京王電鉄の強みとは:鉄道・バスの交通業と、マンション分譲・賃貸の不動産業、京王プラザホテルなどのホテル業で営業利益の約4分の3を稼ぐ私鉄。2026年3月期は営業収益4,969億円(+9.7%)で過去最高、営業利益523億円(−3.4%)。2026年4月に1株→5株の分割
京王電鉄を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日、東証の適時開示)で分析しました。営業収益4,969億円(+9.7%、すべてのセグメントで増収、過去最高)、営業利益523億円(−3.4%、営業利益率10.5%、鉄道安全投資などの投資の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益429億円(+0.2%、政策保有株式の売却、過去最高)、ROE10.0%、自己資本比率37.0%、連結EBITDA869億円。セグメントの営業利益は、不動産172億円(営業収益+31.9%、分譲マンション・不動産ファンドへの売却)、交通133億円(−15.5%、輸送人員+2.1%だが減価償却費・人件費が増加)、ホテル101億円(−7.0%、客室単価は上昇、客室改装)、建設設備74億円(+32.3%)、生活サービス58億円(+9.7%)。2026年4月1日に1株→5株の株式分割。年110円の配当(分割前)、2027年3月期は営業利益510億円(新宿再開発の資産除去債務)・年22円(分割後)の予想。東急・京成電鉄との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美京王電鉄って、電車の会社だよね。電車でいちばん稼いでいるの?

プレ男決算短信を見ると、2026年3月期は不動産業の営業利益が交通業より大きかったんだって。ホテルもかなり稼いでいるみたい
企業分析の連載、158社目は京王電鉄です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の東急の強みとは・京成電鉄の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、京王電鉄株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
鉄道・バスの交通業を中心に、不動産、ホテル、建設設備、スーパー・百貨店などの生活サービスを手がける私鉄グループ
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 4,969億円 | +9.7% |
| 営業利益 | 523億円 | −3.4% |
| 営業利益率 | 10.5% | 前期 12.0% |
| 経常利益 | 512億円 | −3.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 429億円 | +0.2% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 10.0% | 前期 10.6% |
| 自己資本比率 | 37.0% | 前期 36.9% |
| 配当 | 年110円(分割前、配当性向30.1%) | 前期 100円 |
- 営業収益は、不動産販売の売上増、建築・土木の完成工事高の増加、ホテルの高単価販売などで、すべてのセグメントで増収となり、過去最高を更新しました
- 営業利益は、鉄道安全投資をはじめとした投資の増加などで減りました。当期純利益は、政策保有株式の売却などで過去最高です
- 2026年4月1日に1株→5株の株式分割をしています。2027年3月期の配当予想(年22円)は分割後の金額です(→株式分割と投資単位)
2. 何で稼いでいるか
当期から報告セグメントの区分を変更しています(前期も組み替えて比較)。
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 営業収益 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 不動産 | 分譲マンションの売上増、不動産ファンドへの物件売却。賃貸ではまちづくり費用が増加 | 1,207億円(+31.9%) | 172億円(−2.6%) |
| 交通 | 鉄道の輸送人員は増加、車両新造の減価償却費や人件費が増加。バスは高速が好調 | 1,332億円(+2.4%) | 133億円(−15.5%) |
| ホテル | 客室単価は上昇、京王プラザホテル(新宿)などの客室改装 | 600億円(+6.3%) | 101億円(−7.0%) |
| 建設設備 | 完成工事高の増加と粗利率の改善 | 876億円(+13.1%) | 74億円(+32.3%) |
| 生活サービス | スーパー・コンビニ・ドラッグストアが好調、百貨店・広告代理・旅行も好調 | 1,460億円(+1.2%) | 58億円(+9.7%) |
- セグメントの営業利益の合計538億円のうち、不動産が約32%、交通が約25%、ホテルが約19%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 鉄道の利用の回復
- 鉄道の輸送人員は、定期+1.7%、定期外+2.7%で、旅客運輸収入は832億円(+2.1%)でした。バスでは、インバウンド需要の路線などで高速の収入が好調でした
② 不動産とホテル
- 不動産は、都心部を中心とした分譲マンションの売上や不動産ファンドへの物件の売却で営業収益が+31.9%でした。ホテルは、活況な宿泊マーケットを背景に客室単価が上昇しました
③ 生活に密着した事業
- スーパー・コンビニ・ドラッグストア・百貨店などの生活サービスや、建設設備など、沿線の暮らしに関わる事業を幅広くもっています
4. 弱み・リスク
① 投資と費用の増加
- 交通業は、輸送人員が増えた一方、車両新造による減価償却費や人件費の増加で、営業利益が15.5%減りました
② 新宿再開発の費用
- 2027年3月期は、新宿再開発にともなう資産除去債務の計上や、ホテルの客室改装にともなう減価償却費の増加で、営業利益510億円(−2.5%)を見込んでいます
③ 有利子負債の増加
- 販売用不動産の取得などで総資産が増え、有利子負債も増えました
5. ライバルとの比較
首都圏の私鉄と比べます。3社とも日本基準・2026年3月期です。
| 京王電鉄 | 東急 | 京成電鉄 | |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 4,969億円(+9.7%) | 1兆862億円(+3.0%) | 3,324億円(+4.1%) |
| 営業利益 | 523億円(−3.4%) | 1,032億円(−0.3%) | 340億円(−5.6%) |
| 営業利益率 | 10.5% | 9.5% | 10.2%(計算値) |
| ROE | 10.0% | 10.0% | 9.0% |
| 自己資本比率 | 37.0% | 31.2% | 47.2% |
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
京王電鉄の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 鉄道の輸送人員・旅客運輸収入 | 6億576万人(+2.1%)・832億円 | 決算短信(交通業) |
| 不動産の営業利益 | 172億円 | 決算短信(セグメント別の概況) |
| 連結EBITDA | 869億円 | 決算短信(経営成績) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 営業収益5,040億円、営業利益510億円、当期純利益430億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年110円(分割前)、2027年3月期予想22円(分割後) | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美電車の会社だけど、不動産やホテルの比重も大きいのね。新宿の再開発でどれくらい費用が出るかを見ておきたいな
まとめ
- 京王電鉄は、交通・不動産・ホテルを中心に、建設設備・生活サービスも手がける私鉄
- 2026年3月期は営業収益4,969億円(+9.7%)で過去最高、営業利益は523億円(−3.4%)
- 営業利益は不動産・交通・ホテルでおよそ4分の3
- 減益の主な理由は、鉄道安全投資などの減価償却費と人件費の増加
- 2027年3月期は営業利益510億円の予想、2026年4月に1株→5株の分割
参考文献
- 京王電鉄. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/90080/140120260512526310.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 東急. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www2.jpx.co.jp/disc/90050/140120260507517486.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 京成電鉄. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月8日). https://www2.jpx.co.jp/disc/90090/140120260507518855.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。