奥村組の強みとは:土木・建築の建設会社で、不動産や再生可能エネルギーの投資開発事業も。2026年3月期は土木の採算改善で営業利益159億円(+63.7%)、為替予約評価益で経常利益253億円(+183.6%)
奥村組を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日、東証の適時開示)で分析しました。売上高3,072億円(+3.0%)、売上総利益387億円(+22.0%)、営業利益159億円(+63.7%、営業利益率5.2%)、連結子会社の石狩バイオエナジーの為替予約評価益で経常利益253億円(+183.6%)、前期の減損損失の反動で親会社株主に帰属する当期純利益184億円(+574.3%)、ROE9.8%、自己資本比率44.7%。セグメントは建築1,801億円(営業利益61億円、受注2,200億円・+19.7%)、土木1,152億円(営業利益101億円・+114.0%、受注1,323億円・−31.4%)、投資開発72億円(営業損失7億円)。石狩バイオエナジーは爆発事故後の設備改造工事を終え、2026年4月に商業運転を再開。年297円の配当(配当性向58.5%)、2027年3月期は売上高3,040億円・営業利益205億円(+28.7%)・年300円の予想。西松建設・安藤ハザマとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美奥村組の利益が何倍にもなったって本当?

プレ男決算短信だと、本業の土木の採算がよくなったうえに、子会社の為替予約の評価益や、前の年の減損損失の反動もあったんだって
企業分析の連載、304社目は奥村組です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の西松建設の強みとは・安藤ハザマの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、奥村組株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
土木事業と建築事業が柱の建設会社。不動産や再生可能エネルギーの「投資開発事業」ももつ
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,072億円 | +3.0% |
| 売上総利益 | 387億円 | +22.0% |
| 営業利益 | 159億円 | +63.7% |
| 営業利益率(決算短信の値) | 5.2% | 前期 3.3% |
| 経常利益 | 253億円 | +183.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 184億円 | +574.3% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 9.8% | 前期 1.5% |
| 自己資本比率 | 44.7% | 前期 45.1% |
| 配当 | 年297円(配当性向58.5%) | 前期 216円 |
- 経常利益には、連結子会社の石狩バイオエナジーの為替予約評価益が含まれます。当期純利益の大きな伸びは、前期の減損損失の反動です
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業損益 |
|---|---|---|---|
| 建築 | 売上高の減少で減益。国内で大型工事を受注 | 1,801億円(−2.9%) | 61億円(−8.3%) |
| 土木 | 追加工事の獲得や原価低減で採算が向上 | 1,152億円(+16.4%) | 101億円(+114.0%) |
| 投資開発 | 不動産の販売・賃貸、再生可能エネルギー | 72億円(−8.5%) | −7億円(前期 −21億円) |
| その他 | 建設資機材の製造・販売など | 46億円(−20.2%) | 5億円(+10.6%) |
| 受注工事高 | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 建築 | 2,200億円 | +19.7% |
| 土木 | 1,323億円 | −31.4% |
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 土木の採算改善
- 前期からの繰越工事で、追加工事の獲得や原価低減が進み、土木の営業利益は2倍以上になりました
② 建築の受注の伸び
- 国内で複数の大型工事を受注し、建築の受注工事高は+19.7%でした
③ 発電所の運転再開
- 石狩バイオエナジーは、爆発事故以降止めていた商業運転を、設備改造工事を終えて2026年4月に再開しました。会社は、投資開発事業の営業利益が黒字に転換すると見込んでいます
4. 弱み・リスク
① 一時的な要因
- 2026年3月期の経常利益・当期純利益には、為替予約評価益や前期の減損損失の反動が含まれます。2027年3月期の経常利益は−18.2%の予想です
② 土木の受注の減少
- 土木の受注工事高は−31.4%でした。会社は、前期の大型受注で繰越工事高が高水準だったため、施工余力を考えた結果としています
③ 投資開発事業
- 投資開発事業は、2026年3月期も営業損失でした
5. ライバルとの比較
建設会社と並べます。どれも2026年3月期・日本基準です。規模と事業の中身が違うので、おおまかな比較です。
| 奥村組 | 西松建設 | 安藤ハザマ | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,072億円(+3.0%) | 3,960億円(+8.0%) | 4,396億円(+3.4%) |
| 営業利益 | 159億円(+63.7%) | 280億円(+32.8%) | 336億円(−4.6%) |
| 営業利益率 | 5.2% | 7.1% | 7.6% |
| ROE | 9.8% | 13.1% | 15.7% |
- くわしくは西松建設の強みとは・安藤ハザマの強みとはへ
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
奥村組の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 土木・建築の営業利益 | 101億円・61億円 | 決算短信(セグメントごとの経営成績) |
| 受注工事高 | 建築2,200億円・土木1,323億円 | 決算短信(セグメントごとの経営成績) |
| 投資開発事業の営業損益 | −7億円 | 決算短信(セグメントごとの経営成績) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高3,040億円、営業利益205億円、当期純利益154億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年297円、2027年3月期予想300円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男利益が何倍にもなったときは、本業の営業利益と、一時的な要因を分けて見るのが大事なんだね
まとめ
- 奥村組は、土木・建築と投資開発の会社
- 2026年3月期は営業利益159億円(+63.7%)、土木の採算が改善
- 経常利益・当期純利益には為替予約評価益や減損損失の反動が含まれる
- 建築の受注は+19.7%、土木の受注は−31.4%
- 2027年3月期は営業利益205億円(+28.7%)・年300円の予想
参考文献
- 奥村組. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www2.jpx.co.jp/disc/18330/140120260514535339.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 西松建設. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www2.jpx.co.jp/disc/18200/140120260511522965.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 安藤・間. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月14日). https://www2.jpx.co.jp/disc/17190/140120260514531951.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。