有価証券報告書にサステナビリティ情報の基準:時価総額3兆円以上のプライム企業から2027年3月期にSSBJ基準の開示を義務づけ、翌年から第三者の保証も。温室効果ガスの排出量などが比べやすく(金融庁)
企業のサステナビリティ情報の開示・保証の制度を、金融庁の「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料」(2026年4月)でまとめました(法律は2026年7月15日成立)。一定のプライム市場上場企業に、サステナビリティ開示基準(SSBJ基準、2025年3月に開発)に沿った有価証券報告書の作成と、第三者による保証を義務づけます。適用は時価総額の大きい企業から順に、3兆円以上は2027年3月期、1兆円以上は2028年3月期、5千億円以上は2029年3月期(政令等で定める予定)。保証は開示の翌年から。ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標(温室効果ガス排出量など)を開示し、将来情報などにはセーフハーバー・ルールも。投資家にとっての見方も。

メル美会社の温室効果ガスの排出量って、どこで見られるの?

プレ男有価証券報告書に書かれているんだけど、これから大きな会社は、決まった基準で書くことになるんだって
今回は、企業のサステナビリティ情報の開示・保証の新しい制度です。金融庁の「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料」(2026年4月)で確認しました(2026年10月12日閲覧)。この法律は、2026年4月10日に国会に提出され、7月15日に成立しました。
この記事は制度の説明です。特定の株の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
サステナビリティ情報とは
- 気候変動や人的資本などにかかわる企業の情報で、金融庁は、投資家が中長期的な企業価値を評価するうえで重要な情報だとしています
- 有価証券報告書では、たとえば次のような項目があります
- ガバナンス
- 戦略
- リスク管理
- 指標と目標(例:温室効果ガスの排出量)
これまでの課題
- 日本では、2023年3月期から上場企業などにサステナビリティ情報の開示が義務づけられていますが、具体的な基準にもとづいていないため、会社どうしを比べにくい状態でした
- また、第三者による保証が義務づけられておらず、情報の信頼性を確保する必要がありました
- 国際的には2023年6月に国際サステナビリティ開示基準(ISSB基準)ができ、日本でも2025年3月にサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)ができました(ISSB基準と機能的に整合的)
新しい制度
① SSBJ基準での開示の義務づけ
一定の企業に、SSBJ基準に沿って有価証券報告書をつくることを義務づけます。プライム市場の上場企業のうち、時価総額の大きい企業から順に始めます(政令などで定める予定)。
| 時価総額 | 開示の義務づけの開始 |
|---|---|
| 3兆円以上 | 2027年3月期 |
| 3兆円未満〜1兆円以上 | 2028年3月期 |
| 1兆円未満〜5千億円以上 | 2029年3月期 |
- 時価総額は、5事業年度末の平均値を使う予定です
- 5千億円未満の企業への適用は、今後検討するとしています
- 適用開始から2年間は、あとから訂正報告書で追加できる二段階開示を認める予定です
② 第三者による保証
- 開示基準の適用を始めた翌年から、第三者による保証を義務づけます。保証の範囲は、はじめの2年間は限定されます
- 保証をする業者は登録制で、監査法人でも、それ以外でも、要件を満たせば登録できます
③ セーフハーバー・ルール
- 業績見通しなどの将来情報や、他社の排出量(Scope3)など自社で管理できない情報は不確実性が高いため、社内の検討手続などを開示していれば、一定の場合に民事責任を負わないしくみです。故意の虚偽記載への刑事責任は対象外です

メル美同じ基準で書くから、会社どうしの排出量を比べやすくなるのね
投資家にとっての見方
- 大きな会社から順に、同じ基準のサステナビリティ情報が有価証券報告書に載るようになります(→決算短信・有価証券報告書の読み方)
- 「ESG」をうたう投資信託を選ぶときにも、会社の開示を確かめる手がかりになります(→「ESG投信」の見分け方)
- 対象はまずプライム市場の大きな会社です(→東証の市場区分(プライム・スタンダード・グロース)とは)
まとめ
- 一定のプライム上場企業に、SSBJ基準でのサステナビリティ情報の開示を義務づけ
- 時価総額3兆円以上は2027年3月期から、順に1兆円以上・5千億円以上へ
- 開示の翌年から第三者の保証、保証業者は登録制
- 将来情報などにはセーフハーバー・ルール
- 法律は2026年7月15日に成立、細かい点は政令・内閣府令で決まる
参考文献
- 金融庁. 金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料(2026年4月). https://www.fsa.go.jp/common/diet/221/02/03.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 金融庁. 第221回国会における金融庁関連法律案. https://www.fsa.go.jp/common/diet/221/index.html (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。