イビデンの強みとは:生成AI用サーバー向けのICパッケージ基板が営業利益の7割。2026年3月期は売上高4,162億円(+12.7%)・営業利益620億円(+30.3%)。2026〜2028年度に電子事業へ約5,000億円を投資。自動車排気系のセラミックは減益
イビデンを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日、東証の適時開示)で分析しました。売上高4,162億円(+12.7%)、営業利益620億円(+30.3%、営業利益率14.9%)、経常利益608億円(+27.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益637億円(+89.0%、投資有価証券売却益494億円を含む)、ROE12.2%、自己資本比率57.3%。セグメントの営業利益は、電子452億円(+68.5%、売上高2,433億円。生成AI用サーバー向けの受注が堅調、汎用サーバー向け高機能ICパッケージ基板の需要の回復、フィリピン工場の原価低減)、セラミック76億円(−37.4%、DPF・AFPの数量減、EVバッテリー用安全部材は営業損失)、その他90億円。2026〜2028年度の3年間で電子事業に総額約5,000億円規模を投資。2027年3月期は売上高5,000億円(+20.1%)・営業利益900億円(+45.1%)の予想。TOPPANホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男イビデンって、AIの関連株って聞いたけど、何をつくっているの?

メル美決算短信を見ると、半導体をのせる「ICパッケージ基板」なんだって。生成AI用のサーバー向けが好調みたい
企業分析の連載、126社目はイビデンです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のTOPPANホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、イビデン株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
サーバー・パソコン向けの高機能ICパッケージ基板(電子事業)と、自動車の排気系部品などのセラミック製品をつくる会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4,162億円 | +12.7% |
| 営業利益 | 620億円 | +30.3% |
| 営業利益率 | 14.9% | 前期 12.9% |
| 経常利益 | 608億円 | +27.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 637億円 | +89.0% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 12.2% | 前期 6.8% |
| 自己資本比率 | 57.3% | 前期 45.3% |
- 当期純利益には、特別利益の投資有価証券売却益494億円が含まれます
- 株式分割をしたため、2026年3月期の配当は分割前と分割後が混ざっています。2027年3月期の配当予想は年35円(分割後)です(→株式分割と投資単位)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 電子 | 高機能ICパッケージ基板 | 2,433億円(+23.4%) | 452億円(+68.5%) |
| セラミック | 自動車排気系部品(DPF)、触媒担体保持・シール材(AFP)、特殊炭素製品、EVバッテリー用安全部材 | 826億円(−1.8%) | 76億円(−37.4%) |
| その他 | 建材、建設、法面・造園など | 903億円(+2.5%) | 90億円(+3.0%) |
- 営業利益の約7割が電子です(3つのセグメントの合計618億円のうち約73%。計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 生成AI用サーバー向けの基板
- 生成AI用サーバー向けの受注が総じて堅調で、汎用サーバー向けの高機能ICパッケージ基板の需要も緩やかに回復しました。フィリピン工場の製造原価の低減の効果もあり、電子の営業利益は68.5%増えました
② 大きな成長投資
- 2026年度から2028年度の3年間で、電子事業に総額約5,000億円規模の投資をするとしています
③ 財務の改善
- 自己資本比率は57.3%(前期45.3%)に上がりました
4. 弱み・リスク
① 電子事業への集中
- 営業利益の約7割が電子事業で、AIサーバーなどの需要の動きに左右されます。パソコン向けは想定を下回りました
② セラミックの不振
- 自動車排気系部品(DPF)とAFPは数量が減り、特殊炭素製品はEV市場の減速によるパワー半導体向け需要の低迷、EVバッテリー用安全部材は営業損失でした
③ 一度きりの利益
- 2026年3月期の当期純利益には投資有価証券売却益が含まれ、2027年3月期は当期純利益580億円(−9.0%)の予想です
5. ライバルとの比較
半導体パッケージ基板(FC-BGA)も手がけるTOPPANホールディングスと比べます。TOPPANは印刷・パッケージなども含む会社全体の数字で、事業の中身が大きく違うので、おおまかな比較です(どちらも日本基準・2026年3月期)。
| イビデン | TOPPAN HD | |
|---|---|---|
| 売上高 | 4,162億円(+12.7%) | 1兆8,050億円(+5.0%) |
| 営業利益 | 620億円(+30.3%) | 671億円(−21.1%) |
| 営業利益率 | 14.9% | 3.7% |
| ROE | 12.2% | 4.9% |
- 売上はTOPPANがはるかに大きい一方、営業利益はほぼ同じで、利益率はイビデンが大きく上回ります(→TOPPANホールディングスの強みとは)。AI関連で伸びた会社はアドバンテストの強みとは、フジクラの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
イビデンの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 電子事業の売上高・営業利益 | 2,433億円・452億円 | 決算短信(セグメントの概況) |
| 電子事業への投資の進み具合 | 2026〜2028年度で約5,000億円 | 決算短信(今後の見通し) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高5,000億円、営業利益900億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 2027年3月期予想 年35円(分割後) | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男AIサーバー向けの基板で利益が大きく伸びたんだね。5,000億円の投資が計画どおりに利益につながるか見ておこう
まとめ
- イビデンは、高機能ICパッケージ基板とセラミック製品の会社
- 2026年3月期は営業利益620億円(+30.3%)、営業利益率14.9%
- 営業利益の約7割が電子事業で、生成AI用サーバー向けが好調
- 2026〜2028年度に電子事業へ約5,000億円を投資
- 2027年3月期は営業利益900億円(+45.1%)の予想
参考文献
- イビデン. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日). https://www2.jpx.co.jp/disc/40620/140120260505517290.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- TOPPANホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日). https://www2.jpx.co.jp/disc/79110/140120260513531643.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。