近鉄グループホールディングスの強みとは:近鉄の鉄道に、国際物流、あべのハルカス近鉄本店などの百貨店、ホテル・旅行・海遊館、不動産までの6事業。2026年3月期は営業収益1兆7,503億円・営業利益894億円(+6.0%)。大阪・関西万博の需要を取り込み、運輸は+9.8%
近鉄グループホールディングスを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日、東証の適時開示)で分析しました。営業収益1兆7,503億円(+0.5%)、営業利益894億円(+6.0%、営業利益率5.1%)、経常利益846億円(+3.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益538億円(+15.1%)、ROE9.3%、自己資本比率23.6%。セグメントの営業利益は、運輸381億円(+9.8%、大阪・関西万博と名阪特急「ひのとり」の増発)、不動産144億円、ホテル・レジャー138億円(−1.4%、万博効果の一方で志摩スペイン村の反動)、国際物流120億円(−7.4%、営業収益7,532億円で最大、前年4月のシステム障害や競争激化)、流通92億円(+30.4%、万博のオフィシャルストア)。年60円の配当、2027年3月期は万博の反動の一方で営業利益900億円・年70円の予想。阪急阪神ホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美近鉄って、大阪から奈良や伊勢、名古屋まで走っている電車の会社だよね

プレ男決算短信を見ると、売上がいちばん大きいのは「国際物流」なんだって。電車の会社のイメージと違うね
企業分析の連載、119社目は近鉄グループホールディングスです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の阪急阪神ホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、近鉄グループホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
鉄道・バスの運輸を中心に、国際物流、百貨店・ストア、ホテル・旅行・水族館、不動産などを手がける鉄道グループ
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 1兆7,503億円 | +0.5% |
| 営業利益 | 894億円 | +6.0% |
| 営業利益率 | 5.1% | 前期 4.8% |
| 経常利益 | 846億円 | +3.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 538億円 | +15.1% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 9.3% | 前期 8.8% |
| 自己資本比率 | 23.6% | 前期 21.7% |
| 配当 | 年60円(配当性向21.2%) | 前期 50円 |
- 大阪・関西万博などによる旅客・消費の需要やインバウンド需要を取り込み、国際物流の競争激化や期の終盤の中東情勢の悪化があったものの、増収増益でした
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 営業収益 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 運輸 | 鉄道、バス、タクシー | 2,320億円(+3.9%) | 381億円(+9.8%) |
| 不動産 | 不動産の販売・賃貸・管理 | 1,738億円(+5.1%) | 144億円(+3.6%) |
| ホテル・レジャー | 旅行、ホテル、旅館、水族館など | 3,693億円(+7.1%) | 138億円(−1.4%) |
| 国際物流 | 航空貨物・海上貨物輸送、ロジスティクス | 7,532億円(−5.5%) | 120億円(−7.4%) |
| 流通 | 百貨店、ストア、駅売店 | 2,264億円(+5.1%) | 92億円(+30.4%) |
| その他 | ケーブルテレビ、情報処理など | 478億円(+5.9%) | 25億円(+7.7%) |
- 営業収益がいちばん大きいのは国際物流ですが、営業利益率は2%未満です(計算値)。営業利益がいちばん大きいのは運輸です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 鉄道の需要
- 鉄道は、大阪・関西万博によるお客さまの増加、前年2月のダイヤ変更による名阪特急「ひのとり」の増発、インバウンド需要や伊勢志摩方面への需要で、営業利益+9.8%でした
② 沿線のさまざまな事業
- 百貨店では大阪・関西万博のオフィシャルストアが好調で、流通の営業利益は+30.4%でした。ホテルは大阪を中心に客室単価と稼働率が上がりました
③ 世界での物流
- 国際物流では、東南アジアでの販売拡大に向けてシンガポールで新しい倉庫の建設に着手しています
4. 弱み・リスク
① 国際物流の苦戦
- 国際物流は、前年4月のシステム障害の影響や欧州市場の低迷、競合との競争の激化、販売価格への転嫁の遅れで、減収減益でした
② 万博の反動
- 会社は、2027年3月期は運輸・流通で大阪・関西万博の反動減が出ると見込んでいます。営業利益は900億円(+0.6%)、当期純利益は470億円(−12.6%)の予想です
③ 借入の多い財務
- 自己資本比率は23.6%です
5. ライバルとの比較
関西の鉄道グループの阪急阪神ホールディングスと比べます。どちらも日本基準・2026年3月期です。
| 近鉄GHD | 阪急阪神HD | |
|---|---|---|
| 営業収益 | 1兆7,503億円(+0.5%) | 1兆2,035億円(+8.7%) |
| 営業利益 | 894億円(+6.0%) | 1,271億円(+14.7%) |
| 営業利益率 | 5.1% | 10.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 538億円 | 785億円 |
| ROE | 9.3% | 7.3% |
- 営業収益は国際物流を持つ近鉄が大きく、利益と利益率は阪急阪神が上回ります(→阪急阪神ホールディングスの強みとは)。首都圏の鉄道グループは東急の強みとは、物流の会社はヤマトホールディングスの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
近鉄GHDの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 運輸の営業利益 | 381億円 | 決算短信(セグメント別) |
| 国際物流の営業収益・営業利益 | 7,532億円・120億円 | 決算短信(セグメント別) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 営業収益1兆8,400億円、営業利益900億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年60円、2027年3月期予想70円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男電車の利益がいちばん大きいけど、売上は国際物流が最大なんだね。万博の反動と、物流の立て直しを見ておこう
名古屋の鉄道会社は名古屋鉄道の強みとはも参考にしてください。
関西の私鉄はNANKAI(旧 南海電気鉄道)の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 近鉄GHDは、運輸・不動産・国際物流・流通・ホテル・レジャーの鉄道グループ
- 2026年3月期は営業利益894億円(+6.0%)、当期純利益538億円(+15.1%)
- 営業利益は運輸(381億円)、営業収益は国際物流(7,532億円)がいちばん大きい
- 大阪・関西万博とインバウンドの需要を取り込んだ
- 2027年3月期は万博の反動の中、営業利益900億円の予想
参考文献
- 近鉄グループホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www2.jpx.co.jp/disc/90410/140120260514534144.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 阪急阪神ホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www2.jpx.co.jp/disc/90420/140120260325588565.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。