日本郵政の強みとは:郵便・物流、郵便局窓口、国際物流(トール)、不動産、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の6事業。2026年3月期は経常利益1兆750億円(+32.0%)の大半が銀行と生命保険で、郵便・物流は55億円の赤字
日本郵政を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日)で分析しました。経常収益11兆4,406億円(−0.2%)、経常利益1兆750億円(+32.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益3,746億円(+1.1%)、ROE4.0%。純利益は、ゆうちょ銀行(約49.9%)とかんぽ生命保険(約49.8%)の持分比率を前提に計算されます。セグメントの経常利益は、銀行業7,591億円(+1,747億円、外債投資信託の収益や国債利息・日銀預け金利息の増加)、生命保険業2,718億円(+1,020億円)、不動産201億円、郵便局窓口91億円、国際物流44億円、郵便・物流は−55億円(前期−322億円、料金改定で単価が改善した一方、人件費・集配運送委託費が増加)。トナミホールディングスなどを連結し、点呼業務不備事案に伴う行政処分後は他の運送会社への委託を基本にしています。年50円の配当、2027年3月期はアフラックの持分法適用も含め純利益3,800億円・年60円の予想。ヤマトホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男日本郵政って郵便局の会社だよね。手紙が減っているのに大丈夫なの?

メル美ゆうちょ銀行とかんぽ生命もグループなんだって。実はそっちで稼いでいるのかな
企業分析の連載、77社目は日本郵政です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日)で確認しました。比較には、ヤマトホールディングスの2026年3月期 決算短信を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、日本郵政株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
郵便・物流、郵便局の窓口、海外の物流、不動産と、ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険を持つ持株会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 11兆4,406億円 | −0.2% |
| 経常利益 | 1兆750億円 | +32.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,746億円 | +1.1% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 4.0% | 前期 3.8% |
| 配当 | 年50円(配当性向38.7%) | 前期 50円 |
- 純利益は、ゆうちょ銀行(約49.9%)とかんぽ生命保険(約49.8%)の持分比率などを前提に計算されます。この2社の利益の半分ほどは、ほかの株主(非支配株主)の取り分になります
2. 何で稼いでいるか
セグメントの経常収益と経常利益(2026年3月期)です。
| セグメント | 中身 | 経常収益 | 経常利益 |
|---|---|---|---|
| 銀行業 | ゆうちょ銀行 | 2兆8,522億円 | 7,591億円(+1,747億円) |
| 生命保険業 | かんぽ生命保険 | 5兆6,256億円 | 2,718億円(+1,020億円) |
| 不動産 | JPタワーなど(日本郵便・日本郵政不動産) | 890億円 | 201億円(+77億円) |
| 郵便局窓口 | 郵便局の窓口(銀行・保険の手数料、交付金など) | 1兆172億円 | 91億円(−151億円) |
| 国際物流 | トール(Toll Holdings) | 5,058億円 | 44億円 |
| 郵便・物流 | 郵便、ゆうパック、ゆうパケットなど | 2兆3,084億円 | −55億円(前期 −322億円) |
- 経常利益の大半は銀行業と生命保険業です
- 銀行業は、外債投資信託の収益や、国債の利息・日銀預け金の利息の増加で資金利益が増えました(→日銀の政策金利と投資)
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 金利上昇の恩恵(ゆうちょ銀行)
- 銀行業の経常利益は7,591億円(+1,747億円)。2027年3月期も、金利上昇などで銀行業の増益(9,550億円)を見込んでいます
② 荷物の増加と料金改定
- 郵便・物流は、ゆうパック・ゆうパケットの取扱数量が増え、郵便・ゆうメールは減ったものの、料金改定で単価が改善し、赤字が縮小しました
③ 物流の拡大
- 国際物流・国内物流を一体で運営する総合物流企業を目指し、トナミホールディングスなどを連結しました。楽天グループなど他企業との連携も進めています
4. 弱み・リスク
① 郵便の赤字
- 郵便・物流は55億円の赤字。人件費や集配運送委託費が増えました。2027年3月期は、郵便物数の減少などで−960億円のセグメント損失を見込んでいます
② 点呼業務の不備
- 日本郵便では、点呼業務の不備の事案に伴う行政処分があり、その後は他の運送会社への委託を基本に、確実な点呼の実施を前提として運送しているとしています
③ 郵便局窓口の手数料
- 郵便局窓口は、銀行手数料・保険手数料の減少が続いています
5. ライバルとの比較
宅配の大手、ヤマトホールディングスと、物流の部分を比べます。会計の区分が違うので、おおまかな比較です(どちらも2026年3月期)。
| 日本郵政(郵便・物流セグメント) | ヤマトHD(全社) | |
|---|---|---|
| 収益 | 経常収益 2兆3,084億円 | 営業収益 1兆8,657億円(+5.8%) |
| 利益 | 経常損益 −55億円 | 営業利益 283億円(+99.2%) |
- どちらも人件費や委託費が増える中で、宅配の利益率は低い状況です
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
日本郵政の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 銀行業・生命保険業の経常利益 | 7,591億円・2,718億円 | 決算短信(セグメント) |
| 郵便・物流の経常損益 | −55億円 | 決算短信 |
| ゆうちょ銀行・かんぽ生命の持分比率 | 約49.9%・約49.8% | 決算短信の注記 |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 経常利益1兆1,700億円、純利益3,800億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年50円、2027年3月期予想60円 | 決算短信 |
- 2027年3月期の予想には、アフラック・インコーポレーテッドの持分法の適用による持分法投資利益520億円(会社の独自の計算)が含まれています
- 銀行・保険の会社はみずほフィナンシャルグループの強みとは、第一ライフグループの強みとはも

メル美郵便は赤字で、稼いでいるのはゆうちょ銀行とかんぽ生命なのね。金利が上がると銀行の利益が増えるんだ
宅配の大手はヤマトホールディングスの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 日本郵政は、郵便・物流、窓口、国際物流、不動産、銀行、生命保険の6事業
- 2026年3月期は経常利益1兆750億円(+32.0%)、純利益3,746億円
- 稼ぎの中心はゆうちょ銀行(7,591億円)とかんぽ生命(2,718億円)
- 郵便・物流は赤字(−55億円)、2027年3月期はさらに赤字が広がる見込み
- 2027年3月期は純利益3,800億円・年60円の予想
参考文献
- 日本郵政. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS06651/276e8835/c88e/49db/a946/4e9a1dc6bcac/140120260513531522.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- ヤマトホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日). https://www.yamato-hd.co.jp/investors/pdf/4q_tansin_2026_03.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。