ヤマハ発動機の強みとは:二輪車(バイク)が中心の「ランドモビリティ」と、船外機などの「マリン」の2本柱。2025年12月期は米国の関税や減損で営業利益1,264億円(−30.4%)、繰延税金資産の取り崩しで純利益161億円(−85.1%)
ヤマハ発動機を、2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日)で分析しました。売上収益2兆5,342億円(−1.6%)、営業利益1,264億円(−30.4%、営業利益率5.0%)、親会社の所有者に帰属する当期利益161億円(−85.1%)、ROE1.4%。営業利益は米国の関税、調達コストの上昇、販管費の増加、アウトドアランドビークル(OLV)事業の減損で減り、純利益は繰延税金資産の取り崩しも重なりました。セグメントはランドモビリティ(二輪車など。売上収益1兆6,151億円、営業利益1,087億円、インドネシア・フィリピン・タイで販売増)、マリン(船外機など。5,276億円、536億円、−39.0%)、OLV(営業損失398億円)、ロボティクス(半導体製造後工程装置が伸長、営業損失6億円)、金融サービス(211億円)。年35円の配当(配当性向211.0%)、2026年12月期は営業利益1,800億円(+42.4%)・年50円の予想。ホンダ・スズキの二輪との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男ヤマハって、ピアノの会社とバイクの会社があるよね? どっちも同じ会社なの?

メル美バイクのほうは「ヤマハ発動機」だよ。ボートのエンジンもつくってるんだって
企業分析の連載、66社目はヤマハ発動機です。2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日)で確認しました。比較には、この連載のホンダの強みとはとスズキの強みとはで確認した二輪の数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ヤマハ発動機株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
二輪車(バイク)を中心に、船外機・ボート、四輪バギー・ゴルフカー、産業用ロボットなどをつくる会社
| 項目(IFRS・連結) | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆5,342億円 | −1.6% |
| 営業利益 | 1,264億円 | −30.4% |
| 営業利益率 | 5.0% | 前期 7.0% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 161億円 | −85.1% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 1.4% | 前期 9.7% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 39.0% | 前期 41.7% |
| 配当 | 年35円(配当性向211.0%) | 前期 50円 |
- 営業利益は、米国の関税、調達コストの上昇、研究開発費・人件費などの増加、OLV事業の有形固定資産の減損で減りました
- 純利益は、営業利益の減少に加え、繰延税金資産の取り崩しで大きく減りました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な製品(決算短信の記載から) | 売上収益 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| ランドモビリティ | 二輪車、電動アシスト自転車など | 1兆6,151億円(+0.3%) | 1,087億円(+4.7%) |
| マリン | 船外機、ウォータービークル、ボート | 5,276億円(−1.9%) | 536億円(−39.0%) |
| 金融サービス | 製品の販売金融・リース | 1,140億円 | 211億円 |
| ロボティクス | サーフェスマウンター、半導体製造後工程装置、産業用ロボット | 1,115億円 | −6億円 |
| アウトドアランドビークル(OLV) | 四輪バギー、ROV、ゴルフカー | 1,485億円(−17.2%) | −398億円 |
- 稼ぎの中心はランドモビリティ(二輪車)とマリン(船外機)です
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 新興国の二輪車
- 二輪車は、インドネシア・フィリピン・タイで販売台数が増えました。先進国では日本の販売が伸びました
② 船外機
- 船外機の需要は全体で前年並みで、欧米での販売は堅調でした。2026年12月期は船外機の販売台数の増加を見込んでいます
③ 半導体の後工程装置
- ロボティクスでは、生成AIや先端パッケージ向けの半導体製造後工程装置の販売が増えました
4. 弱み・リスク
① 米国の関税と米国の需要
- マリン・OLVなど、米国が主要市場の事業で、関税の影響や需要の減少がありました
② 戦略事業の赤字
- OLVは営業損失398億円(減損を含む)、その他の事業もパワープロダクツ事業の譲渡の費用などで損失でした
③ ベトナムの生産・出荷停止
- 二輪車では、ベトナムで生産・出荷の停止が起き、販売台数が減りました
④ 配当性向
- 配当は年35円に減らしましたが、純利益が大きく減ったため、配当性向は211.0%でした
5. ライバルとの比較
二輪車の大手、ホンダ・スズキと比べます。決算期(両社は3月期)と事業の区分が違うので、おおまかな比較です。
| ヤマハ発動機(2025年12月期) | ホンダ(2026年3月期) | スズキ(2026年3月期) | |
|---|---|---|---|
| 二輪の営業利益 | ランドモビリティ 1,087億円 | 二輪 7,319億円 | 二輪 448億円 |
| 全社の営業利益 | 1,264億円 | −4,143億円(損失) | 6,229億円 |
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ヤマハ発動機の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年12月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| ランドモビリティ・マリンの営業利益 | 1,087億円・536億円 | 決算短信(セグメント) |
| OLVの営業損益 | −398億円 | 決算短信 |
| 会社の業績予想 | 2026年12月期 売上収益2兆7,000億円、営業利益1,800億円、純利益1,000億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年35円、2026年12月期予想50円 | 決算短信 |
- 会社は、2026年12月期は通期で米国関税の影響があるものの、戦略事業で2025年度の減損がなくなることなどで増益を見込んでいます
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美バイクと船外機が稼ぎの中心で、アメリカ向けのバギーやゴルフカーは赤字だったのね。2026年は減損がなくなる分、回復を見込んでいるんだ
まとめ
- ヤマハ発動機は、二輪車(ランドモビリティ)と船外機(マリン)が2本柱
- 2025年12月期は営業利益1,264億円(−30.4%)、純利益161億円(−85.1%)
- 減益の理由は米国の関税、OLVの減損、繰延税金資産の取り崩しなど
- 二輪車はインドネシア・フィリピン・タイで販売増
- 2026年12月期は営業利益1,800億円(+42.4%)の予想
参考文献
- ヤマハ発動機. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日). https://global.yamaha-motor.com/jp/ir/library/report/pdf/2025/2025report.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 本田技研工業. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日). https://global.honda/jp/investors/library/filings/auto_20260513531560/pdfFile.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- スズキ. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日). https://www.suzuki.co.jp/ir/library/financialaffairs/pdf/2026_fin/financialaffairs.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。