オリンパスの強みとは:胃や大腸を診る消化器内視鏡が稼ぎの柱の医療機器メーカー。2026年3月期は売上高1兆107億円・営業利益971億円(−40.2%)。米国の関税、組織改革の費用、FDAの輸入警告などで減益
オリンパスを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日)で分析しました。売上高1兆107億円(+1.3%)、営業利益971億円(−40.2%)、会社が重視する調整後営業利益1,433億円(−24.0%)、親会社の所有者に帰属する当期利益682億円(−42.2%)、ROE8.7%。セグメントは消化器内視鏡ソリューション(売上高6,974億円、営業利益1,364億円、−20.5%)と、サージカルインターベンション(泌尿器科・呼吸器科・外科内視鏡など。売上高3,131億円、営業損失150億円)。減益は、米国の関税とセールスミックスの悪化による原価率の悪化、組織体制の変革に伴う費用(約141億円と約67億円)、開発資産などの減損、エンドルミナルロボットの合弁会社への出資に関する費用など。2025年6月には米国FDAが会津オリンパスで製造された一部の医療機器の輸入警告を公表しました。年30円の配当、2027年3月期は調整後営業利益1,605億〜1,795億円の予想。テルモとの比較と、見ておくべき数字も。医療機器の効果を説明する記事ではなく、売買をすすめるものでもありません。

プレ男オリンパスって、今は医療機器の会社なんだね

メル美胃カメラ(内視鏡)をつくっているんだって。でも利益が大きく減ったみたい
企業分析の連載、75社目はオリンパスです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。比較には、この連載のテルモの強みとはで確認したテルモの数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、オリンパス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。医療機器の効果や使い方を説明する記事でもありません。
1. ひとことで言うと
消化器内視鏡と、泌尿器・呼吸器・外科などの治療用の内視鏡・処置具をつくる医療機器メーカー
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆107億円 | +1.3% |
| 営業利益 | 971億円 | −40.2% |
| 調整後営業利益(会社が重視する指標) | 1,433億円 | −24.0% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 682億円 | −42.2% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 8.7% | 前期 15.6% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 52.8% | 前期 52.4% |
| 配当 | 年30円(配当性向48.9%) | 前期 20円 |
- 調整後営業利益は、営業利益から「その他の収益・費用」を除いた利益です
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載から) | 売上高 | 営業損益 |
|---|---|---|---|
| 消化器内視鏡ソリューション | 消化器内視鏡、消化器科処置具、医療サービス | 6,974億円(+3.5%) | 1,364億円(−20.5%) |
| サージカルインターベンション | 泌尿器科、呼吸器科、外科内視鏡など | 3,131億円(−3.0%) | −150億円(前期は153億円の利益) |
- 稼ぎのほとんどは消化器内視鏡です
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 消化器内視鏡
- 消化器内視鏡分野は、第4四半期に北米・欧州・アジア・オセアニアで二桁成長を達成しました。消化器内視鏡システム「EVIS X1」などの製品があります
② 処置具とサービス
- 消化器科の処置具は、各地域の実行力と新製品で増収。ERCP関連製品も成長に寄与しました。医療サービス分野も欧州が牽引して増収でした
③ 呼吸器・泌尿器
- 呼吸器科は、超音波気管支鏡や処置具が好調でした。泌尿器科は欧州で増収でした
4. 弱み・リスク
① 品質・規制の問題(FDA)
- 2025年6月24日(米国時間)、米国食品医薬品局(FDA)は、会津オリンパスで製造された一部の医療機器(一部の気管支鏡、腹腔鏡、尿管腎盂鏡と内視鏡洗浄消毒装置)の輸入警告を公表しました。今後の通知があるまで、対象の機器は米国に輸入できません
- 会社は、FDAから受領している警告書への是正が不十分・遅れた場合、さらなる規制措置で製品の供給に影響が出るおそれがあるとしています
- 一部製品の出荷止めや、サージカルデバイスの一部製品の自主回収(費用約24億円の引当)もありました
② 費用と減損
- 組織体制を変革するための費用(消化器内視鏡で約141億円、サージカルで約67億円)、開発資産や無形資産の減損、エンドルミナルロボットの合弁会社への出資に関する費用(約44億円)などを計上しました
③ 米国の関税と中国
- 米国の関税とセールスミックスの悪化で原価率が悪化しました。中国では、競争の激化や国産優遇策が業績を圧迫しています
5. ライバルとの比較
医療機器メーカーのテルモと比べます。どちらもIFRS・2026年3月期ですが、製品と利益の指標の定義が違うので、おおまかな比較です。
| オリンパス | テルモ | |
|---|---|---|
| 売上 | 1兆107億円(+1.3%) | 1兆1,319億円(+9.2%) |
| 営業利益 | 971億円(−40.2%) | 1,763億円(+11.8%) |
| 調整後営業利益 | 1,433億円 | 2,194億円 |
| ROE | 8.7% | 9.2% |
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
オリンパスの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 消化器内視鏡の売上高・営業利益 | 6,974億円・1,364億円 | 決算短信(セグメント) |
| サージカルの営業損益 | −150億円 | 決算短信 |
| FDAの警告書・輸入警告への対応 | 是正活動を継続中 | 決算短信(事業等のリスク) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高1兆550億〜1兆760億円、調整後営業利益1,605億〜1,795億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年30円、2027年3月期予想30円 | 決算短信 |
- 会社の業績予想は幅(レンジ)で示されています
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美内視鏡の売上は伸びているけど、品質の問題や組織改革の費用で利益が減ったのね。FDAへの対応がどうなるかも見ておきたいな
まとめ
- オリンパスは、消化器内視鏡が稼ぎの柱の医療機器メーカー
- 2026年3月期は営業利益971億円(−40.2%)、調整後営業利益1,433億円
- 減益の理由は米国の関税、組織改革の費用、減損、自主回収など
- FDAの輸入警告(会津オリンパス製の一部機器)と警告書への是正が課題
- 2027年3月期の業績予想は幅で示されている
参考文献
- オリンパス. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日). https://www.olympus.co.jp/ir/data/brief/pdf/01_tanshin_Q4FY2026_jp.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- テルモ. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月15日). https://www.terumo.co.jp/system/files/document/2026-05/FinancialResults_26Q4_J.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。