リコーの強みとは:オフィスのITサービスと複合機などの「デジタルサービス」が売上の約76%。複合機の開発・生産は東芝テック・OKIとの合弁「エトリア」に。2026年3月期は営業利益907億円(+42.1%)、営業利益率3.5%
リコーを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日)と同日の連結決算概要で分析しました。売上高2兆6,083億円(+3.2%、為替を除くと+1.8%)、営業利益907億円(+42.1%、営業利益率3.5%、前期の企業価値向上プロジェクト費用の減少と効果、固定資産売却益など)、親会社の所有者に帰属する当期利益556億円(+21.8%)、ROE5.1%、親会社所有者帰属持分比率45.5%。国内売上高1兆516億円(+9.2%、パソコンの買い替えやセキュリティ強化の需要でITサービスが伸長)、海外1兆5,566億円(−0.5%、米国の関税政策の影響)。セグメントの営業利益は、デジタルプロダクツ315億円、デジタルサービス279億円(−43億円)、グラフィックコミュニケーションズ186億円、インダストリアルソリューションズ24億円。複合機の開発・生産を担うエトリアには2025年10月にOKIが参画。年40円の配当、2027年3月期は営業利益950億円・当期利益620億円・年44円の予想。キヤノン・セイコーエプソンとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男リコーって、会社のコピー機(複合機)の会社だよね

メル美決算短信を見ると、複合機だけじゃなくて、会社のパソコンやセキュリティなどのITサービスも伸びているんだって。会社は「デジタルサービスの会社」への変革を進めているみたい
企業分析の連載、201社目はリコーです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日)と、同じ資料に入っている連結決算概要で確認しました。比較には、この連載のキヤノンの強みとは・セイコーエプソンの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、リコー株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
オフィス向けのITサービス・アプリケーションと複合機などの「デジタルサービス」を中心に、複合機の開発・生産(デジタルプロダクツ)、商用印刷、サーマルなどの産業向け事業を手がける会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆6,083億円 | +3.2% |
| └ 国内 | 1兆516億円 | +9.2% |
| └ 海外 | 1兆5,566億円 | −0.5% |
| 営業利益 | 907億円 | +42.1% |
| 営業利益率 | 3.5% | 前期 2.5% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 556億円 | +21.8% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 5.1% | 前期 4.4% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 45.5% | 前期 43.7% |
| 配当 | 年40円(配当性向40.9%) | 前期 38円 |
- 営業利益が増えたのは、前期に実施した企業価値向上プロジェクトの費用が減り、その効果が出たことや、国内の固定資産売却益、米国のマネージドITサービス事業の譲渡にかかわる収益などによるものです
- 一方、創薬支援事業や一部地域のオフィスサービス事業などでのれんの減損損失(70億円)を計上しました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| デジタルサービス | 国内のITサービス・アプリケーションサービスが伸長、海外は関税の影響、欧州の基幹システム統合の一時費用 | 1兆9,885億円(+3.0%) | 279億円(−43億円) |
| デジタルプロダクツ | エトリアから東芝テック・OKIへの製品販売、構造改革の効果 | 1,863億円(+18.7%) | 315億円(+28億円) |
| グラフィックコミュニケーションズ | 商用印刷、米国を中心にハードの投資控え | 2,840億円(−2.9%) | 186億円(−45億円) |
| インダストリアルソリューションズ | サーマル事業、前期のオプティカル事業譲渡の反動 | 1,062億円(−5.3%) | 24億円(+42億円) |
| その他 | カメラ(RICOH GRシリーズ)が好調、新規事業への先行投資とのれんの減損 | 431億円(+20.3%) | −33億円 |
- 売上高の約76%がデジタルサービスです(計算値)。デジタルプロダクツの売上高は外部の顧客向けで、セグメント間を含むと5,871億円です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 国内のオフィスサービス
- 国内では、パソコンの買い替えやセキュリティ強化の需要と、それにともなうサービス・サポート契約の獲得でITサービスが伸び、法改正に対応したソリューションなどのアプリケーションサービスも増収でした。国内売上高は+9.2%です
② 複合機の合弁「エトリア」
- 複合機などの開発・生産は、2024年7月に東芝テックと組成した合弁会社エトリアで行っています。2025年10月にはOKIが参画し、3社の合弁として共通エンジンの開発や生産体制の最適化を進めています
③ 構造改革の効果
- 前期の企業価値向上プロジェクトの効果などで、販売費及び一般管理費は0.5%減りました
4. 弱み・リスク
① 低い利益率
- 営業利益率は3.5%、ROEは5.1%です
② 海外と関税
- 米州は、関税政策の影響による先行きの不透明感で企業の投資が弱く、売上が4.7%減りました。オフィスプリンティングのノンハード(消耗品など)は欧米を中心に弱含みが続いています
③ のれんの減損
- 買収した事業でのれんの減損損失70億円を計上しました(前期13億円)
5. ライバルとの比較
プリンター・複合機の会社と並べます。決算期(キヤノンは12月期)と会計基準(キヤノンは米国基準)が違うので、おおまかな比較です。
| リコー(2026年3月期) | キヤノン(2025年12月期) | セイコーエプソン(2026年3月期) | |
|---|---|---|---|
| 売上(売上収益) | 2兆6,083億円(+3.2%) | 4兆6,247億円(+2.5%) | 1兆4,133億円(+3.7%) |
| 営業利益 | 907億円(+42.1%) | 4,554億円(+62.8%) | 496億円(−34.0%) |
| 営業利益率 | 3.5% | 9.8% | 3.5%(計算値) |
| ROE | 5.1% | 9.7% | 2.2% |
- リコーは、営業利益率がセイコーエプソンと同じ水準で、キヤノンより低い水準です(→キヤノンの強みとは、セイコーエプソンの強みとは)。複合機などを販売する会社は大塚商会の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
リコーの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| デジタルサービスの営業利益 | 279億円 | 決算短信(連結セグメント情報) |
| 国内・海外の売上高 | 1兆516億円・1兆5,566億円 | 連結決算概要 |
| のれんの減損 | 70億円 | 決算短信(連結損益計算書) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高2兆7,000億円、営業利益950億円、当期利益620億円 | 連結決算概要 |
| 配当 | 年40円、2027年3月期予想44円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男コピー機の会社から、ITサービスの会社に変わろうとしているんだね。デジタルサービスの利益が伸びるかを見ておこう
まとめ
- リコーは、オフィス向けのITサービスと複合機の「デジタルサービス」が中心の会社
- 2026年3月期は営業利益907億円(+42.1%)、営業利益率3.5%
- 国内はITサービスが伸びて+9.2%、海外は関税の影響
- 複合機の開発・生産は東芝テック・OKIとの合弁エトリア
- 2027年3月期は営業利益950億円・年44円の予想
参考文献
- リコー. 2026年3月期 決算のお知らせ(連結決算概要、決算短信〔IFRS〕(連結))(2026年5月12日). https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/IR/financial_results/r07_3/pdf/flash_report.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- キヤノン. 2025年12月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年1月29日). https://global.canon/ja/ir/results/2025/rslt2025j.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- セイコーエプソン. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www2.jpx.co.jp/disc/67240/140120260429514136.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。