東洋水産の強みとは:米国・メキシコの即席麺がセグメント利益の約7割を稼ぐ会社。国内の「赤いきつね」「緑のたぬき」も。2026年3月期は営業利益858億円(+12.1%)、自己資本比率82.6%
東洋水産を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日、東証の適時開示)で分析しました。売上高5,366億円(+4.8%)、営業利益858億円(+12.1%、営業利益率16.0%)、経常利益941億円(+10.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益702億円(+9.9%)、ROE13.9%、自己資本比率82.6%。セグメント利益は、海外即席麺636億円(+14.6%、米国の2025年7月の価格改定、メキシコはカップ麺・袋麺とも好調)、国内即席麺105億円(+6.6%、赤いきつね・緑のたぬき、マルちゃん正麺)、低温食品81億円、冷蔵28億円(+24.1%)、水産食品15億円(+71.6%)、加工食品は4億円の損失。海外即席麺が売上高の約46%。年220円の配当(前期200円)、2027年3月期は売上高5,600億円・営業利益820億円(−4.4%)・年220円の予想。味の素・キッコーマンとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美「赤いきつね」の東洋水産って、日本で稼いでいる会社なの?

プレ男決算短信を見ると、利益の約7割は米国やメキシコのカップ麺・袋麺の「海外即席麺」なんだって
企業分析の連載、194社目は東洋水産です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の味の素の強みとは・キッコーマンの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、東洋水産株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の商品をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
米国・メキシコなどの海外と国内で即席麺をつくって売り、生麺・冷凍食品(低温食品)、パックごはん(加工食品)、水産食品、冷蔵倉庫も手がける会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5,366億円 | +4.8% |
| 営業利益 | 858億円 | +12.1% |
| 営業利益率 | 16.0% | 前期 14.9% |
| 経常利益 | 941億円 | +10.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 702億円 | +9.9% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 13.9% | 前期 13.5% |
| 自己資本比率 | 82.6% | 前期 80.9% |
| 配当 | 年220円(配当性向30.8%) | 前期 200円 |
- 前期の数字は、会計方針の変更による遡及適用後の数字です
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|
| 海外即席麺 | 米国は2025年7月に価格改定、メキシコは価格改定後もカップ麺・袋麺とも好調 | 2,482億円(+6.1%) | 636億円(+14.6%) |
| 国内即席麺 | 「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」など和風カップ麺、「マルちゃん正麺」 | 1,044億円(+1.3%) | 105億円(+6.6%) |
| 低温食品 | 生麺「マルちゃん焼そば3人前」、冷凍麺 | 615億円(+2.9%) | 81億円(+0.6%) |
| 冷蔵 | 在庫水準が高く、入出庫・運送の取扱量が増加 | 263億円(+3.8%) | 28億円(+24.1%) |
| 水産食品 | 外食向けの販売数量が伸びた | 327億円(+7.9%) | 15億円(+71.6%) |
| 加工食品 | パックごはん「あったかごはん」、原材料費の増加 | 234億円(+5.5%) | −4億円 |
- セグメント利益の合計870億円のうち、海外即席麺が約73%です。売上高でも約46%を占めます(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 米国・メキシコの即席麺
- 海外即席麺は、包材の紙カップ化や輸入原材料の高騰による原材料費の増加を価格改定などでカバーし、セグメント利益が+14.6%でした
② 国内の定番ブランド
- 国内即席麺は、「赤いきつねうどん」や発売45周年の「緑のたぬき天そば」など和風カップ麺シリーズ、2025年3月に定番商品化した「マルちゃん焼そば」が好調でした
③ 厚い財務
- 自己資本比率は82.6%です
4. 弱み・リスク
① 海外への依存と為替
- 利益の約7割が海外即席麺なので、米国・メキシコの消費や為替の影響を大きく受けます(→外国株と為替)。会社は、米国では価格改定後も節約志向が続いているとしています
② 原材料費
- 輸入原材料の高騰や、加工食品での原材料費・減価償却費の増加がありました
③ 2027年3月期は減益予想
- 2027年3月期は、売上高5,600億円(+4.4%)、営業利益820億円(−4.4%)の予想です
5. ライバルとの比較
海外でも稼ぐ食品の会社と比べます。会計基準(味の素・キッコーマンはIFRS)と利益の指標が違うので、おおまかな比較です。3社とも2026年3月期です。
| 東洋水産 | 味の素 | キッコーマン | |
|---|---|---|---|
| 売上(売上収益) | 5,366億円(+4.8%) | 1兆5,837億円(+3.5%) | 7,455億円(+5.2%) |
| 利益(営業/事業) | 858億円(営業) | 1,811億円(事業) | 795億円(事業) |
| 利益率 | 16.0% | 11.4% | 10.7% |
| ROE | 13.9% | 17.7% | 11.5% |
- 東洋水産は、利益率が3社でいちばん高い水準です(→味の素の強みとは、キッコーマンの強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
東洋水産の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 海外即席麺のセグメント利益 | 636億円 | 決算短信(セグメント別の経営成績) |
| 国内即席麺のセグメント利益 | 105億円 | 決算短信(セグメント別の経営成績) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高5,600億円、営業利益820億円、当期純利益656億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年220円、2027年3月期予想220円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美日本のカップ麺の会社だと思っていたけど、利益の多くは海外なのね。米国とメキシコの売れ方を見ておきたいな
スナック菓子の会社はカルビーの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 東洋水産は、海外と国内の即席麺を中心とした食品の会社
- 2026年3月期は営業利益858億円(+12.1%)、営業利益率16.0%
- セグメント利益の約73%が海外即席麺(米国・メキシコ)
- 自己資本比率は82.6%
- 2027年3月期は営業利益820億円(−4.4%)・年220円の予想
参考文献
- 東洋水産. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日). https://www2.jpx.co.jp/disc/28750/140120260515536048.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 味の素. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月7日). https://news.ajinomoto.co.jp/2026/05/2026_05_07_03.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- キッコーマン. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日). https://www.kikkoman.com/jp/ir/assets/tan202603.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。