルギー(544億円)が支えました。船の種類が多いことで、市況の波を分けやすい形です
② 長期契約のLNG船・海洋事業
- LNG船は「安定的な収益を生む中長期契約」に支えられ、順調だったとしています
③ 財務と株主還元
- 自己資本比率59.1%。期末の発行済株式数は4億6,100万株→4億878万株に減りました
4. 弱み・リスク
① コンテナ船の運賃市況
- 新造船の竣工で船の供給が増え、関税政策や中東情勢の影響も受けて、コンテナ船の運賃市況は不安定で、前年を下回りました
② 為替
- 自動車船・ドライバルクでは、円高が減益の要因になりました
③ 中東情勢
- 一方、エネルギー事業では、中東情勢の緊迫でホルムズ海峡が事実上封鎖された影響などでVLCCの市況が上がりました。会社は2027年3月期について、スエズ運河を避ける喜望峰ルートの利用が続く前提も示しています。地政学の動きで、利益がプラスにもマイナスにも動きます(→原油価格を動かすもの)
④ 減配
- 年間配当は325円→230円、2027年3月期は200円の予想です
5. ライバルとの比較
海運大手の商船三井と比べます(どちらも日本基準・2026年3月期)。
| 日本郵船 | 商船三井 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆4,236億円(−6.4%) | 1兆8,251億円(+2.8%) |
| 営業利益 | 1,386億円 | 1,270億円 |
| 経常利益 | 2,111億円(−57.0%) | 1,758億円(−58.1%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,117億円 | 2,133億円 |
| ROE | 7.1% | 7.7% |
- 両社とも経常利益が6割近く減少しました。コンテナ船の市況の下落が、海運大手に共通して響いた形です
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
日本郵船の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 定期船の経常利益(ONEの持分法利益) | 497億円(うちONE 190億円) | 決算短信(セグメント別) |
| 自動車・エネルギーの経常利益 | 979億円・544億円 | 決算短信 |
| 持分法による投資利益 | 850億円 | 決算短信 |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 経常利益1,850億円、純利益1,950億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年230円、2027年3月期予想200円 | 決算短信 |
- 前提の為替や燃料価格(2026年3月期の平均消費燃料価格は1トン539ドル)もあわせて見ます
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男コンテナ船の運賃が下がると利益が大きく減る。中東のニュースは、タンカーにはプラスになることもあるんだ
同じ海運大手は商船三井の強みとはへ。
海運大手は川崎汽船の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 日本郵船は、コンテナ船・自動車船・ばら積み船・タンカー・物流の総合物流の会社
- 2026年3月期は経常利益2,111億円(−57.0%)。ONEのコンテナ船市況の下落が響いた
- 自動車とエネルギーが支えた。タンカーは中東情勢で市況が上昇
- 日本貨物航空はANAHDに移った(2025年8月)
- 2027年3月期は経常利益1,850億円、年200円の予想
参考文献
- 日本郵船. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日). https://www.nyk.com/ir/library/highlights/2025/__icsFiles/afieldfile/2026/05/11/260511_tanshin_jp.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 商船三井. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日). https://ir.mol.co.jp/ja/ir/library/mrsfcfh/main/01/teaserItems1/011117/linkList/03/link/%28J%292025.4Q%20Financial%20Highlights.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。