親子上場とは:親会社が過半数を持つ子会社も上場している形。東証によると上場子会社は215社(2025年7月時点)で緩やかに減少中。親会社と少数株主の利益がぶつかるおそれがあるため、東証は少数株主の保護に関する開示を求めている
親子上場のしくみと注意点を、東京証券取引所 上場部の資料(2026年1月14日)と「親子上場等に関する事例集」の公表について(2025年12月26日)、従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会の資料でまとめました。上場会社を親会社に持つ上場子会社の数は2025年7月時点で215社で、親会社による完全子会社化や他社への株式売却が多く、緩やかに減っています。2024年度は完全子会社化14社などで純減11社。20%以上50%未満の大株主を持つ上場会社は998社で微増。親子上場は、市場の多様性の観点から認められた上場形態の一つとされる一方、親会社と少数株主の間に構造的な利益相反のおそれがあるため、東証はグループ経営や少数株主保護に関する開示を求め、2025年2月に「投資者の目線」、12月に「事例集」を公表しました。

メル美持ってる会社の株主構成を見たら、親会社が6割も持ってたの。わたしみたいな小さな株主の声って届くのかな

プレ男親会社も子会社も両方上場してるのを「親子上場」っていうんだって。何か問題があるの?
今回は、親子上場のしくみと注意点です。東京証券取引所 上場部の資料(2026年1月14日)、「親子上場等に関する事例集」の公表について(2025年12月26日)、東証「従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会」の資料で確認しました。
この記事はしくみの説明です。特定の上場子会社や親会社の株の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
親子上場とは
- 親会社が経営を支配している子会社が、親会社とは別に上場している形です
- 子会社の株主には、親会社のほかに、多くの少数株主(個人投資家など)がいます
数の推移(東証の資料)
- 上場子会社(上場会社を親会社に持つ上場会社)は、2025年7月時点で215社で、緩やかに減少しています
- 親会社が経営資源を適切に配分する観点から、グループ再編の動きが高まり、親会社による完全子会社化や他社への子会社株式の売却が多いとしています
| 年度 | 増加 | 減少 | うち完全子会社化 | 純増減 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年度末 | 13社 | 42社 | 27社 | −29社 |
| 2022年度末 | 11社 | 21社 | 12社 | −10社 |
| 2023年度末 | 9社 | 28社 | 11社 | −19社 |
| 2024年度末 | 17社 | 28社 | 14社 | −11社 |
- 親会社ではないものの、20%以上50%未満を持つ大株主がいる上場会社は998社(2025年7月時点)で、微増しています
なぜ問題になるの?
- 東証の研究会では、親子上場は「市場の多様性の観点から認められた上場形態の一つ」としつつ、親会社などがいると、ふつうの会社を前提にしたガバナンスのしくみがうまく働かないため、特別な対応が必要だという意見が示されています
- 親会社と少数株主の間には、構造的な利益相反のおそれがあります
利益がぶつかる例
- 親会社に有利な条件で、子会社が取引をする
- 子会社の成長の機会(新しい事業など)を、親会社が取ってしまう
- 親会社が子会社を完全子会社化するときの買取価格が、少数株主にとって十分か

メル美完全子会社化されるときは、TOBの価格が少数株主にとって公平かが大事なんだね
- 完全子会社化やTOBのしくみはTOBとMBOへ
東証の取り組み
- 親子関係や持分法適用関係にある上場会社に、グループ経営や少数株主保護に関する取り組みと開示を求めています
- 2025年2月:「親子上場等に関する投資者の目線」を公表(投資者の基本的な目線と、上場会社の取り組みとのギャップが生じやすい場面を紹介)
- 2025年12月:投資家が一定の評価をしている開示例を「親子上場等に関する事例集」として公表
開示の状況(東証の資料、親会社側)
- 上場子会社であることのメリット・デメリットを開示:84%
- 上場子会社として保有するに至った経緯:34%
- 上場子会社の保有についての考え方・方針:23%
投資家が見るところ
- コーポレート・ガバナンスに関する報告書の「支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針」
- 独立社外取締役の人数と役割
- 親会社との取引の内容
- 株主総会で議決権を使う(→株主総会と議決権、株主提案のしくみ)
- 親会社がいる会社の例は中外製薬の強みとはへ
まとめ
- 親子上場は、親会社と子会社がどちらも上場している形
- 上場子会社は215社(2025年7月時点)で、完全子会社化などで緩やかに減少
- 親会社と少数株主の間に利益相反のおそれがある
- 東証は少数株主保護の開示を求め、「投資者の目線」(2025年2月)、「事例集」(2025年12月)を公表
参考文献
- 東京証券取引所 上場部. 親子上場等に関する取組みの状況(2026年1月14日). https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/nlsgeu000006gevo-att/t13vrt000000gm6i.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 日本取引所グループ. 「親子上場等に関する事例集」の公表について(2025年12月26日). https://www.jpx.co.jp/news/1020/20251226-03.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 東京証券取引所. 従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会 資料(東証の「親子上場に関する考え方・今後の方針」について). https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/nlsgeu000006gevo-att/mklp77000000k4uk.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。