キヤノンの強みとは:複合機・プリンターの「プリンティング」が売上の半分以上。カメラ・ネットワークカメラ、医療機器、半導体露光装置も。2025年12月期は売上高4兆6,247億円で2期連続の過去最高、営業利益4,554億円(+62.8%)
キヤノンを、2025年12月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年1月29日)で分析しました。売上高4兆6,247億円(+2.5%、2期連続で過去最高)、営業利益4,554億円(+62.8%、営業利益率9.8%)、当社株主に帰属する当期純利益3,321億円(+107.5%)、ROE9.7%。前期はメディカルでのれんの減損があり、その反動と海外の構造改革・経費管理で営業利益が大きく増えました。ビジネスユニット別では、プリンティングが売上高2兆4,944億円・税引前当期純利益2,736億円(欧米の投資先送りで減収減益)、イメージングが1兆549億円・1,768億円(動画クリエーター向けカメラ、ネットワークカメラが好調)、メディカル5,806億円、インダストリアル3,611億円(AI向けの先端後工程向け露光装置の販売台数が増加)。年間配当160円。2026年12月期は営業利益4,790億円の予想。リコーとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男キヤノンといえばカメラ! 一番稼いでいるのもカメラなのかな

メル美会社のコピー機もキヤノンだよ。半導体の装置もつくってるって聞いたことがある
企業分析の連載、36社目はキヤノンです。2025年12月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年1月29日)で確認しました。比較にはリコーの2026年3月期の連結決算概要を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、キヤノン株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
オフィスの複合機・プリンターを中心に、カメラ、医療機器、半導体・ディスプレイの製造装置をつくる会社
| 項目(米国基準・連結) | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4兆6,247億円 | +2.5% |
| 営業利益 | 4,554億円 | +62.8% |
| 営業利益率 | 9.8% | 前期 6.2% |
| 当社株主に帰属する当期純利益 | 3,321億円 | +107.5% |
| ROE(株主資本当社株主に帰属する当期純利益率) | 9.7% | 前期 4.8% |
| 株主資本比率 | 56.9% | 前期 58.6% |
| 配当 | 年160円(配当性向42.9%) | 前期 155円 |
- 売上高は2期連続で過去最高です
- 営業利益が大きく増えたのは、前期にメディカルでのれんの減損損失があったことに加え、海外の構造改革の効果や経費管理で、営業費用が8.4%減ったためです。会社は、減損を除いた前期の調整後の利益と比べても増益だとしています
2. 何で稼いでいるか
ビジネスユニット別の売上高と税引前当期純利益(2025年12月期)です。
| ビジネスユニット | 主な製品 | 売上高 | 税引前当期純利益 |
|---|---|---|---|
| プリンティング | オフィス向け複合機、プロダクション機、インクジェット・レーザープリンター | 2兆4,944億円(−1.1%) | 2,736億円(−10.0%) |
| イメージング | カメラ、ネットワークカメラ | 1兆549億円(+12.5%) | 1,768億円(+14.5%) |
| メディカル | 医療機器 | 5,806億円(+2.1%) | 341億円(調整後、+33.1%) |
| インダストリアル | 半導体露光装置、FPD露光装置 | 3,611億円(+2.7%) | 648億円(−7.9%) |
- 売上の半分以上がプリンティングです
- メディカルの利益は、のれんの減損損失を除く調整後の数字です
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 稼ぐ力の大きいプリンティング
- 減収減益でも、税引前当期純利益は2,736億円。インクジェットの大容量インクタンクモデルは販売台数が前年を上回りました
② 伸びるイメージング
- 動画クリエーター向けのカメラが若い世代の需要をとらえ、ネットワークカメラも新しいチップを積んだ新製品で伸びました
③ AI向けの露光装置
- 半導体露光装置は、メモリやパワー半導体向けは弱めでしたが、AI向けの需要が高い水準で、会社が「業界標準」とする先端後工程向け露光装置の販売台数が増えました
4. 弱み・リスク
① オフィス向けの縮小
- プロダクション機は米国での投資の先送りで減収、オフィス向け複合機も欧米で台数が減り、レーザープリンターは欧州・中国で市場の縮小が続いています
② 為替
- 2025年12月期の平均為替レートは1ドル149.71円(前期比約2円の円高)。海外の売上が大きいため、為替の影響を受けます
③ メディカルの立て直し
- メディカルは、前期にのれんの減損を計上しており、立て直しの途中です
5. ライバルとの比較
複合機の大手、リコーと比べます。決算期(リコーは3月期)と会計基準(リコーはIFRS)が違うので、おおまかな比較です。
| キヤノン(2025年12月期) | リコー(2026年3月期) | |
|---|---|---|
| 売上高 | 4兆6,247億円 | 2兆6,083億円(+3.2%) |
| 営業利益 | 4,554億円 | 907億円(+42.1%) |
| 営業利益率 | 9.8% | 3.5% |
| 親会社の株主に帰属する当期純利益 | 3,321億円 | 556億円 |
- キヤノンは、プリンティング以外にカメラ・医療・露光装置を持ち、規模・利益率ともにリコーを上回ります
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
キヤノンの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年12月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| プリンティングの売上高・利益 | 2兆4,944億円・2,736億円 | 決算短信(事業の種類別セグメント) |
| イメージングの売上高・利益 | 1兆549億円・1,768億円 | 決算短信 |
| インダストリアル(露光装置) | 3,611億円・648億円 | 決算短信 |
| 会社の業績予想 | 2026年12月期 売上高4兆7,650億円、営業利益4,790億円 | 決算概要 |
| 配当 | 年160円、2026年12月期予想160円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ。半導体の装置の会社は東京エレクトロンの強みとは

プレ男カメラの会社のイメージだったけど、稼ぎの中心はオフィスの複合機。AI向けの露光装置もあるんだね
チェキ・半導体材料・医療の会社は富士フイルムホールディングスの強みとはへ。
プリンターの会社はセイコーエプソンの強みとはも参考にしてください。
カメラと露光装置の会社はニコンの強みとはも参考にしてください。
複合機の会社はリコーの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- キヤノンは、プリンティング(複合機など)を中心に、カメラ・医療・露光装置の会社
- 2025年12月期は売上高4兆6,247億円(過去最高)、営業利益4,554億円(+62.8%)
- 稼ぎ頭はプリンティング、伸びたのはイメージング(動画向けカメラ・ネットワークカメラ)
- AI向けの先端後工程向け露光装置の販売台数が増加
- 課題はオフィス向けの縮小と為替
参考文献
- キヤノン. 2025年12月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年1月29日). https://global.canon/ja/ir/results/2025/rslt2025j.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- リコー. 連結決算概要 2026年3月期実績及び2027年3月期見通し(決算短信・補足資料). https://jp.ricoh.com/-/media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/IR/financial_results/r07_3/pdf/flash_report.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。