名古屋鉄道の強みとは:鉄道・バス・タクシーの「交通事業」が営業利益の柱、不動産も。トラックの運送事業は77億円の赤字。2026年3月期は営業利益362億円(−14.0%)、名鉄百貨店本店は2026年2月に閉店
名古屋鉄道を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日)で分析しました。営業収益6,916億円(+0.1%)、営業利益362億円(−14.0%、人件費や減価償却費の増加)、経常利益384億円(−19.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益230億円(−39.2%、前期の負ののれん発生益の剥落)、ROE4.8%、自己資本比率30.6%。セグメントの営業利益は、交通218億円(+11.2%、宮城交通グループの連結と鉄軌道の輸送人員増)、不動産136億円(−28.4%、分譲マンションの引き渡し減)、その他53億円、レジャー・サービス34億円、航空関連サービス26億円、流通は19億円の損失、運送は77億円の損失(トラック事業の貨物取扱量の減少)。名鉄百貨店本店は2026年2月28日で営業終了。配当は2027年3月期から配当性向30%以上・下限60円、2027年3月期は営業利益450億円の予想。近鉄グループホールディングス・JR九州との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美名鉄って、名古屋の電車の会社だよね。何で稼いでいるの?

プレ男決算短信を見ると、電車やバスの交通事業がいちばんの稼ぎ頭なんだって。でもトラックの運送事業が赤字で、全体では減益だったみたい
企業分析の連載、220社目は名古屋鉄道です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日)で確認しました。比較には、この連載の近鉄グループホールディングスの強みとは・JR九州の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、名古屋鉄道株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
鉄道・バス・タクシーの「交通」を中心に、トラック・海運の「運送」、不動産、ホテル・観光などの「レジャー・サービス」、百貨店などの「流通」、航空関連サービスをもつ会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 6,916億円 | +0.1% |
| 営業利益 | 362億円 | −14.0% |
| 営業利益率 | 5.2% | 前期 6.1% |
| 経常利益 | 384億円 | −19.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 230億円 | −39.2% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 4.8% | 前期 8.4% |
| 自己資本比率 | 30.6% | 前期 31.9% |
| 配当 | 年40円(配当性向34.2%) | 前期 38.5円 |
- 営業利益は、人件費や減価償却費などが増えて減りました
- 当期純利益は、前期にあった負ののれん発生益がなくなったことなどで大きく減りました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 営業収益 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 交通 | 宮城交通グループの連結、鉄軌道の輸送人員の増加 | 1,783億円(+11.5%) | 218億円(+11.2%) |
| 不動産 | 賃貸は増収、分譲マンションの引き渡し戸数が減少 | 1,148億円(−11.0%) | 136億円(−28.4%) |
| その他 | システム関連の受注増 | 696億円(+2.4%) | 53億円(+15.5%) |
| レジャー・サービス | 観光需要の回復でホテル・観光施設が増益 | 1,068億円(+4.0%) | 34億円(+34.7%) |
| 航空関連サービス | ヘリコプター・機内食の受注増 | 330億円(+9.6%) | 26億円(+14.0%) |
| 流通 | 名鉄百貨店本店の閉店セール、その他物品販売の収支悪化 | 696億円(+0.8%) | −19億円 |
| 運送 | トラック事業の貨物取扱量の減少 | 1,708億円(−5.2%) | −77億円 |
- セグメントの営業利益の合計371億円のうち、交通が約59%、不動産が約37%です(計算値)
- 交通の内訳は、鉄軌道153億円、バス51億円、タクシー11億円です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 交通事業
- 鉄軌道の輸送人員が増え、前期に連結した宮城交通グループの収入も加わり、交通事業は増収増益でした。国や自治体の都市計画事業として、高架化工事を5か所で進めています
② 不動産の賃貸と新しい取り組み
- 不動産賃貸業は+12.4%の増収でした。上場リートの共同スポンサーとなり、名鉄グループとして初めてリート事業に参入しました
③ 配当の方針
- 2027年3月期から、連結配当性向30%以上を維持したうえで、年間配当に1株60円の下限を設けるとしています(→配当方針の読み方)
4. 弱み・リスク
① トラック事業の赤字
- 運送事業は、トラック事業の貨物取扱量が減り、77億円の営業損失(前期は37億円の損失)でした。会社は、2027年3月期に運送事業の収支改善を見込んでいます
② 不動産分譲の変動
- 分譲マンションの引き渡し戸数の減少で、不動産分譲業の営業利益は65.8%減りました
③ 百貨店の閉店と低い資本効率
- 名鉄百貨店本店は2026年2月28日に営業を終えました。ROEは4.8%です
5. ライバルとの比較
鉄道を中心とする会社と並べます。3社とも日本基準・2026年3月期です。
| 名古屋鉄道 | 近鉄グループHD | JR九州 | |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 6,916億円(+0.1%) | 1兆7,503億円(+0.5%) | 5,004億円(+10.1%) |
| 営業利益 | 362億円(−14.0%) | 894億円(+6.0%) | 740億円(+25.5%) |
| 営業利益率 | 5.2% | 5.1% | 14.8% |
| ROE | 4.8% | 9.3% | 9.6% |
| 自己資本比率 | 30.6% | 23.6% | 40.4% |
- 名鉄は、運送事業の赤字でROEが3社でいちばん低くなりました(→近鉄グループホールディングスの強みとは、JR九州の強みとは)。トラック・物流の会社はNIPPON EXPRESSホールディングスの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
名古屋鉄道の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 交通事業の営業利益 | 218億円 | 決算短信(セグメント別) |
| 運送事業の営業損益 | −77億円 | 決算短信(セグメント別) |
| 不動産分譲業の営業利益 | 32億円 | 決算短信(業種別営業成績表) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 営業収益7,340億円、営業利益450億円、当期純利益390億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年40円、2027年3月期予想60円 | 決算短信 |
- 2027年3月期から報告セグメントの区分が変わるので、比べるときは注意が必要です
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美電車とバスは好調だけど、トラックの赤字が重いのね。来期に収支が改善するかを見ておきたいな
まとめ
- 名古屋鉄道は、交通を中心に、運送・不動産・レジャー・流通などをもつ会社
- 2026年3月期は営業利益362億円(−14.0%)
- 営業利益の約6割が交通、運送は77億円の赤字
- 名鉄百貨店本店は2026年2月に閉店
- 2027年3月期は営業利益450億円の予想、配当は下限60円の方針
参考文献
- 名古屋鉄道. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www.meitetsu.co.jp/ir/reference/statement/__icsFiles/afieldfile/2026/05/14/kessan260515.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 近鉄グループホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www2.jpx.co.jp/disc/90410/140120260514534144.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 九州旅客鉄道. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日). https://www2.jpx.co.jp/disc/91420/140120260427512150.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。