中外製薬の強みとは:ロシュが約6割を持つ「ロシュ・グループ」の一員で、自社で生んだ抗体医薬をロシュを通じて世界で売る。2025年12月期は売上収益1兆2,579億円、営業利益5,988億円で営業利益率47.6%。創業100周年の記念配当も
中外製薬を、2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年1月29日)で分析しました。売上収益1兆2,579億円(+7.5%)、営業利益5,988億円(+10.5%、営業利益率47.6%)、当期利益4,340億円(+12.1%)、ROE22.1%。会社が重視するCore営業利益は6,232億円(+12.1%)。製商品売上高のうち国内は4,724億円(+2.5%)、海外は6,054億円(+12.8%)で、海外はロシュ向けの抗体医薬の輸出が伸びました。ロシュ・ホールディングが発行済株式の59.89%を持ち、2002年10月からロシュ・グループの一員。研究開発費は1,801億円(売上収益の14.3%)。国内は後発品の浸透や薬価改定の影響を受けています。2025年12月期の配当は創業100周年の記念配当を含め年272円。第一三共との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男中外製薬って、利益率が50%近いって聞いたんだけど本当? 売上の半分が利益なの?

メル美スイスのロシュっていう会社のグループなんだって。どういう関係なんだろう
企業分析の連載、28社目は中外製薬です。2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年1月29日)で確認しました。比較には第一三共の2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月11日)を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、中外製薬株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。また、このサイトの決まりで、医療用医薬品は商品名ではなく一般名で書いています。
1. ひとことで言うと
スイスの製薬大手ロシュのグループの一員として、自社で生み出した抗体医薬などを、国内では自社で、海外ではロシュを通じて売る製薬会社
| 項目(IFRS・連結) | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆2,579億円 | +7.5% |
| 営業利益 | 5,988億円 | +10.5% |
| 営業利益率 | 47.6% | 前期 46.3% |
| Core営業利益(会社が重視する指標) | 6,232億円 | +12.1% |
| 当期利益 | 4,340億円 | +12.1% |
| ROE(当社株主帰属持分当期利益率) | 22.1% | 前期 22.0% |
| 当社株主帰属持分比率 | 82.1% | 前期 86.1% |
ロシュとの関係
- ロシュ・ホールディング(スイス証券取引所に上場)が、中外製薬の発行済株式総数の59.89%(自己株式を除くと61.10%)を持っています
- 中外製薬は、ロシュとの戦略的アライアンスにより、2002年10月にロシュの日本の子会社(日本ロシュ)と合併し、ロシュ・グループの一員になりました
- 東京証券取引所に上場を続けたまま、親会社がある形です
2. 何で稼いでいるか
| 売上の内訳 | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 国内製商品売上高 | 4,724億円 | +2.5% |
| (うち オンコロジー=がん領域) | 2,465億円 | −0.5% |
| (うち スペシャリティ領域) | 2,258億円 | +5.8% |
| 海外製商品売上高 | 6,054億円 | +12.8% |
| その他の売上収益(ロイヤルティなど) | 1,801億円 | +4.3% |
- いちばん大きいのは海外製商品売上高で、主にロシュ向けの輸出です。血友病Aの治療に使う抗体医薬と、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体の輸出が伸びました
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 自社創薬の抗体医薬と、ロシュの世界の販売網
- 自社で生み出した薬を、ロシュの世界の販売網を通じて届けられるしくみです。海外製商品売上高は+12.8%、予想も9.0%上回りました
② 非常に高い利益率
- 営業利益率47.6%、ROE22.1%
③ 研究開発への投資
- Coreベースの研究開発費は1,801億円、売上収益に対する比率は14.3%です
4. 弱み・リスク
① 特定の製品とロシュへの依存
- 海外の売上の多くが、ロシュ向けの特定の抗体医薬です。2026年12月期は、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体の減少などで海外製商品売上高は6,020億円(−0.6%)と横ばいの見通しです
② 国内の薬価改定と後発品
- 国内は、後発品(ジェネリック)の浸透や薬価改定の影響を受けています。がん領域は0.5%の減収でした
③ 研究開発の不確実さ
- 薬の開発には失敗もあります。開発の中止などがあれば、将来の売上の見通しが変わります
④ 親会社がいること
- ロシュが約6割を持つため、少数株主の利益と親会社の利益がぶつかる可能性に注意が必要とされます
5. ライバルとの比較
国内の製薬大手、第一三共と比べます。決算期(第一三共は3月期)が違うので、おおまかな比較です。
| 中外製薬(2025年12月期) | 第一三共(2026年3月期) | |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆2,579億円(+7.5%) | 2兆1,230億円(+12.6%) |
| 営業利益 | 5,988億円(+10.5%) | 2,291億円(−31.0%) |
| 営業利益率 | 47.6% | 10.8% |
| ROE | 22.1% | 15.8% |
- 売上は第一三共が大きく、利益と利益率は中外製薬が大きく上回る関係です
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
中外製薬の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年12月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 海外製商品売上高(ロシュ向け輸出) | 6,054億円(+12.8%) | 決算短信(製商品売上高の内訳) |
| 国内製商品売上高 | 4,724億円(+2.5%) | 決算短信 |
| Core営業利益 | 6,232億円 | 決算短信のサマリー |
| 研究開発費 | 1,801億円(売上の14.3%) | 決算短信 |
| 会社の業績予想 | 2026年12月期 売上収益1兆3,450億円、Core営業利益6,700億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年272円(うち創業100周年記念150円)、2026年12月期予想132円 | 決算短信 |
- 2025年12月期は創業100周年の記念配当150円を含むので、配当性向は103.1%になりました。2026年12月期の予想(132円)と比べるときは、普通配当(122円)と比べます
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美自分たちでつくった薬を、ロシュの力で世界に売る。だから利益率がこんなに高いんだね。でも、その分ロシュとの関係が大事になる
親会社がいる上場会社の注意点は親子上場とはへ。
抗体に薬をつないだがんの薬が柱の会社は第一三共の強みとはへ。
まとめ
- 中外製薬は、ロシュが約6割を持つロシュ・グループの一員
- 2025年12月期は売上収益1兆2,579億円、営業利益5,988億円、営業利益率47.6%
- 最大の売上はロシュ向けの抗体医薬の輸出(海外製商品売上高6,054億円)
- リスクは特定の製品とロシュへの依存、国内の薬価改定・後発品
- 2025年12月期の配当は記念配当込みで年272円
参考文献
- 中外製薬. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年1月29日). https://www.chugai-pharm.co.jp/ir/reports_downloads/tanshin.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 第一三共. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月11日). https://www.daiichisankyo.co.jp/files/investors/library/quarterly_result/2025/FY2025Q4_Financial_Results_J.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。