TOPPANホールディングスの強みとは:印刷から、政府系IDなどのセキュアビジネス、環境対応のパッケージ、半導体パッケージ基板(FC-BGA)まで広げた会社。2026年3月期は売上高1兆8,050億円(+5.0%)、営業利益671億円(−21.1%)。買収でパッケージが+31.4%
TOPPANホールディングスを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日、東証の適時開示)で分析しました。売上高1兆8,050億円(+5.0%)、営業利益671億円(−21.1%、営業利益率3.7%)、本業の収益力を示すNon-GAAP営業利益942億円(−3.5%)、経常利益757億円(−15.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益648億円(−28.1%)、ROE4.9%、自己資本比率52.3%。セグメントの営業利益は、情報コミュニケーション450億円(売上高9,232億円、政府系IDやマーケティングDX)、エレクトロニクス336億円(−36.5%、テクセンドフォトマスクの持分法適用会社への移行など)、生活・産業330億円(売上高7,230億円で+31.4%、SONOCOの軟包装事業やIrplastの買収、透明バリアフィルム「GL BARRIER」)。年58円の配当、2027年3月期は営業利益800億円(+19.2%)の予想。大日本印刷との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男TOPPANって、本や雑誌を印刷する会社だよね。今も印刷が中心なの?

メル美決算短信を見ると、政府系のIDカード、食品のパッケージ、半導体の基板まで出てくるよ。出版・商業印刷は減っているんだって
企業分析の連載、124社目はTOPPANホールディングスです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の大日本印刷(DNP)の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、TOPPANホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
デジタル・セキュアビジネス・BPO・印刷などの情報コミュニケーション、パッケージ・建装材の生活・産業、半導体パッケージ基板・ディスプレイ部材のエレクトロニクスの3分野をもつ会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆8,050億円 | +5.0% |
| 営業利益 | 671億円 | −21.1% |
| 営業利益率 | 3.7% | 前期 4.9% |
| Non-GAAP営業利益(本業の収益力を示す指標) | 942億円 | −3.5% |
| 経常利益 | 757億円 | −15.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 648億円 | −28.1% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 4.9% | 前期 6.7% |
| 自己資本比率 | 52.3% | 前期 51.4% |
| 配当 | 年58円(配当性向25.5%) | 前期 56円 |
- Non-GAAP営業利益は、営業利益から買収にともなうのれん・無形資産の償却費やM&A関連費用などを調整した、会社独自の利益です
2. 何で稼いでいるか
| 事業分野 | 中身(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 情報コミュニケーション | マーケティングDX、政府系IDなどのセキュアビジネス、BPO、出版・商業印刷 | 9,232億円(−0.2%) | 450億円(−1.1%) |
| エレクトロニクス | 半導体パッケージ基板(FC-BGA)、ディスプレイ部材 | 1,863億円(−34.2%) | 336億円(−36.5%) |
| 生活・産業 | パッケージ、建装材(化粧シートなど) | 7,230億円(+31.4%) | 330億円(−1.1%) |
- エレクトロニクスの減収は、テクセンドフォトマスクやGiantplus Technologyを持分法適用関連会社に移した影響によるもので、会社はこの影響を除くと増収としています
- 生活・産業の増収は、SONOCO PRODUCTS COMPANYの軟包装事業やIrplast S.p.A.の買収効果などによるものです
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 政府系IDなどのセキュアビジネス
- アフリカをはじめとするグローバルサウスの国々を含む政府系ID事業の拡大と、北欧のHID社の市民ID事業部門、タイのDZ Card社の買収効果で増収でした
② 環境対応のパッケージ
- EUで包装・包装廃棄物規則(PPWR)が2025年2月に発効するなど、環境対応包材へのシフトが進む中、チェコの新工場が本格稼働し、透明バリアフィルム「GL BARRIER」の販売が拡大しました
③ 半導体パッケージ基板
- 高密度半導体パッケージ基板のFC-BGAは、先端品の認定を複数取得し、新潟工場に新しい製造ラインを稼働させました
4. 弱み・リスク
① 印刷の縮小
- コミュニケーションメディア関連は、出版・商業印刷が減少しました。会社は出版印刷事業の集約や拠点の再編などの構造改革を進めています
② 買収の費用と減損
- 営業利益は、Non-GAAP営業利益より270億円少なく、買収にともなう償却費などの影響があります。2026年3月期は、建装材事業用資産などで減損損失140億円を計上しました(前期は670億円)
③ 低いROE
- ROEは4.9%です
5. ライバルとの比較
印刷大手の大日本印刷(DNP)と比べます。どちらも日本基準・2026年3月期です。
| TOPPAN HD | 大日本印刷 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆8,050億円(+5.0%) | 1兆5,125億円(+3.8%) |
| 営業利益 | 671億円(−21.1%) | 1,010億円(+7.9%) |
| 営業利益率 | 3.7% | 6.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 648億円 | 1,039億円 |
| ROE | 4.9% | 8.9% |
- 売上はTOPPANが大きく、利益と利益率はDNPが上回ります(→大日本印刷(DNP)の強みとは)。テープ・フィルムの会社は日東電工の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
TOPPANの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| Non-GAAP営業利益と営業利益の差 | 942億円と671億円 | 決算短信のサマリー |
| 事業分野別の営業利益 | 情報コミュニケーション450億円など | 決算短信(セグメント別の状況) |
| 減損損失 | 140億円 | 決算短信(連結損益計算書) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高1兆9,250億円、営業利益800億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年58円、2027年3月期予想58円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美印刷が減る中で、IDカードやパッケージ、半導体の基板に広げているのね。買収の効果が利益につながるかを見ておきたいな
生成AI用サーバー向けのICパッケージ基板の会社はイビデンの強みとはも参考にしてください。
紙・パルプの会社は王子ホールディングスの強みとはも参考にしてください。
缶やPETボトルの会社は東洋製罐グループホールディングスの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- TOPPANは、情報コミュニケーション・生活・産業・エレクトロニクスの3分野の会社
- 2026年3月期は売上高1兆8,050億円(+5.0%)、営業利益671億円(−21.1%)
- 政府系ID、環境対応パッケージ、FC-BGAに力を入れる
- 出版・商業印刷は減少、買収にともなう償却費や減損も
- 2027年3月期は営業利益800億円(+19.2%)の予想
参考文献
- TOPPANホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日). https://www2.jpx.co.jp/disc/79110/140120260513531643.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 大日本印刷. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www.dnp.co.jp/ir/ir-file/pdf/dnp_FY25Q4fin.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。