企業分析2026年10月12日

ニコンの強みとは:カメラの映像事業が売上の4割強、半導体・FPD露光装置の精機、コンポーネント、ヘルスケアも。2026年3月期は金属3Dプリンタなどのデジタルマニュファクチャリングで減損を計上し、営業損失1,124億円

ニコンを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益6,772億円(−5.3%)、営業損失1,124億円(前期は24億円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失861億円、ROE−14.1%、親会社所有者帰属持分比率54.6%。デジタルマニュファクチャリング事業で非金融資産の減損損失を計上し(減損損失の合計991億円)、同事業は1,063億円の営業損失。セグメント損益は、映像167億円(−59.5%、デジタルシネマカメラ「ZR」が販売を牽引、平均販売単価の下落と関税)、コンポーネント96億円(+33.0%)、ヘルスケア16億円(−76.8%)、精機は46億円の損失(FPD露光装置・ArF露光装置の販売台数減)。年40円の配当、2027年3月期は売上収益7,400億円・営業利益100億円・当期利益100億円・年20円の予想。キヤノンとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

目次
  1. 1. ひとことで言うと
  2. 2. 何で稼いでいるか
  3. 3. 強み
  4. 4. 弱み・リスク
  5. 5. ライバルとの比較
  6. 6. 投資プレイヤー的チェックポイント
  7. まとめ

プレ男ニコンって、カメラの会社だよね。赤字になったの?

メル美決算短信を見ると、カメラの事業は黒字なんだけど、金属の3Dプリンタなどの事業で大きな減損を出して、全体で赤字になったんだって

企業分析の連載、174社目はニコンです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のキヤノンの強みとはで確認した数字を使っています。

この記事は会社のしくみと数字の解説で、ニコン株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の商品をすすめるものでもありません。

1. ひとことで言うと

デジタルカメラなどの映像事業を中心に、FPD・半導体の露光装置(精機)、ヘルスケア、光学部品などのコンポーネント、金属アディティブマニュファクチャリング(金属3Dプリンタ)などのデジタルマニュファクチャリングを手がける会社

項目(IFRS・連結) 2026年3月期 前期比
売上収益 6,772億円 −5.3%
営業損益 −1,124億円 前期 24億円
親会社の所有者に帰属する当期損益 −861億円 前期 61億円
ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) −14.1% 前期 0.9%
親会社所有者帰属持分比率 54.6% 前期 57.4%
配当 年40円 前期 50円

2. 何で稼いでいるか

セグメント 主な動き(決算短信の記載) 売上収益(外部) セグメント損益
映像 デジタルシネマカメラ「ZR」が販売を牽引、平均販売単価の下落・関税・一時費用 2,901億円(−1.8%) 167億円(−59.5%)
精機 FPD露光装置・ArF露光装置の販売台数が減少 1,673億円(−17.2%) −46億円
ヘルスケア アイケアは堅調、ライフサイエンスは米国の停滞と関税 1,119億円(−3.9%) 16億円(−76.8%)
コンポーネント 電子部品・半導体向けが堅調、EUV関連は減少 762億円 96億円(+33.0%)
デジタルマニュファクチャリング 大型装置の販売は増加、非金融資産の減損損失 281億円(+20.3%) −1,063億円

3. 強み

会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。

① 映像事業

② 半導体関連の新しい装置

③ 2027年3月期の黒字転換の見通し

4. 弱み・リスク

① 大きな減損と赤字

② 精機事業の減少

③ 減配と関税

5. ライバルとの比較

カメラや半導体露光装置などを手がけるキヤノンと並べます。決算期(キヤノンは12月期)と会計基準(キヤノンは米国基準)が違うので、おおまかな比較です。

ニコン(2026年3月期) キヤノン(2025年12月期)
売上 6,772億円(−5.3%) 4兆6,247億円(+2.5%)
営業損益 −1,124億円 4,554億円(+62.8%)
当期損益 −861億円 3,321億円
ROE −14.1% 9.7%
自己資本(帰属持分・株主資本)比率 54.6% 56.9%

6. 投資プレイヤー的チェックポイント

ニコンの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。

見ておく数字 2026年3月期 どこに書いてある
映像事業の利益 167億円 決算短信(セグメント情報)
精機事業の損益 −46億円 決算短信(セグメント情報)
減損損失 991億円 決算短信(連結財務諸表の注記)
会社の業績予想 2027年3月期 売上収益7,400億円、営業利益100億円、当期利益100億円 決算短信のサマリー
配当 年40円、2027年3月期予想20円 決算短信

プレ男カメラは黒字だけど、新しい事業の減損で大きな赤字なんだね。来年に黒字に戻るかを見ておこう

まとめ


参考文献

  1. ニコン. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日). https://www2.jpx.co.jp/disc/77310/140120260507518927.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
  2. キヤノン. 2025年12月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年1月29日). https://global.canon/ja/ir/results/2025/rslt2025j.pdf (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。