ニコンの強みとは:カメラの映像事業が売上の4割強、半導体・FPD露光装置の精機、コンポーネント、ヘルスケアも。2026年3月期は金属3Dプリンタなどのデジタルマニュファクチャリングで減損を計上し、営業損失1,124億円
ニコンを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益6,772億円(−5.3%)、営業損失1,124億円(前期は24億円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失861億円、ROE−14.1%、親会社所有者帰属持分比率54.6%。デジタルマニュファクチャリング事業で非金融資産の減損損失を計上し(減損損失の合計991億円)、同事業は1,063億円の営業損失。セグメント損益は、映像167億円(−59.5%、デジタルシネマカメラ「ZR」が販売を牽引、平均販売単価の下落と関税)、コンポーネント96億円(+33.0%)、ヘルスケア16億円(−76.8%)、精機は46億円の損失(FPD露光装置・ArF露光装置の販売台数減)。年40円の配当、2027年3月期は売上収益7,400億円・営業利益100億円・当期利益100億円・年20円の予想。キヤノンとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男ニコンって、カメラの会社だよね。赤字になったの?

メル美決算短信を見ると、カメラの事業は黒字なんだけど、金属の3Dプリンタなどの事業で大きな減損を出して、全体で赤字になったんだって
企業分析の連載、174社目はニコンです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のキヤノンの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ニコン株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の商品をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
デジタルカメラなどの映像事業を中心に、FPD・半導体の露光装置(精機)、ヘルスケア、光学部品などのコンポーネント、金属アディティブマニュファクチャリング(金属3Dプリンタ)などのデジタルマニュファクチャリングを手がける会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 6,772億円 | −5.3% |
| 営業損益 | −1,124億円 | 前期 24億円 |
| 親会社の所有者に帰属する当期損益 | −861億円 | 前期 61億円 |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | −14.1% | 前期 0.9% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 54.6% | 前期 57.4% |
| 配当 | 年40円 | 前期 50円 |
- デジタルマニュファクチャリング事業で非金融資産の減損損失を計上したことなどで、業績は期初の想定を大きく下回りました(減損損失の合計は991億円)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上収益(外部) | セグメント損益 |
|---|---|---|---|
| 映像 | デジタルシネマカメラ「ZR」が販売を牽引、平均販売単価の下落・関税・一時費用 | 2,901億円(−1.8%) | 167億円(−59.5%) |
| 精機 | FPD露光装置・ArF露光装置の販売台数が減少 | 1,673億円(−17.2%) | −46億円 |
| ヘルスケア | アイケアは堅調、ライフサイエンスは米国の停滞と関税 | 1,119億円(−3.9%) | 16億円(−76.8%) |
| コンポーネント | 電子部品・半導体向けが堅調、EUV関連は減少 | 762億円 | 96億円(+33.0%) |
| デジタルマニュファクチャリング | 大型装置の販売は増加、非金融資産の減損損失 | 281億円(+20.3%) | −1,063億円 |
- 売上収益の約43%が映像です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 映像事業
- 子会社のRED Digital Cinemaの技術を融合した、ニコン初のデジタルシネマカメラ「ZR」が販売を牽引しました。映像事業は167億円の黒字です
② 半導体関連の新しい装置
- 精機事業では、ニコン初の半導体製造の後工程向け装置「DSP-100」の受注を始めました。コンポーネント事業では、電子部品・半導体向けのシステムなどが堅調でした
③ 2027年3月期の黒字転換の見通し
- 2027年3月期は、売上収益7,400億円(+9.3%)、営業利益100億円、当期利益100億円の予想です
4. 弱み・リスク
① 大きな減損と赤字
- デジタルマニュファクチャリング事業の減損などで、営業損失1,124億円、当期損失861億円となりました
② 精機事業の減少
- FPD露光装置と半導体露光装置(ArF)の販売台数が減り、精機事業は46億円の損失でした
③ 減配と関税
- 配当は50円→40円、2027年3月期は20円の予想です。映像・ヘルスケアでは関税の影響を受けました
5. ライバルとの比較
カメラや半導体露光装置などを手がけるキヤノンと並べます。決算期(キヤノンは12月期)と会計基準(キヤノンは米国基準)が違うので、おおまかな比較です。
| ニコン(2026年3月期) | キヤノン(2025年12月期) | |
|---|---|---|
| 売上 | 6,772億円(−5.3%) | 4兆6,247億円(+2.5%) |
| 営業損益 | −1,124億円 | 4,554億円(+62.8%) |
| 当期損益 | −861億円 | 3,321億円 |
| ROE | −14.1% | 9.7% |
| 自己資本(帰属持分・株主資本)比率 | 54.6% | 56.9% |
- 規模・利益ともキヤノンが大きく上回ります(→キヤノンの強みとは)。カメラなどの画像の会社は富士フイルムホールディングスの強みとは、半導体製造装置は東京エレクトロンの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ニコンの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 映像事業の利益 | 167億円 | 決算短信(セグメント情報) |
| 精機事業の損益 | −46億円 | 決算短信(セグメント情報) |
| 減損損失 | 991億円 | 決算短信(連結財務諸表の注記) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益7,400億円、営業利益100億円、当期利益100億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年40円、2027年3月期予想20円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男カメラは黒字だけど、新しい事業の減損で大きな赤字なんだね。来年に黒字に戻るかを見ておこう
まとめ
- ニコンは、カメラなどの映像事業を中心に、露光装置・ヘルスケア・部品・金属3Dプリンタも手がける会社
- 2026年3月期はデジタルマニュファクチャリングの減損で営業損失1,124億円
- 映像は「ZR」が牽引し167億円の黒字、精機は46億円の損失
- 配当は50円→40円、2027年3月期は20円の予想
- 2027年3月期は営業利益100億円の予想
参考文献
- ニコン. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日). https://www2.jpx.co.jp/disc/77310/140120260507518927.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- キヤノン. 2025年12月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年1月29日). https://global.canon/ja/ir/results/2025/rslt2025j.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。