味の素の強みとは:「味の素」などの調味料・食品が売上の6割。電子材料やアミノ酸を含む「ヘルスケア等」が利益を伸ばす。2026年3月期は売上高1兆5,837億円、事業利益1,811億円(+13.7%)。本社ビルの譲渡益で純利益は1,346億円
味の素を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月7日)で分析しました。売上高1兆5,837億円(+3.5%)、会社が重視する事業利益1,811億円(+13.7%、事業利益率11.4%)、営業利益1,994億円(+75.0%)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,346億円(+91.6%)、ROE17.7%。営業利益と純利益が大きく増えたのは、本社ビルの土地・建物を譲渡した固定資産売却益によるものです。セグメントは調味料・食品(売上高9,369億円、事業利益1,430億円)、冷凍食品(2,903億円、84億円で北米の減益により−35%)、ヘルスケア等(3,415億円、662億円で+45.1%。電子材料の販売好調、アミノ酸・バイオ医薬品の受託製造の増益)。2025年4月1日に1株→2株の株式分割。年48円の配当、2027年3月期は事業利益1,970億円・年50円の予想。キッコーマンとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美味の素って、台所にあるうま味調味料の会社だよね

プレ男え、半導体の材料もつくってるって聞いたよ! 食品の会社なのに?
企業分析の連載、43社目は味の素です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月7日)で確認しました。比較にはキッコーマンの2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日)を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、味の素株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。食品の健康効果を説明する記事でもありません。
1. ひとことで言うと
調味料・食品を世界で売り、冷凍食品、アミノ酸、半導体向けの電子材料なども手がける会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆5,837億円 | +3.5% |
| 事業利益(会社が重視する指標) | 1,811億円 | +13.7% |
| 事業利益率 | 11.4% | 前期 10.4% |
| 営業利益 | 1,994億円 | +75.0% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,346億円 | +91.6% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 17.7% | 前期 9.0% |
| 配当 | 年48円(配当性向34.7%) | 前期 80円(分割前) |
- 事業利益は、売上高から売上原価・販売費・研究開発費・一般管理費を引き、持分法による損益を足したもので、「その他の営業収益・費用」を含みません
- 営業利益と当期利益が大きく増えたのは、本社ビルの土地・建物を譲渡して、固定資産売却益を計上したためです(毎年あるものではありません)
- 2025年4月1日に1株→2株の株式分割をしたので、配当の金額は前期と単純に比べられません(→株式分割と投資単位)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載から) | 売上高 | 事業利益 |
|---|---|---|---|
| 調味料・食品 | 調味料、栄養・加工食品、加工用うま味調味料など | 9,369億円(+4.6%) | 1,430億円(+6.6%) |
| ヘルスケア等 | アミノ酸、バイオ医薬品の受託製造(CDMO)、電子材料など | 3,415億円(+4.0%) | 662億円(+45.1%) |
| 冷凍食品 | 日本・北米などの冷凍食品 | 2,903億円(+0.3%) | 84億円(−35.0%) |
- 売上の約6割が調味料・食品です
- 2026年3月期から、全社共通費を各セグメントに配分しない方法に変えたので、前期の数字も組みかえて比べています
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 世界で売れる調味料
- 調味料は、日本・海外とも販売が増えて増収増益でした
② 電子材料
- ヘルスケア等の中の「ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)」は、電子材料の販売が好調で大幅な増収・増益でした
③ アミノ酸とバイオ医薬品の受託製造
- 医薬用・食品用のアミノ酸、バイオファーマサービス(CDMO)とも増益でした
4. 弱み・リスク
① 冷凍食品の減益
- 冷凍食品は、主に北米の減益で、事業利益が35%減りました
② 原材料コスト
- 栄養・加工食品の海外は、増収でも原材料コストの増加などで減益でした。加工用うま味調味料は販売が減っています
③ 一度きりの利益
- 2026年3月期の純利益は、本社ビルの譲渡益で大きくふくらんでいます。2027年3月期の会社予想は、純利益1,200億円(−10.9%)です
5. ライバルとの比較
しょうゆなどの調味料の大手、キッコーマンと比べます。どちらもIFRS・2026年3月期です。
| 味の素 | キッコーマン | |
|---|---|---|
| 売上 | 1兆5,837億円(+3.5%) | 7,455億円(+5.2%) |
| 事業利益 | 1,811億円(+13.7%) | 795億円(+2.9%) |
| 事業利益率 | 11.4% | 約10.7%(計算値) |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,346億円(本社ビルの譲渡益を含む) | 616億円(−0.1%) |
- 規模は味の素が約2倍で、電子材料やアミノ酸を持つのが大きな違いです
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
味の素の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 事業利益 | 1,811億円 | 決算短信のサマリー |
| ヘルスケア等の事業利益 | 662億円 | 決算短信(セグメント) |
| 冷凍食品の事業利益 | 84億円 | 決算短信 |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高1兆7,230億円、事業利益1,970億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年48円、2027年3月期予想50円 | 決算短信 |
- 純利益は一度きりの譲渡益を含むので、事業利益で比べるのがポイントです
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ。日用品の会社は花王の強みとは

プレ男調味料が中心だけど、伸びているのは電子材料やアミノ酸なんだ。純利益は本社ビルを売った分で増えてるから、事業利益で見るんだね
ビール・飲料・医薬の会社はキリンホールディングスの強みとはも参考にしてください。
しょうゆを世界で売る会社はキッコーマンの強みとはも参考にしてください。
食肉とハム・ソーセージの会社は日本ハムの強みとはも参考にしてください。
小麦粉の会社は日清製粉グループ本社の強みとはも参考にしてください。
カレーのルウなどの食品の会社はハウス食品グループ本社の強みとはも参考にしてください。
食用油やチョコレート用油脂の会社はJ-オイルミルズの強みとは・不二製油の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 味の素は、調味料・食品を中心に、冷凍食品とヘルスケア等(アミノ酸・電子材料など)の会社
- 2026年3月期は売上高1兆5,837億円、事業利益1,811億円(+13.7%)
- 伸びたのはヘルスケア等(+45.1%)、減ったのは冷凍食品(北米)
- 純利益1,346億円は本社ビルの譲渡益を含む
- 2025年4月に1株→2株の株式分割
参考文献
- 味の素. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月7日). https://news.ajinomoto.co.jp/2026/05/2026_05_07_03.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- キッコーマン. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日). https://www.kikkoman.com/jp/ir/assets/tan202603.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。