キッコーマンの強みとは:しょうゆを世界で売り、事業利益の8割超を海外で稼ぐ会社。2026年3月期は売上収益7,455億円(+5.2%)・事業利益795億円(+2.9%)。海外のしょうゆ製造・販売が409億円、東洋食品の卸売が307億円。米国第3工場は2026年秋に出荷開始予定
キッコーマンを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日)で分析しました。売上収益7,455億円(+5.2%)、会社が重視する事業利益795億円(+2.9%、事業利益率10.7%)、営業利益759億円(+3.0%)、親会社の所有者に帰属する当期利益616億円(−0.1%)、ROE11.5%、親会社所有者帰属持分比率74.6%。セグメントの事業利益は、海外 食料品製造・販売409億円(しょうゆ・デルモンテ、北米・欧州・アジアで売上増)、海外 食料品卸売307億円(東洋食品の仕入れ・販売)、国内 食料品製造・販売99億円(+15.9%、しょうゆ・つゆ・豆乳飲料など)、国内 その他16億円。事業利益の約86%が海外。北米では2026年秋に米国第3工場が出荷を開始する予定。年25円の配当、2027年3月期は売上収益7,991億円・事業利益823億円の予想。味の素との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男キッコーマンって、日本のしょうゆの会社だよね。日本で稼いでいるんでしょ?

メル美決算短信を見ると、利益の8割以上が海外なんだって。アメリカで3つ目の工場も動き出す予定よ
企業分析の連載、120社目はキッコーマンです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日)で確認しました。比較には、この連載の味の素の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、キッコーマン株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
しょうゆ・つゆ・豆乳飲料などを国内外でつくって売り、海外では東洋食品の卸売も手がける会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 7,455億円 | +5.2% |
| 事業利益(会社が重視する指標) | 795億円 | +2.9% |
| 事業利益率 | 10.7% | 前期 10.9% |
| 営業利益 | 759億円 | +3.0% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 616億円 | −0.1% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 11.5% | 前期 12.3% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 74.6% | 前期 74.8% |
| 配当 | 年25円(配当性向37.9%) | 前期 25円(特別配当2円を含む) |
- 事業利益は、売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を引いた、会社独自の段階利益です
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 売上収益 | 事業利益 |
|---|---|---|---|
| 海外 食料品製造・販売 | しょうゆ、デルモンテ(アジア・オセアニア)など | 1,735億円(+3.8%) | 409億円(+2.7%) |
| 海外 食料品卸売 | 東洋食品などの仕入れ・販売 | 4,329億円(+6.2%) | 307億円(+0.8%) |
| 国内 食料品製造・販売 | しょうゆ、つゆ・たれ、デルモンテ調味料・飲料、豆乳飲料など | 1,601億円(+3.8%) | 99億円(+15.9%) |
| 国内 その他 | 臨床診断用酵素・衛生検査薬、ヒアルロン酸、不動産賃貸、運送など | 218億円(+0.9%) | 16億円(+38.8%) |
- 4つのセグメントの事業利益の合計831億円のうち、海外が約86%です(計算値)
- 売上収益がいちばん大きいのは海外の卸売ですが、事業利益率がいちばん高いのは海外のしょうゆなどの製造・販売(約24%。計算値)です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 世界でのしょうゆの販売
- 北米では、しょうゆと、しょうゆをベースにした調味料の拡充に力を入れ、売上を伸ばしました。欧州はドイツ・フランス・イタリア・オランダなど、アジア・オセアニアはインドネシア・フィリピン・中国などで伸びました
② 供給体制の拡大
- 北米では、2026年秋から米国第3工場が出荷を開始する予定です。会社は「キッコーマンしょうゆをグローバル・スタンダードの調味料にする」という将来ビジョンを掲げています
③ 厚い財務
- 親会社所有者帰属持分比率は74.6%です
4. 弱み・リスク
① 国内のしょうゆ
- 国内では、家庭用の「いつでも新鮮」シリーズは前年を上回った一方、ペットボトル品などは前年を下回りました
② 為替
- 利益の約86%が海外のため、為替の動きで円に換算した利益が変わります
③ 当期利益の横ばい
- 2027年3月期は、事業利益823億円(+3.5%)の一方、当期利益は613億円(−0.5%)の予想です
5. ライバルとの比較
調味料・食品の大手、味の素と比べます。どちらもIFRS・2026年3月期です。
| キッコーマン | 味の素 | |
|---|---|---|
| 売上収益 | 7,455億円(+5.2%) | 1兆5,837億円(+3.5%) |
| 事業利益 | 795億円(+2.9%) | 1,811億円(+13.7%) |
| 事業利益率 | 10.7% | 11.4% |
- 規模は味の素が約2倍で、利益率は近い水準です。両社の「事業利益」の定義が同じとは限らないので、おおまかな比較です(→味の素の強みとは)。食品・飲料の会社はキリンホールディングスの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
キッコーマンの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 海外 食料品製造・販売の事業利益 | 409億円 | 決算短信(セグメント) |
| 海外 食料品卸売の事業利益 | 307億円 | 決算短信(セグメント) |
| 米国第3工場の稼働 | 2026年秋に出荷開始予定 | 決算短信(今後の見通し) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益7,991億円、事業利益823億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年25円、2027年3月期予想25円 | 決算短信 |
- 海外で稼ぐ会社の見方は外国株と為替も参考になります。指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男日本のしょうゆの会社だと思っていたら、利益の8割以上が海外なんだね。為替と、アメリカの新しい工場の動きを見ておこう
即席麺やマヨネーズの会社は東洋水産の強みとはとキユーピーの強みとはも参考にしてください。
海外で日本食材を売る会社は宝ホールディングスの強みとはも参考にしてください。
トマト加工の会社はカゴメの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- キッコーマンは、しょうゆを世界で売る食品の会社
- 2026年3月期は売上収益7,455億円(+5.2%)、事業利益795億円(+2.9%)
- 事業利益の約86%が海外(製造・販売409億円、卸売307億円)
- 米国第3工場が2026年秋に出荷を開始する予定
- 親会社所有者帰属持分比率74.6%の厚い財務
参考文献
- キッコーマン. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日). https://www.kikkoman.com/jp/ir/assets/tan202603.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 味の素. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月7日). https://news.ajinomoto.co.jp/2026/05/2026_05_07_03.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。