富士フイルムホールディングスの強みとは:医療機器・バイオ医薬品の受託製造(ヘルスケア)、半導体材料(エレクトロニクス)、複合機(ビジネスイノベーション)、「instax“チェキ”」(イメージング)の4本柱。2026年3月期は売上高3兆3,570億円・営業利益3,502億円
富士フイルムホールディングスを、2026年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年5月12日)で分析しました。売上高3兆3,570億円(+5.0%)、営業利益3,502億円(+6.1%、営業利益率10.4%)、当社株主に帰属する当期純利益2,767億円(+6.0%)、ROE7.7%、株主資本比率63.4%。部門別の営業利益は、イメージング1,600億円(+14.9%、累計販売台数1億台を突破したinstax“チェキ”とデジタルカメラ)、エレクトロニクス1,009億円(+34.4%、AI半導体向けの半導体材料)、ビジネスイノベーション637億円(−14.6%)、ヘルスケア636億円(−20.3%、売上はバイオCDMOのデンマーク拠点などで増加)。米国ノースカロライナ州に大型のバイオ医薬品CDMO工場を開設。年70円の配当、2027年3月期は営業利益3,650億円・年75円の予想。キヤノンとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美チェキ、友だちと撮るのに使ってるよ! 富士フイルムって、まだ写真の会社なの?

プレ男半導体の材料や、薬をつくる工場もやってるって聞いたよ。全然イメージが違う!
企業分析の連載、64社目は富士フイルムホールディングスです。2026年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。比較には、この連載のキヤノンの強みとはで確認したキヤノンの数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、富士フイルムホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。医療機器や医薬品の効果を説明する記事でもありません。
1. ひとことで言うと
医療機器やバイオ医薬品の受託製造、半導体材料、複合機、カメラ・チェキなどを手がける会社
| 項目(米国基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3兆3,570億円 | +5.0% |
| 営業利益 | 3,502億円 | +6.1% |
| 営業利益率 | 10.4% | 前期 10.3% |
| 当社株主に帰属する当期純利益 | 2,767億円 | +6.0% |
| ROE(株主資本当社株主に帰属する当期純利益率) | 7.7% | 前期 8.0% |
| 株主資本比率 | 63.4% | 前期 63.8% |
| 配当 | 年70円(配当性向30.5%) | 前期 65円 |
- 増収は、バイオCDMO(バイオ医薬品の受託製造)、半導体材料、イメージングなどが中心です。為替は1ドル151円、1ユーロ175円でした
2. 何で稼いでいるか
| 部門 | 中身(決算短信の記載から) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| イメージング | instax“チェキ”、デジタルカメラ | 6,271億円(+15.7%) | 1,600億円(+14.9%) |
| エレクトロニクス | 半導体材料など | 4,562億円(+11.9%) | 1,009億円(+34.4%) |
| ビジネスイノベーション | 複合機、DXソリューション | 1兆1,748億円(−2.0%) | 637億円(−14.6%) |
| ヘルスケア | 医療機器(メディカルシステム)、バイオCDMOなど | 1兆989億円(+4.9%) | 636億円(−20.3%) |
- 2026年3月期のいちばんの稼ぎ頭はイメージング、いちばん伸びたのはエレクトロニクスです
- 2026年3月期から、ケミカル試薬をエレクトロニクスからヘルスケアに移しています
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① チェキとカメラ
- インスタントフォトシステム「instax」は累計販売台数1億台を突破し、新製品の発売も続いています。2025年12月にはチェキのフィルムの生産設備の増強を発表しました。デジタルカメラの販売も伸びました
② AI半導体向けの材料
- 半導体材料は、AI半導体の需要を取り込み、売上が大きく増えました。大手ファウンドリー向けが好調で、米国や韓国の大手半導体メーカー向けも回復しているとしています
③ バイオCDMOへの投資
- 前年度に動き始めたデンマーク拠点の大型設備が売上に寄与し、米国ノースカロライナ州に大型の製造工場を開設しました
4. 弱み・リスク
① ヘルスケアの減益
- ヘルスケアは売上が増えた一方、営業利益は20.3%減りました
② ビジネスイノベーションの減収減益
- 国内ではWindows 10のサポート終了に伴う買い替え需要もありましたが、部門全体では減収減益でした。アジア・パシフィック地域の販売減などがありました
③ 大きな投資
- 投資活動によるキャッシュ・フローは−5,546億円で、営業キャッシュ・フロー(4,106億円)を上回る投資をしています
5. ライバルとの比較
カメラ・複合機・医療機器を持つキヤノンと比べます。決算期(キヤノンは12月期)が違うので、おおまかな比較です。どちらも米国基準です。
| 富士フイルムHD(2026年3月期) | キヤノン(2025年12月期) | |
|---|---|---|
| 売上高 | 3兆3,570億円(+5.0%) | 4兆6,247億円(+2.5%) |
| 営業利益 | 3,502億円(+6.1%) | 4,554億円(+62.8%) |
| 営業利益率 | 10.4% | 9.8% |
| 当社株主に帰属する当期純利益 | 2,767億円 | 3,321億円 |
- キヤノンは複合機(プリンティング)が中心、富士フイルムはヘルスケア・半導体材料・チェキなど稼ぎ方が分かれています(→キヤノンの強みとは)。半導体の材料の会社は信越化学工業の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
富士フイルムHDの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 部門別の営業利益 | イメージング1,600億円、エレクトロニクス1,009億円など | 決算短信(経営成績) |
| ヘルスケアの営業利益 | 636億円 | 決算短信 |
| 投資キャッシュ・フロー | −5,546億円 | 決算短信のサマリー |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高3兆4,700億円、営業利益3,650億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年70円、2027年3月期予想75円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

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まとめ
- 富士フイルムHDは、ヘルスケア・エレクトロニクス・ビジネスイノベーション・イメージングの4部門の会社
- 2026年3月期は営業利益3,502億円(+6.1%)
- 稼ぎ頭はイメージング(チェキ・カメラ、1,600億円)、伸びたのは半導体材料(+34.4%)
- バイオCDMOに大きく投資(デンマーク・米国ノースカロライナ)
- 課題はヘルスケアの減益とビジネスイノベーション
参考文献
- 富士フイルムホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年5月12日). https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-news/auto_20260508520206/pdfFile.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- キヤノン. 2025年12月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年1月29日). https://global.canon/ja/ir/results/2025/rslt2025j.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。