HOYAの強みとは:メガネ・コンタクトレンズ・内視鏡の「ライフケア」と、半導体用マスクブランクス・HDD用ガラスの「情報・通信」。2026年3月期は売上収益9,477億円・税引前利益3,277億円(+26.0%)。売上は6割がライフケア、利益は6割が情報・通信
HOYAを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日)で分析しました。売上収益9,477億円(+9.4%)、税引前利益3,277億円(+26.0%、売上収益税引前利益率34.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,531億円(+25.2%)、ROE25.4%。ライフケア(メガネレンズ、コンタクトレンズ、内視鏡、眼内レンズなど)は売上収益5,907億円・セグメント利益1,295億円、情報・通信(半導体用マスクブランクス、FPD用フォトマスク、HDD用ガラスサブストレート、レンズなど)は3,548億円・1,923億円。マスクブランクスはEUV向け先端品などで大幅増収。中国の眼内レンズ合弁の買い取り額の見直しで一過性の収益も。年間配当295円。業績予想は通期を出さない方針。信越化学との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美HOYAって、コンタクトレンズのお店の会社だよね?

プレ男半導体の材料もつくってるって聞いたよ。メガネと半導体って、全然ちがう気がするけど…
企業分析の連載、19社目はHOYAです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日)で確認しました。比較には、この連載の信越化学工業の強みとはで確認した信越化学の2026年3月期決算短信の数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、HOYA株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
ガラスと光学の技術で、メガネ・コンタクトレンズ・医療機器と、半導体やHDDの部材をつくる会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 9,477億円 | +9.4% |
| 税引前利益 | 3,277億円 | +26.0% |
| 売上収益税引前利益率 | 34.6% | 前期 30.0% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 2,531億円 | +25.2% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 25.4% | 前期 20.8% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 78.4% | 前期 78.9% |
| 配当 | 年295円(配当性向39.7%) | 前期 160円 |
- HOYAの決算短信は、セグメント利益を税引前利益で示しています
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な製品 | 売上収益 | セグメント利益(税引前) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ライフケア | メガネレンズ、コンタクトレンズ(ヘルスケア)/内視鏡、眼内レンズ、人工骨など(メディカル) | 5,907億円(+7.2%) | 1,295億円(+43.3%) | 21.9% |
| 情報・通信 | 半導体用マスクブランクス・フォトマスク、FPD用フォトマスク、HDD用ガラスサブストレート(エレクトロニクス)/カメラ用レンズなど(映像) | 3,548億円(+14.0%) | 1,923億円(+12.9%) | 54.2% |
- 売上の約6割はライフケア、利益の約6割は情報・通信です
- 情報・通信には、売上収益の10%以上を占める顧客グループがあり、その売上は1,114億円でした
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 半導体の先端部材
- 半導体用マスクブランクスは、EUV向け先端品の開発活動などで需要が高い水準で安定し、DUVの需要も増加基調で、大幅増収でした
- HDD用ガラスサブストレートは、データセンター向けニアラインストレージの需要で3.5インチ製品が好調でした
- 情報・通信のセグメント利益率は54.2%です
② 景気に左右されにくいライフケア
- メガネレンズは欧州で高付加価値製品が安定、コンタクトレンズは新規出店やプライベートブランド(hoyaONE)が好調、眼内レンズは日本と欧州で成長が続きました
③ 高い資本効率と財務
- ROE25.4%、親会社所有者帰属持分比率78.4%
4. 弱み・リスク
① 一過性の利益
- 2026年3月期の大幅増益には、中国で設立した白内障用眼内レンズの合弁会社の将来の持分の買い取り額の見積もりが下がり、差額を一過性の収益として計上したことなどが含まれます。ライフケアの利益の伸び(+43.3%)は、この影響を受けています
② 半導体・データセンターへの依存
- 情報・通信の製品の多くは中間生産材・部材で、半導体などの需要の波を受けます。会社も、為替変動の影響を受けやすく、長期の業績予想が難しいとしています
③ 業績予想を通期で出さない
- HOYAは、第1四半期の決算発表で上半期の予想を、第3四半期の発表で通期の予想を公表する方針です。期初に1年分の予想は出ません。配当予想も未定としています
④ 特定顧客
- 情報・通信には、売上収益の10%以上を占める顧客グループがあります
5. ライバルとの比較
半導体用マスクブランクスでは、信越化学工業も製品を持っています。信越化学はマスクブランクスを含む「電子材料」でしか数字を出していないので、事業の範囲がちがうおおまかな比較です。
| HOYA 情報・通信(IFRS) | 信越化学 電子材料(日本基準) | |
|---|---|---|
| 売上 | 3,548億円(+14.0%) | 1兆157億円(+9%) |
| 利益 | 1,923億円(税引前のセグメント利益) | 3,445億円(営業利益) |
| 主な製品 | マスクブランクス、フォトマスク、HDD用ガラス、レンズ | シリコンウエハー、フォトレジスト、マスクブランクスなど |
- 利益の定義(税引前か営業利益か)も違うので、利益率を単純に比べることはできません
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
HOYAの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 情報・通信のセグメント利益 | 1,923億円(+12.9%) | 決算短信(セグメント情報) |
| ライフケアのセグメント利益 | 1,295億円(+43.3%、一過性の収益を含む) | 決算短信(セグメント情報) |
| 製品群別の売上(エレクトロニクス・映像・ヘルスケア・メディカル) | エレクトロニクス2,958億円 | 決算短信 |
| 業績予想 | 第1四半期に上半期分、第3四半期に通期分 | 決算短信 |
| 配当 | 年295円(配当性向39.7%) | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ。電子部品の会社は村田製作所の強みとは

プレ男メガネと半導体、どっちもガラスと光の技術なんだ。売上はメガネ側、利益は半導体側っていうのが面白い
医療機器メーカーはテルモの強みとはとオリンパスの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- HOYAは、ライフケア(メガネ・コンタクト・医療)と情報・通信(半導体・HDD部材、レンズ)の2本柱
- 2026年3月期は売上収益9,477億円、税引前利益3,277億円(+26.0%)、ROE25.4%
- 売上の6割はライフケア、利益の6割は情報・通信
- EUV向けマスクブランクスなどが大幅増収。ライフケアの増益には一過性の収益を含む
- 業績予想は期初に通期分を出さない方針
参考文献
- HOYA. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日). https://ssl4.eir-parts.net/doc/7741/tdnet/2797235/00.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 信越化学工業. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月28日). https://www.shinetsu.co.jp/wp-content/uploads/2025/07/20260428_con_J.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。