テルモの強みとは:カテーテルなどの「心臓血管」、病院・薬剤向けの「メディカルケアソリューションズ」、採血・血漿採取の「血液・細胞テクノロジー」の医療機器メーカー。2026年3月期は売上収益1兆1,319億円(+9.2%)、海外が8割。臓器保存のOrganOx社を約2,306億円で買収
テルモを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月15日)で分析しました。売上収益1兆1,319億円(+9.2%)、営業利益1,763億円(+11.8%)、会社が重視する調整後営業利益2,194億円(+7.8%)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,359億円(+16.2%)、ROE9.2%。セグメントの調整後営業利益は、心臓血管1,640億円(売上収益6,764億円、インターベンショナルシステムズ事業が中心)、血液・細胞テクノロジー336億円(北米の血漿イノベーションビジネスで+15.4%の増収)、メディカルケアソリューションズ216億円、オーガンテクノロジーズ17億円。地域別の売上収益は海外9,093億円(米州4,434億円)、日本2,226億円。米国の関税政策の影響も。2025年10月に臓器保存デバイスのOrganOx社を取得対価約2,306億円で完全子会社化。年30円の配当、2027年3月期は調整後営業利益2,615億円・年36円の予想。HOYAとの比較と、見ておくべき数字も。医療機器の効果を説明する記事ではなく、売買をすすめるものでもありません。

プレ男テルモって、どうやって1兆円も売り上げているの?

メル美病院で使うカテーテルや、献血の機械もつくってるらしいよ。しかも海外の売上が多いんだって
企業分析の連載、73社目はテルモです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月15日)で確認しました。比較には、この連載のHOYAの強みとはで確認したHOYAの数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、テルモ株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。医療機器の効果や使い方を説明する記事でもありません。
1. ひとことで言うと
カテーテルなどの心臓・血管の医療機器、病院・薬剤向けの製品、採血・血漿採取などの機器を、世界で売る医療機器メーカー
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆1,319億円 | +9.2% |
| 営業利益 | 1,763億円 | +11.8% |
| 調整後営業利益(会社が重視する指標) | 2,194億円 | +7.8% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,359億円 | +16.2% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 9.2% | 前期 8.7% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 68.5% | 前期 74.8% |
| 配当 | 年30円(配当性向32.6%) | 前期 26円 |
- 調整後営業利益は、営業利益から、買収で取得した無形資産の償却費と一時的な損益を調整した利益で、セグメント利益と一致します
- 売上総利益は、米国の関税政策の影響を受けながらも、売上の増加で6.1%増えました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な製品(決算短信の記載から) | 売上収益 | 調整後営業利益 |
|---|---|---|---|
| 心臓血管 | 血管造影用ガイドワイヤー・カテーテル、PTCA用バルーンカテーテルなど | 6,764億円(+8.3%) | 1,640億円 |
| 血液・細胞テクノロジー | 採血関連製品、血漿採取(グローバルブラッドソリューション) | 2,310億円(+15.4%) | 336億円 |
| メディカルケアソリューションズ | 病院向け(ホスピタルケア)、薬剤向け(ファーマシューティカル) | 2,161億円(+2.3%) | 216億円 |
| オーガンテクノロジーズ | 臓器保存デバイス(OrganOx社) | 80億円 | 17億円 |
- 利益の7割以上が心臓血管です
地域別の売上収益
| 地域 | 売上収益 | 伸び率 |
|---|---|---|
| 米州 | 4,434億円 | +12.1% |
| 欧州 | 2,427億円 | +11.2% |
| アジア他 | 1,319億円 | +9.9% |
| 中国 | 913億円 | +7.5% |
| 日本 | 2,226億円 | +2.5% |
- 海外は9,093億円で、売上の約8割です
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 心臓血管(カテーテル治療の機器)
- 海外はインターベンショナルシステムズ事業を中心に全事業で伸び、日本でもインターベンショナルシステムズとニューロ事業が好調でした
② 血漿の事業
- 北米での血漿イノベーションビジネスの展開が加速し、血液・細胞テクノロジーは+15.4%の増収でした
③ 新しい分野への投資
- 2025年10月29日に、臓器保存デバイスのOrganOx社を取得対価約2,306億円で完全子会社にしました。会社は、臓器移植の分野は満たされていないニーズが大きく、高い成長が期待できるとしています
4. 弱み・リスク
① 米国の関税
- 売上総利益は、米国の関税政策の影響を受けました。売上の約4割が米州です
② 買収による借入と償却
- OrganOx社の買収のための借入れで負債が増え、持分比率は68.5%(前期74.8%)に下がりました。買収で取得した無形資産の償却も続きます
③ 日本の伸び
- 日本は+2.5%で、ホスピタルケアソリューション事業では一部の事業を終了した影響もありました
5. ライバルとの比較
医療機器も手がけるHOYAと比べます。どちらもIFRS・2026年3月期ですが、事業の中身と利益の指標が違うので、おおまかな比較です。
| テルモ | HOYA | |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆1,319億円(+9.2%) | 9,477億円(+9.4%) |
| 利益 | 営業利益1,763億円(15.6%) | 税引前利益3,277億円(34.6%) |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,359億円 | 2,531億円 |
| ROE | 9.2% | 25.4% |
- 売上はテルモが大きく、利益率とROEはHOYAが大きく上回ります(→HOYAの強みとは)。医療機器も持つ会社は富士フイルムホールディングスの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
テルモの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 調整後営業利益 | 2,194億円 | 決算短信のサマリー |
| 心臓血管の売上収益・利益 | 6,764億円・1,640億円 | 決算短信(セグメント) |
| 米州の売上収益 | 4,434億円 | 決算短信(地域別) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益1兆2,390億円、調整後営業利益2,615億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年30円、2027年3月期予想36円 | 決算短信 |
- 会社予想の為替の前提は、1ドル155円、1ユーロ180円です。会社は、総還元性向50%を目安に自己株式の取得も検討するとしています
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美稼ぎの中心は海外のカテーテルの機器なのね。大きな買収や関税の影響も見ておきたいな
まとめ
- テルモは、心臓血管・メディカルケアソリューションズ・血液・細胞テクノロジーの医療機器メーカー
- 2026年3月期は売上収益1兆1,319億円、調整後営業利益2,194億円
- 利益の7割以上が心臓血管、売上の約8割が海外
- OrganOx社(臓器保存デバイス)を約2,306億円で買収
- 課題は米国の関税と買収による借入・償却
参考文献
- テルモ. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月15日). https://www.terumo.co.jp/system/files/document/2026-05/FinancialResults_26Q4_J.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- HOYA. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日). https://ssl4.eir-parts.net/doc/7741/tdnet/2797235/00.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。