住友商事の強みとは:鉄鋼、自動車、輸送機・建機、不動産、デジタル(SCSK)、資源、エネルギーなど9つのグループに分散。2026年3月期は純利益6,003億円(+6.8%)で、どのセグメントも1,100億円未満。SCSKの完全子会社化でネット有利子負債が増加、2026年7月に1株→4株の株式分割
住友商事を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日)で分析しました。収益7兆3,373億円(+0.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益6,003億円(+6.8%)、ROE12.9%、親会社所有者帰属持分比率33.9%。セグメント別の当期利益は、エネルギートランスフォーメーション1,024億円、輸送機・建機889億円、資源823億円、都市総合開発815億円、鉄鋼743億円、自動車632億円、メディア・デジタル512億円、化学品・エレクトロニクス・農業265億円、ライフスタイル−36億円。デジタルはSCSKの持分比率の上昇とネットワンシステムズのグループ化で増益、資源は豪州石炭と南アフリカの鉄鉱石の価格下落で減益。SCSK株の追加取得でネット有利子負債は3兆1,472億円、ネットDERは0.68倍に。年150円の配当、2026年7月1日に1株→4株の株式分割、2027年3月期は純利益6,300億円・分割後で年40円の予想。三井物産・三菱商事・伊藤忠との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男総合商社って、三菱商事・三井物産・伊藤忠のほかに、住友商事もあるよね。どこが違うの?

メル美スーパーやIT企業も持ってるって聞いたよ。商社って何でもやってるのね
企業分析の連載、46社目は住友商事です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日)で確認しました。比較には、この連載の三井物産の強みとはで確認した3社の数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、住友商事株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
鉄鋼・自動車・建機・不動産・IT・資源・エネルギーなど、たくさんの事業に投資して稼ぐ総合商社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 収益 | 7兆3,373億円 | +0.6% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 6,003億円 | +6.8% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 12.9% | 前期 12.4% |
| 持分法による投資損益 | 2,667億円 | 前期 2,770億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 33.9% | 前期 40.0% |
| ネット有利子負債 | 3兆1,472億円 | +4,747億円 |
| 配当 | 年150円(配当性向30.1%) | 前期 130円 |
- 資産合計は13兆6,383億円(+2兆72億円)。貴金属のリース取引に係る時価評価などで営業資産が増え、円安の影響もありました
- SCSK株式の追加取得(完全子会社化)で、ネット有利子負債が増え、ネットDER(ネット有利子負債÷株主資本)は0.68倍(前期0.57倍)になりました
2. 何で稼いでいるか
セグメント別の親会社の所有者に帰属する当期利益(2026年3月期)です。
| セグメント | 当期利益 | 前期 | 主な増減要因(決算短信の記載から) |
|---|---|---|---|
| エネルギートランスフォーメーション | 1,024億円 | 964億円 | 電力EPC案件の特殊利益、ベトナム発電事業の持分利益減 |
| 輸送機・建機 | 889億円 | 1,015億円 | 前期の航空機リースの特殊利益の反動 |
| 資源 | 823億円 | 911億円 | 豪州石炭・南アフリカ鉄鉱石の価格下落、銅は増益 |
| 都市総合開発 | 815億円 | 771億円 | 資産回転の促進、大口案件の引渡し |
| 鉄鋼 | 743億円 | 684億円 | モノパイル製造事業の利益貢献開始 |
| 自動車 | 632億円 | 512億円 | マイダス社の売却益 |
| メディア・デジタル | 512億円 | 452億円 | SCSKの持分比率上昇、ネットワンシステムズのグループ化 |
| 化学品・エレクトロニクス・農業 | 265億円 | 214億円 | 半導体需要に伴うエレクトロニクスの販売増 |
| ライフスタイル | −36億円 | 141億円 | 欧米州の青果事業(メロン事業)の不調と売却損 |
- 1,100億円を超えるセグメントがなく、利益が多くの事業に分かれています
- 9セグメントの合計5,669億円に、「消去又は全社」(繰越欠損金などに対する税効果の計上など)335億円を足すと、全社計の6,003億円になります
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 分散した稼ぎ
- 最大のセグメントでも全体の約18%。1つの事業に頼りすぎない形です
② デジタル
- SCSKの持分比率の上昇と、SCSKによるネットワンシステムズのグループ化で、メディア・デジタルが増益でした。2027年3月期も、SCSKの完全子会社化などの大口投資からの利益貢献を見込んでいます
③ 資産の入れかえ
- 不動産の資産回転、マイダス社の売却、メロン事業の売却など、事業の入れかえを進めています
4. 弱み・リスク
① 資源価格
- 豪州の石炭、南アフリカの鉄鉱石の価格下落で資源は減益でした
② 中東情勢
- 決算短信は、今後のリスクとしてホルムズ海峡の実質的封鎖の長期化、燃料供給の不安定化と価格上昇、地政学的リスクの高まりなどを挙げています。自動車流通も中東情勢の影響で減益でした
③ 借入の増加
- SCSK株の追加取得で、ネット有利子負債が4,747億円増え、親会社所有者帰属持分比率は33.9%(前期40.0%)に下がりました
5. ライバルとの比較
総合商社4社を比べます(すべてIFRS・2026年3月期)。
| 住友商事 | 三井物産 | 三菱商事 | 伊藤忠商事 | |
|---|---|---|---|---|
| 親会社に帰属する当期利益 | 6,003億円(+6.8%) | 8,340億円(−7.4%) | 8,005億円(−15.8%) | 9,003億円(+2.3%) |
| ROE | 12.9% | 10.2% | 8.5% | 14.6% |
| 2027年3月期の純利益の見通し | 6,300億円 | 9,200億円 | 1兆1,000億円 | 9,500億円 |
- 利益の規模は4社で最も小さいものの、ROEは伊藤忠に次ぐ水準です(→三井物産の強みとは、三菱商事の強みとは、伊藤忠商事の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
住友商事の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| セグメント別の当期利益 | 最大はエネルギートランスフォーメーション1,024億円 | 決算短信(経営成績) |
| ネット有利子負債・ネットDER | 3兆1,472億円・0.68倍 | 決算短信(財政状態) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 純利益6,300億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当・還元方針 | 年150円。総還元性向40%以上 | 決算短信 |
- 2026年5月1日の取締役会で、2026年7月1日を効力発生日とする1株→4株の株式分割を決議したので、2027年3月期の配当予想(年40円)は分割後の金額です。分割前に直すと年160円です(→株式分割と投資単位)
- 自己株式の取得も決めています(→自社株買いのしくみ)

プレ男どれか1つが飛びぬけて大きいんじゃなくて、いろんな事業で少しずつ稼いでるんだね。株式分割で配当の数字が変わるのも気をつけなきゃ
自動車にかかわる取引が中心の商社は豊田通商の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 住友商事は、9つのセグメントに利益が分散した総合商社
- 2026年3月期は純利益6,003億円(+6.8%)、ROE12.9%
- 伸びたのはデジタル(SCSK)、自動車、鉄鋼など。減ったのは資源とライフスタイル
- SCSK株の追加取得でネット有利子負債3兆1,472億円に
- 2026年7月に1株→4株の株式分割
参考文献
- 住友商事. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www.sumitomocorp.com/-/media/Files/hq/ir/report/summary/2025/2603Tanshin.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 三井物産. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/library/meeting/pdf/ja_263_4q_ta.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 三菱商事. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結). https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/earnings/pdf/202605j.pdf (閲覧日:2026年10月7日)
- 伊藤忠商事. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www.itochu.co.jp/ja/ir/financial_statements/2026/__icsFiles/afieldfile/2026/05/01/26_ended_01.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。