東急の強みとは:東急電鉄の鉄道に、渋谷などの不動産賃貸・販売、百貨店・スーパー・ケーブルテレビなどの生活サービス、ホテルを組み合わせた鉄道グループ。2026年3月期は営業利益1,032億円(−0.3%)、輸送人員は3.1%増。ホテルはインバウンドで+46%
東急を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日、東証の適時開示)で分析しました。営業収益1兆862億円(+3.0%)、営業利益1,032億円(−0.3%、不動産販売の前期の大型物件の反動)、経常利益1,161億円(+7.8%、東急リアル・エステート投資法人の投資口追加取得にともなう負ののれん相当額)、親会社株主に帰属する当期純利益871億円(+9.3%)、ROE10.0%、自己資本比率31.2%。セグメントの営業利益は、不動産436億円(−9.9%)、交通273億円(−5.7%、修繕費・人件費の増加。東急電鉄の輸送人員は11億1,702万人で+3.1%)、生活サービス219億円(+13.0%)、ホテル・リゾート97億円(+46.0%、客室平均単価2万6,681円)。年30円の配当、2027年3月期は営業利益1,100億円(+6.6%)・年32円の予想。阪急阪神ホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美東急って、東横線や田園都市線の会社だよね。渋谷の駅ビルも東急なのかな

プレ男決算短信を見ると、いちばん利益が大きいのは鉄道じゃなくて不動産なんだって
企業分析の連載、111社目は東急です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の阪急阪神ホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、東急株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
東急電鉄などの交通、不動産の賃貸・販売・管理、百貨店・スーパー・ケーブルテレビなどの生活サービス、ホテル・ゴルフを組み合わせた鉄道グループ
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 1兆862億円 | +3.0% |
| 営業利益 | 1,032億円 | −0.3% |
| 営業利益率 | 9.5% | 前期 9.8% |
| 経常利益 | 1,161億円 | +7.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 871億円 | +9.3% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 10.0% | 前期 9.8% |
| 自己資本比率 | 31.2% | 前期 30.7% |
| 配当 | 年30円(配当性向19.7%) | 前期 24円 |
- 営業利益は、不動産販売業で前期に大型物件の販売があった反動などで、わずかに減りました
- 経常利益は、東急リアル・エステート投資法人の投資口を追加取得したことによる負ののれん相当額などで増えました(→J-REIT(上場不動産投資信託)のしくみ)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 営業収益 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 不動産 | 不動産の販売・賃貸・管理 | 2,630億円(+3.6%) | 436億円(−9.9%) |
| 交通 | 鉄軌道、バス、空港運営 | 2,269億円(+2.9%) | 273億円(−5.7%) |
| 生活サービス | 百貨店、チェーンストア、ショッピングセンター、ケーブルテレビ、広告、映像(東急レクリエーション、東急パワーサプライなどを含む) | 5,333億円(+1.1%) | 219億円(+13.0%) |
| ホテル・リゾート | ホテル、ゴルフ | 1,393億円(+9.8%) | 97億円(+46.0%) |
- 営業利益の4割超が不動産です(4つの合計1,025億円のうち約43%。計算値)
- 生活サービスは営業収益がいちばん大きい一方、営業利益率は4%台です(計算値)
東急電鉄の鉄道
| 2026年3月期 | 前期比 | |
|---|---|---|
| 輸送人員 | 11億1,702万人 | +3.1% |
| 旅客運輸収入 | 1,528億円 | +1.8% |
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 沿線の利用者の増加
- 東急電鉄の輸送人員は、定期で+3.4%、定期外で+2.7%と、どちらも前期を上回りました
② ホテルの好調
- 都心のホテルを中心にインバウンド需要を取り込み、客室平均単価は2万6,681円(前期より2,761円上昇)、ホテル・リゾートの営業利益は+46.0%でした
③ 不動産の賃貸
- 不動産賃貸業は、賃料収入の増加で増収でした
4. 弱み・リスク
① 鉄道のコスト
- 交通は、輸送人員が増えて増収となった一方、修繕費や人件費の増加で減益でした
② 不動産販売の波
- 不動産販売は、大型物件を売る年と売らない年で利益が大きく変わります
③ 一度きりの利益
- 2026年3月期の経常利益には、投資口の追加取得にともなう負ののれん相当額が含まれ、会社は2027年3月期はその反動で経常利益が4.1%減ると見込んでいます
5. ライバルとの比較
同じく鉄道・不動産・生活サービスを組み合わせる阪急阪神ホールディングスと比べます(どちらも日本基準・2026年3月期)。
| 東急 | 阪急阪神HD | |
|---|---|---|
| 営業収益 | 1兆862億円(+3.0%) | 1兆2,035億円(+8.7%) |
| 営業利益 | 1,032億円(−0.3%) | 1,271億円(+14.7%) |
| 営業利益率 | 9.5% | 10.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 871億円 | 785億円 |
| ROE | 10.0% | 7.3% |
- どちらも、鉄道よりも不動産の利益が大きい鉄道グループです(→阪急阪神ホールディングスの強みとは)。JRはJR東日本の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
東急の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 東急電鉄の輸送人員・旅客運輸収入 | 11億1,702万人・1,528億円 | 決算短信(交通事業) |
| セグメント別の営業利益 | 不動産436億円、交通273億円など | 決算短信(セグメントの業績) |
| ホテルの客室平均単価 | 2万6,681円 | 決算短信(ホテル・リゾート事業) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 営業収益1兆1,400億円、営業利益1,100億円 | 決算短信(今後の見通し) |
| 配当 | 年30円、2027年3月期予想32円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美電車の利用者は増えているけど、利益の柱は不動産なのね。ホテルの伸びと、不動産を売る年かどうかを見ておきたいな
成田空港と都心を結ぶ鉄道グループは京成電鉄の強みとは、関西の鉄道グループは近鉄グループホールディングスの強みとはも参考にしてください。
ほかの首都圏の私鉄は京王電鉄の強みとは、東武鉄道の強みとは、西武ホールディングスの強みとはも参考にしてください。
ほかの私鉄の会社は京浜急行電鉄の強みとはも参考にしてください。
首都圏の鉄道会社は相鉄ホールディングスの強みとは・東京地下鉄(東京メトロ)の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 東急は、交通・不動産・生活サービス・ホテルの鉄道グループ
- 2026年3月期は営業利益1,032億円(−0.3%)、当期純利益871億円(+9.3%)
- 営業利益の4割超が不動産
- 東急電鉄の輸送人員は+3.1%、ホテルは+46.0%
- 2027年3月期は営業利益1,100億円の予想
参考文献
- 東急. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www2.jpx.co.jp/disc/90050/140120260507517486.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 阪急阪神ホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www2.jpx.co.jp/disc/90420/140120260325588565.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。