宝ホールディングスの強みとは:焼酎・みりんの「宝酒造」より、海外の日本食材卸と酒類の「宝酒造インターナショナル」が大きく稼ぐ。2026年3月期は売上高3,943億円(+8.7%)、タカラバイオの赤字で営業利益171億円(−17.1%)
宝ホールディングスを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で分析しました。売上高3,943億円(+8.7%)、営業利益171億円(−17.1%)、経常利益169億円(−24.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益117億円(−27.8%)、ROE4.6%、自己資本比率50.5%。セグメントの営業利益は、宝酒造インターナショナルグループ142億円(+21.8%、海外日本食材卸1,959億円・海外酒類285億円が増収)、宝酒造57億円(+13.7%、焼酎ハイボールなど)、タカラバイオグループは47億円の損失(研究用試薬などの全カテゴリーが減収、買収費用)、その他34億円。売上高の約56%が宝酒造インターナショナルグループ。タカラバイオは構造改革で赤字の縮小をめざす。年31円の配当(配当性向51.2%)、2027年3月期は売上高4,200億円・営業利益188億円・年31円の予想。キッコーマン・サッポロHDとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美宝って、焼酎やみりんの会社だよね

プレ男決算短信だと、いちばん稼いでいるのは、海外の日本食レストランなどに食材を売る事業なんだって。売上の半分以上みたい
企業分析の連載、242社目は宝ホールディングスです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。比較には、この連載のキッコーマンの強みとは・サッポロホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、宝ホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。お酒をすすめるものでもありません。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
1. ひとことで言うと
国内の酒類・調味料の「宝酒造」、海外の酒類と日本食材の卸の「宝酒造インターナショナルグループ」、研究用試薬などのバイオの「タカラバイオグループ」をもつ会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,943億円 | +8.7% |
| 営業利益 | 171億円 | −17.1% |
| 営業利益率 | 4.3% | 前期 5.7% |
| 経常利益 | 169億円 | −24.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 117億円 | −27.8% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 4.6% | 前期 6.8% |
| 自己資本比率 | 50.5% | 前期 51.3% |
| 配当 | 年31円(配当性向51.2%) | 前期 31円 |
- 営業利益は、タカラバイオグループが赤字になったことで減りました
- 当期純利益は、未稼働の受託製造の設備などの減損損失や、繰延税金資産の一部取り崩しで減りました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 宝酒造インターナショナルグループ | 海外日本食材卸1,959億円(+18.9%)、海外酒類285億円(+21.1%、バーボン「Blanton’s」が好調) | 2,219億円(+19.4%) | 142億円(+21.8%) |
| 宝酒造 | 焼酎ハイボールなどのソフトアルコール飲料・清酒・調味料は増収、焼酎は減収 | 1,191億円(−0.5%) | 57億円(+13.7%) |
| タカラバイオグループ | 試薬・機器・受託・遺伝子医療のすべてが減収、買収費用とのれん償却 | 403億円(−10.5%) | −47億円(損失) |
| その他 | ワイン輸入販売、貨物運送、不動産賃貸など | 322億円(+4.3%) | 34億円(+24.0%) |
- 売上高の約56%が宝酒造インターナショナルグループです(計算値)
- セグメントの営業利益の合計186億円(タカラバイオの損失を含む)のうち、約76%が宝酒造インターナショナルグループです(計算値)
| 宝酒造の品種 | 売上高 | 前期比 |
|---|---|---|
| ソフトアルコール飲料 | 440億円 | +4.7% |
| 焼酎 | 296億円 | −6.8% |
| 清酒 | 109億円 | +3.4% |
| 本みりん | 99億円 | +1.3% |
| その他調味料 | 95億円 | +2.6% |
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 海外の日本食材卸
- 海外の日本食レストランや小売店に日本食材を売る事業が、米国・欧州を中心に倉庫・物流の拠点を広げ、増収でした。会社は、海外での日本食の広がりを背景に、2027年3月期も増益を見込んでいます
② 国内の重点ブランド
- 宝酒造は、重点ブランドの売上の割合を上げ、広告宣伝費・販売促進費をおさえて、営業利益が+13.7%でした
③ 財務
- 自己資本比率は50.5%です
4. 弱み・リスク
① タカラバイオの赤字
- タカラバイオグループは、すべてのカテゴリーで減収となり、47億円の営業損失でした。会社は、遺伝子治療の自社臨床開発プロジェクトの中止、細胞加工受託からの撤退、固定費の削減などの構造改革で赤字の縮小をめざすとしています
② 国内の焼酎
- 焼酎は、甲類焼酎の大容量商品などが減り、−6.8%でした
③ コストと海外酒類
- 2027年3月期は、宝酒造で容器包装や原料米のコストが上がり、海外酒類事業は減益の見通しです
5. ライバルとの比較
食品・酒類の会社と並べます。会計基準(キッコーマン・サッポロはIFRS)と利益の指標・決算期が違うので、おおまかな比較です。
| 宝HD(2026年3月期) | キッコーマン(2026年3月期) | サッポロHD(2025年12月期) | |
|---|---|---|---|
| 売上高(売上収益) | 3,943億円(+8.7%) | 7,455億円(+5.2%) | 5,069億円(−1.1%) |
| 利益 | 171億円(営業) | 795億円(事業利益) | 250億円(事業利益) |
| 利益率 | 4.3% | 10.7% | 4.9% |
| ROE | 4.6% | 11.5% | 9.4% |
| 自己資本(親会社所有者帰属持分)比率 | 50.5% | 74.6% | 33.5% |
- 海外で日本の調味料を売る会社はキッコーマンの強みとは、ビールの会社はサッポロホールディングスの強みとはへ
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
宝ホールディングスの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 海外日本食材卸の売上高 | 1,959億円 | 決算短信(セグメント別の売上) |
| 宝酒造インターナショナルの営業利益 | 142億円 | 決算短信(セグメントの業績) |
| タカラバイオの営業損益 | −47億円 | 決算短信(セグメントの業績) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高4,200億円、営業利益188億円、当期純利益119億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年31円、2027年3月期予想31円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美焼酎の会社だと思っていたけど、いまは海外の日本食材が中心なのね。バイオの立て直しも見ておきたいな
まとめ
- 宝ホールディングスは、国内の酒類・調味料、海外の日本食材卸と酒類、バイオの会社
- 2026年3月期は売上高3,943億円(+8.7%)、営業利益171億円(−17.1%)
- 稼ぎ頭は宝酒造インターナショナルグループ(営業利益142億円)
- タカラバイオは47億円の損失、構造改革で赤字縮小をめざす
- 2027年3月期は営業利益188億円・年31円の予想
参考文献
- 宝ホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://ir.takara.co.jp/ja/Library/IRMaterialsArchive/BriefAnnouncement/main/011118/teaserItems1/00/linkList/00/link/2603Q4_Financial%20Statements.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- キッコーマン. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日). https://www.kikkoman.com/jp/ir/assets/tan202603.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- サッポロホールディングス. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/25010/140120260212558122.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。