企業分析2026年10月10日

大日本印刷(DNP)の強みとは:印刷から広がった3部門。出版・販促・ICカードなどの「スマートコミュニケーション」、包装・医薬・電池材料の「ライフ&ヘルスケア」、半導体用フォトマスク・有機EL用メタルマスクの「エレクトロニクス」。2026年3月期は営業利益1,010億円(+7.9%)

大日本印刷を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で分析しました。売上高1兆5,125億円(+3.8%)、営業利益1,010億円(+7.9%、営業利益率6.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,039億円(−6.1%)、ROE8.9%、自己資本比率58.5%。部門別の営業利益は、エレクトロニクス507億円(−11.6%、半導体製造用フォトマスクの設備投資・開発投資で固定費が増加)、スマートコミュニケーション400億円(+15.4%、事業構造改革)、ライフ&ヘルスケア372億円(+56.6%、コストダウンと固定資産の適正化)。紙媒体の市場縮小が続く一方、EUV向けフォトマスクや次世代半導体パッケージ向けのTGVガラスコア基板に投資。政策保有株式の売却と自己株式の取得(507億円)を実施。年40円の配当、2027年3月期は営業利益1,080億円・年41円の予想。富士フイルムHDとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

目次
  1. 1. ひとことで言うと
  2. 2. 何で稼いでいるか
  3. 3. 強み
  4. 4. 弱み・リスク
  5. 5. ライバルとの比較
  6. 6. 投資プレイヤー的チェックポイント
  7. まとめ

メル美大日本印刷って、本や雑誌を印刷する会社でしょ? 紙の本が減っているのに大丈夫なのかな

プレ男半導体の材料もつくってるらしいよ! 印刷の技術を使ってるんだって

企業分析の連載、70社目は大日本印刷(DNP)です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。比較には、この連載の富士フイルムホールディングスの強みとはで確認した富士フイルムHDの数字を使っています。

この記事は会社のしくみと数字の解説で、大日本印刷株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

1. ひとことで言うと

出版・販促・ICカードなどの情報コミュニケーション、包装・医薬・電池材料、半導体用フォトマスクなどの電子部材を手がける会社

項目(日本基準・連結) 2026年3月期 前期比
売上高 1兆5,125億円 +3.8%
営業利益 1,010億円 +7.9%
営業利益率 6.7% 前期 6.4%
経常利益 1,192億円 +2.9%
親会社株主に帰属する当期純利益 1,039億円 −6.1%
ROE(自己資本当期純利益率) 8.9% 前期 9.6%
自己資本比率 58.5% 前期 59.2%
配当 年40円(配当性向17.0%)

2. 何で稼いでいるか

部門 中身(決算短信の記載から) 売上高 営業利益
エレクトロニクス 有機EL用メタルマスク、半導体製造用フォトマスク、光学フィルムなど 2,518億円(+1.6%) 507億円(−11.6%)
スマートコミュニケーション 出版、販促、コンテンツ・XR、ICカードなど 7,503億円(+4.9%) 400億円(+15.4%)
ライフ&ヘルスケア 包装、医療用パッケージ・医薬品の原薬・製剤、電池材料、内装材、飲料 5,123億円(+3.3%) 372億円(+56.6%)

3. 強み

会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。

① 半導体用フォトマスク

② 次世代半導体パッケージ

③ 事業構造改革と株主還元

4. 弱み・リスク

① 紙媒体の縮小

② エレクトロニクスの固定費

③ 営業キャッシュ・フローの減少

5. ライバルとの比較

印刷・写真から事業を広げてきた富士フイルムホールディングスと比べます。会計基準(富士フイルムは米国基準)が違うので、おおまかな比較です。どちらも2026年3月期です。

大日本印刷 富士フイルムHD
売上高 1兆5,125億円(+3.8%) 3兆3,570億円(+5.0%)
営業利益 1,010億円(+7.9%) 3,502億円(+6.1%)
営業利益率 6.7% 10.4%
半導体の材料 フォトマスク、ガラスコア基板 半導体材料(先端レジストなど)

6. 投資プレイヤー的チェックポイント

大日本印刷の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。

見ておく数字 2026年3月期 どこに書いてある
エレクトロニクスの営業利益 507億円 決算短信(部門別)
自己株式の取得・政策保有株式の売却 自己株式の取得507億円、投資有価証券の売却収入578億円 決算短信(キャッシュ・フロー)
ROE 8.9% 決算短信のサマリー
会社の業績予想 2027年3月期 売上高1兆5,300億円、営業利益1,080億円 決算短信のサマリー
配当 年40円、2027年3月期予想41円 決算短信

メル美紙の仕事は減っているけど、半導体のフォトマスクがいちばん稼いでいるのね。持ち合い株を売って、自社株買いもしているんだ

印刷から事業を広げた会社はTOPPANホールディングスの強みとはも参考にしてください。

まとめ


参考文献

  1. 大日本印刷. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www.dnp.co.jp/ir/ir-file/pdf/dnp_FY25Q4fin.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
  2. 富士フイルムホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年5月12日). https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-news/auto_20260508520206/pdfFile.pdf (閲覧日:2026年10月10日)

この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。