デンソーの強みとは:世界の自動車メーカーに部品を納める自動車部品の大手。2026年3月期は売上収益7兆5,400億円・営業利益5,525億円(+6.5%)。売上収益の約55%がトヨタグループ向け。日本は部材費の高騰などで15.7%の減益、北米は米国関税の影響があっても増益
デンソーを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月28日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益7兆5,400億円(+5.3%)、営業利益5,525億円(+6.5%、営業利益率7.3%)、親会社の所有者に帰属する当期利益4,438億円(+5.9%)、ROE8.5%、親会社所有者帰属持分比率62.9%。地域別の営業利益は、日本1,859億円(−15.7%、部材費の高騰と人への投資の増加)、アジア1,788億円(+5.5%)、北米1,323億円(+34.9%、米国関税の影響があるものの合理化努力や一過性の費用回収)、欧州278億円、その他249億円。主要な顧客はトヨタグループで、売上収益4兆1,346億円(約55%)。Axia Group B.V.を完全子会社化。年67円の配当、2027年3月期は将来成長への投資の強化と中東情勢の影響を織り込み営業利益5,000億円(−9.5%)・年74円の予想。トヨタとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男デンソーって、車の部品の会社だよね。トヨタとはどういう関係なの?

メル美決算短信には「主要な顧客はトヨタグループ」って書いてあるよ。売上の半分以上なんだって
企業分析の連載、83社目はデンソーです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月28日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のトヨタの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、デンソー株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
自動車部品などをつくり、日本・北米・欧州・アジアの自動車メーカーに納める会社。いちばんの顧客はトヨタグループ
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 7兆5,400億円 | +5.3% |
| 営業利益 | 5,525億円 | +6.5% |
| 営業利益率 | 7.3% | 前期 7.2% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 4,438億円 | +5.9% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 8.5% | 前期 8.0% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 62.9% | 前期 61.3% |
| 配当 | 年67円(配当性向41.1%) | 前期 64円 |
- 売上収益は車両販売の増加で増えました。営業利益は、米国関税、部材費の高騰、人への投資の増加などの影響があるものの、合理化努力や操業度の良化などで増えました
2. 何で稼いでいるか
デンソーのセグメントは地域別(会社の所在地)です。
| 地域 | 売上収益 | 営業利益 | 主な理由(決算短信の記載から) |
|---|---|---|---|
| 日本 | 4兆4,041億円(+4.5%) | 1,859億円(−15.7%) | 部材費の高騰、人への投資の増加 |
| アジア | 1兆9,769億円(+1.9%) | 1,788億円(+5.5%) | 合理化努力など |
| 北米 | 2兆251億円(+8.7%) | 1,323億円(+34.9%) | 米国関税の影響があるものの、合理化努力や一過性の費用回収 |
| 欧州 | 7,679億円(+6.8%) | 278億円(+221.3%) | 合理化努力など |
| その他 | 1,263億円(+6.1%) | 249億円(+11.7%) | ー |
- 地域ごとの売上収益は、地域間の取引を含む金額です
- 主要な顧客はトヨタグループで、すべての地域で売上があります。トヨタグループ向けの売上収益は4兆1,346億円で、全体の約55%です
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 世界中の生産・販売の拠点
- 日本・北米・欧州・アジアに、それぞれ地域を担当する現地法人を置き、地域の顧客に部品を納めています
② 大きな顧客との結びつき
- 最大の顧客であるトヨタグループの車両販売が増えると、売上が増えます
③ 厚い財務
- 親会社所有者帰属持分比率は62.9%、現金及び現金同等物は1兆1,891億円です。2026年3月期は、Axia Group B.V.の株式を取得して完全子会社にしました(支出554億円)
4. 弱み・リスク
① 1社への依存
- 売上収益の半分以上がトヨタグループ向けで、トヨタグループの生産・販売の動きに左右されます
② 関税と部材費
- 米国関税、部材費の高騰、人への投資の増加が利益を押し下げました。日本の営業利益は15.7%減でした
③ 2027年3月期の減益の見通し
- 会社は、将来成長に向けた投資の強化と中東情勢の影響などの不確実性を織り込み、営業利益5,000億円(−9.5%)を見込んでいます(為替の前提は1ドル=153円、1ユーロ=180円)
5. ライバルとの比較
いちばんの顧客であり、自動車の会社のトヨタ自動車と並べます。デンソーは部品を納める側、トヨタは車をつくって売る側で、ライバルというより取引先です。会計基準や事業の中身が違うので、おおまかな比較です。どちらも2026年3月期です。
| デンソー | トヨタ自動車 | |
|---|---|---|
| 売上(営業収益) | 7兆5,400億円(+5.3%) | 50兆6,849億円 |
| 営業利益 | 5,525億円(+6.5%) | 3兆7,662億円(−21.5%) |
| 営業利益率 | 7.3% | 7.4% |
- 2026年3月期は、トヨタが米国関税などで減益だった一方、デンソーは増益でした(→トヨタの強みとは)
- タイヤの会社はブリヂストンの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
デンソーの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 地域別の営業利益 | 日本1,859億円、アジア1,788億円、北米1,323億円 | 決算短信(セグメント情報) |
| トヨタグループ向けの売上収益 | 4兆1,346億円 | 決算短信(主要な顧客に関する情報) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益7兆6,700億円、営業利益5,000億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年67円、2027年3月期予想74円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ。グループ会社どうしの資本関係の話は親子上場とはも

メル美トヨタグループの車がたくさん売れると、デンソーの売上も増えるのね。関税や部材費、来年の減益の見通しも見ておきたいな
パワートレインが中心の自動車部品の会社はアイシンの強みとはも参考にしてください。
ステアリングやベアリングの会社はジェイテクトの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- デンソーは、世界の自動車メーカーに部品を納める自動車部品の大手
- 2026年3月期は売上収益7兆5,400億円、営業利益5,525億円(+6.5%)
- 売上収益の約55%がトヨタグループ向け
- 日本は部材費の高騰などで減益、北米は米国関税の影響があっても増益
- 2027年3月期は、成長への投資と中東情勢を織り込み営業利益5,000億円の予想
参考文献
- デンソー. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月28日). https://www2.jpx.co.jp/disc/69020/140120260424510681.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- トヨタ自動車. 有価証券報告書(2026年3月期、2026年6月10日提出). https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/library/securities-report/archives/archives_2026_03.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。