伊藤忠商事の強みとは:8つのカンパニーに利益が分散する総合商社。2026年3月期の当社株主に帰属する当期純利益は9,003億円(+2.3%)で、資源に頼りすぎない稼ぎ方。ROE14.6%。2026年1月に1株を5株に分割
伊藤忠商事を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日)で分析しました。収益14兆8,231億円(+0.7%)、当社株主に帰属する当期純利益9,003億円(+2.3%)、ROE(株主資本当社株主に帰属する当期純利益率)14.6%、株主資本比率39.4%。セグメント別の純利益は機械1,556億円、金属1,435億円、情報・金融930億円、食料921億円、エネルギー・化学品693億円、住生活608億円、第8 450億円、繊維433億円で、どれか1つに偏っていません。C.P. Pokphandの売却益が利益を押し上げた一方、金属は減益。2026年1月1日に1株を5株に分割し、2027年3月期は純利益9,500億円・年44円の予想。三菱商事との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男総合商社って、三菱商事のときは「資源が強い」って話だったよね。伊藤忠も同じ?

メル美伊藤忠は、繊維や食料みたいな身近な商売が強いって聞いたことがある
企業分析の連載、13社目は伊藤忠商事です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日)で確認しました。比較には、この連載の三菱商事の強みとはで確認した三菱商事の2026年3月期決算短信の数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、伊藤忠商事株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
8つの「カンパニー」(事業の部門)に利益が分散している総合商社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 収益 | 14兆8,231億円 | +0.7% |
| 営業利益(売上総利益−販管費−貸倒損失) | 7,019億円 | +2.6% |
| 当社株主に帰属する当期純利益 | 9,003億円 | +2.3% |
| うち持分法による投資損益 | 3,235億円 | −7.4% |
| ROE(株主資本当社株主に帰属する当期純利益率) | 14.6% | 前期 15.7% |
| 株主資本比率 | 39.4% | 前期 38.0% |
| 営業キャッシュ・フロー | 1兆1,318億円 | 前期 9,973億円 |
- 2026年1月1日に、1株を5株に分割しました(→株式分割とは)
2. 何で稼いでいるか
決算短信のセグメント情報(2026年3月期、当社株主に帰属する当期純利益)です。
| セグメント | 純利益 | 前期比 | 8セグメントの合計に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 機械 | 1,556億円 | +191億円 | 22.1% |
| 金属 | 1,435億円 | −348億円 | 20.4% |
| 情報・金融 | 930億円 | +98億円 | 13.2% |
| 食料 | 921億円 | +70億円 | 13.1% |
| エネルギー・化学品 | 693億円 | −93億円 | 9.9% |
| 住生活 | 608億円 | −89億円 | 8.7% |
| 第8 | 450億円 | −201億円 | 6.4% |
| 繊維 | 433億円 | −305億円 | 6.2% |
| その他及び修正消去 | 1,976億円 | +878億円 | — |
- いちばん大きい機械でも約22%。どれか1つに大きく偏っていないのが特徴です
- 「その他及び修正消去」には、CITIC LimitedとC.P. Pokphandへの投資と損益が含まれます。2026年3月期は、C.P. Pokphandの売却などで有価証券損益が1,752億円(前期832億円)に増えました
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 利益の分散
- 8つのセグメントがそれぞれ433億〜1,556億円の純利益を出しています。ある分野が落ちても、ほかで支えやすい形です
② 高い資本効率
- ROEは14.6%。下の比較のとおり、三菱商事(8.5%)より高い水準です
③ 現金を生む力
- 営業キャッシュ・フローは1兆1,318億円で、純利益を上回っています
4. 弱み・リスク
① 一時的な利益の影響
- 2026年3月期は、C.P. Pokphandの売却やパルプ事業の再編による有価証券損益(1,752億円)が利益を押し上げています。その一方で、セグメントの多くは減益でした
② 金属・繊維の減益
- 金属は−348億円、繊維は−305億円。繊維は、前期にあったデサントの連結子会社化に伴う再評価益の反動などが理由として挙げられています
③ 金利と世界経済
- 会社は「円金利上昇に伴う金利収支の悪化」(金利収支−569億円)を挙げています
- 経済環境として、米国の輸入関税強化、中東情勢の緊迫化、中国の内需の伸び悩みを挙げています
5. ライバルとの比較
総合商社の三菱商事と比べます(どちらもIFRS・2026年3月期)。
| 伊藤忠商事 | 三菱商事 | |
|---|---|---|
| 収益 | 14兆8,231億円 | 18兆9,160億円 |
| 親会社の株主(所有者)に帰属する当期純利益 | 9,003億円(+2.3%) | 8,005億円(−15.8%) |
| ROE | 14.6% | 8.5% |
| いちばん大きいセグメント | 機械(1,556億円) | 金属資源(2,045億円) |
| 2027年3月期の純利益の見通し | 9,500億円 | 1兆1,000億円 |
- 2026年3月期は、収益は三菱商事が大きく、純利益は伊藤忠が大きい関係でした
- 三菱商事は金属資源の比重が大きく、伊藤忠は分散している点が違います(→三菱商事の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
伊藤忠商事の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| セグメント別の純利益 | 機械1,556億円〜繊維433億円 | 決算短信(事業セグメント情報) |
| 有価証券損益(一時的な利益) | 1,752億円 | 決算短信(経営成績の概況) |
| 持分法による投資損益 | 3,235億円 | 決算短信のサマリー |
| ROE | 14.6% | 決算短信のサマリー |
| 株主資本比率 | 39.4% | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 2027年3月期予想 年44円(分割後)、配当性向32.2% | 決算短信 |
- 2026年3月期の年間配当は、分割を考えると42円(考えないと210円)です。分割の前後で数字が変わるので注意します
- 一時的な利益を除いた稼ぐ力を見るのが大切です。指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美同じ総合商社でも、資源に強い会社と、いろんな分野に分散している会社があるんだね
資源に強い総合商社は三井物産の強みとはへ。
まとめ
- 伊藤忠商事は、8つのセグメントに利益が分散している総合商社
- 2026年3月期の純利益は9,003億円(+2.3%)、ROE14.6%
- いちばん大きい機械でも約22%。資源に頼りすぎない
- C.P. Pokphandの売却などの一時的な利益があり、金属・繊維は減益
- 2026年1月に1株を5株に分割。2027年3月期は純利益9,500億円の予想
参考文献
- 伊藤忠商事. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www.itochu.co.jp/ja/ir/financial_statements/2026/__icsFiles/afieldfile/2026/05/01/26_ended_01.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 三菱商事. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結). https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/earnings/pdf/202605j.pdf (閲覧日:2026年10月7日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。