東洋製罐グループホールディングスの強みとは:飲料の缶・PETボトル・紙・ガラスの「包装容器」が売上の約63%、営業利益の約半分。製缶機械・充填、鋼板、データセンター向けのアルミ基板も。2026年3月期は営業利益520億円(+51.8%)
東洋製罐グループホールディングスを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日、東証の適時開示)で分析しました。売上高9,632億円(+4.4%)、営業利益520億円(+51.8%、営業利益率5.4%、価格改定と、前期のエンジニアリング事業の一過性の貸倒損失の反動)、経常利益583億円(+56.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益550億円(+144.5%、投資有価証券売却益180億円)、ROE8.1%、自己資本比率56.2%。セグメントの営業利益は、包装容器268億円(−0.8%、アルコール飲料向けの空缶などの販売数量が減少)、鋼板関連99億円(+28.1%、車載用二次電池材)、機能材料関連68億円(+12.0%、データセンター向けハードディスク用のアルミ基板)、不動産関連50億円、エンジニアリング・充填・物流33億円(前期は97億円の損失)。年132円の配当、2027年3月期は中東情勢による原材料・エネルギー価格の高騰で営業利益300億円(−42.3%)・年186円の予想。TOPPANホールディングス・大日本印刷との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男東洋製罐って、缶をつくっている会社?

メル美決算短信を見ると、缶だけじゃなくて、PETボトルや紙コップ、びんもつくっているんだって。缶をつくる機械や、データセンター向けの部品の材料もあるみたい
企業分析の連載、206社目は東洋製罐グループホールディングスです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のTOPPANホールディングスの強みとは・大日本印刷(DNP)の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、東洋製罐グループホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
飲料・食品向けの金属缶、PETボトル、紙製品、ガラスびんなどの「包装容器」を中心に、製缶・製蓋機械や充填・物流、鋼板、機能材料、不動産を手がける会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 9,632億円 | +4.4% |
| 営業利益 | 520億円 | +51.8% |
| 営業利益率 | 5.4% | 前期 3.7% |
| 経常利益 | 583億円 | +56.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 550億円 | +144.5% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 8.1% | 前期 3.4% |
| 自己資本比率 | 56.2% | 前期 55.5% |
| 配当 | 年132円(配当性向36.5%) | 前期 91円 |
- 営業利益は、人件費などが増えた一方、価格改定を実施したことや、前期にエンジニアリング事業で一過性の貸倒損失を多額に計上していた反動などで増えました
- 当期純利益には、投資有価証券売却益180億円が含まれます
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 包装容器 | 金属・プラスチック・紙・ガラス。価格改定の一方、アルコール飲料向けの空缶・缶蓋や飲料用小型PETボトルの販売が減少 | 6,023億円(−0.0%) | 268億円(−0.8%) |
| 鋼板関連 | 車載用二次電池材、食缶向け、ユニットバス向けの内装材が増加 | 915億円(+1.6%) | 99億円(+28.1%) |
| 機能材料関連 | データセンター向けハードディスク用の磁気ディスク用アルミ基板の市況が回復 | 578億円(+11.4%) | 68億円(+12.0%) |
| 不動産関連 | オフィスビル・商業施設などの賃貸 | 83億円(+3.1%) | 50億円(+10.3%) |
| エンジニアリング・充填・物流 | 新規顧客への製缶・製蓋機械の販売増、マレーシアの充填事業を連結 | 1,793億円(+22.5%) | 33億円(前期は97億円の損失) |
| その他 | 自動車用プレス金型・硬質合金など | 240億円(+1.1%) | 22億円(+40.2%) |
- 売上高の約63%、セグメントの営業利益の合計539億円のうち約50%が包装容器です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 4つの素材の容器
- 金属・プラスチック・紙・ガラスの4つの素材で容器をつくっています。紙製品では、コンビニエンスストア向けの弁当容器やファストフード向けの飲料コップが増えました
② 価格改定
- 国内・海外で価格改定を実施し、包装容器の販売数量が減るなかでも売上高は前期並みでした
③ 容器以外の柱
- 鋼板関連では車載用二次電池材、機能材料関連ではデータセンター向けハードディスク用のアルミ基板が伸びました
4. 弱み・リスク
① 包装容器の販売数量
- 国内ではアルコール飲料向けの空缶・缶蓋や飲料用小型PETボトル、清涼飲料向けのびんの販売が減りました
② 原材料・エネルギー価格
- 2027年3月期は、中東情勢にともなう原材料・エネルギー価格の高騰などで、営業利益300億円(−42.3%)、当期純利益300億円(−45.4%)の予想です
③ エンジニアリング事業の変動
- 前期は、エンジニアリング事業の一過性の貸倒損失で97億円の営業損失でした。既存顧客の設備投資の抑制も続いています
5. ライバルとの比較
包装材も手がけるTOPPANホールディングス・大日本印刷と並べます。3社とも日本基準・2026年3月期ですが、事業の中身が違うので、おおまかな比較です。
| 東洋製罐GHD | TOPPANホールディングス | 大日本印刷 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 9,632億円(+4.4%) | 1兆8,050億円(+5.0%) | 1兆5,125億円(+3.8%) |
| 営業利益 | 520億円(+51.8%) | 671億円(−21.1%) | 1,010億円(+7.9%) |
| 営業利益率 | 5.4% | 3.7% | 6.7% |
| ROE | 8.1% | 4.9% | 8.9% |
| 自己資本比率 | 56.2% | 52.3% | 58.5% |
- 東洋製罐GHDの利益率は、2社の間の水準です(→TOPPANホールディングスの強みとは、大日本印刷(DNP)の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
東洋製罐GHDの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 包装容器の営業利益 | 268億円 | 決算短信(セグメント別) |
| エンジニアリング・充填・物流の営業損益 | 33億円 | 決算短信(セグメント別) |
| 原材料・エネルギー価格の前提 | 2026年4月末時点の価格が通期続く前提 | 決算短信(今後の見通し) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高1兆300億円、営業利益300億円、当期純利益300億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年132円、2027年3月期予想186円(配当性向93.2%) | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方、配当の考え方は配当方針の読み方へ

プレ男缶やペットボトルの会社だけど、原材料やエネルギーの値段で利益が大きく動くんだね。来期の予想が大きく減るのも見ておこう
まとめ
- 東洋製罐GHDは、包装容器(缶・PETボトル・紙・ガラス)を中心とする会社
- 2026年3月期は営業利益520億円(+51.8%)
- 売上高の約63%、営業利益の約半分が包装容器
- 価格改定と前期の貸倒損失の反動で増益、株式売却益で当期純利益550億円
- 2027年3月期は中東情勢で営業利益300億円(−42.3%)、配当は年186円の予想
参考文献
- 東洋製罐グループホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日). https://www2.jpx.co.jp/disc/59010/140120260513527928.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- TOPPANホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日). https://www2.jpx.co.jp/disc/79110/140120260513531643.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 大日本印刷. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www.dnp.co.jp/ir/ir-file/pdf/dnp_FY25Q4fin.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。