東急不動産ホールディングスの強みとは:渋谷のオフィス・商業施設とマンションの都市開発、仲介の不動産流通、管理・ホテル、再生可能エネルギー・物流施設の4本柱。2026年3月期は営業利益1,669億円(+18.6%)、5期連続の増収増益で過去最高
東急不動産ホールディングスを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日、東証の適時開示)で分析しました。売上高1兆2,460億円(+8.3%)、営業利益1,669億円(+18.6%、営業利益率13.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益967億円(+24.7%)、ROE11.2%、自己資本比率26.3%。5期連続の増収増益で、売上高・各利益はホールディングス体制への移行前も含めて過去最高。セグメントの営業利益は、都市開発752億円(+6.6%、広域渋谷圏の賃貸オフィス、空室率0.7%)、不動産流通644億円(+26.7%、売買仲介)、管理運営272億円(+8.6%、管理・ホテル)、戦略投資132億円(+156.9%、物流施設などの投資家向け売却、再生可能エネルギーの総定格容量2,693MW)。年48円の配当、2027年3月期は売上高1兆4,000億円・営業利益1,900億円・年50円の予想。野村不動産ホールディングス・三井不動産との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男東急不動産って、渋谷のビルの会社?

メル美決算短信を見ると、渋谷エリアのオフィスのほかに、不動産の仲介や管理、再生可能エネルギーの発電所まで手がけているんだって
企業分析の連載、145社目は東急不動産ホールディングスです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の野村不動産ホールディングスの強みとは・三井不動産の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、東急不動産ホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の物件をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
オフィスビル・商業施設の開発・賃貸やマンション分譲(都市開発)、再生可能エネルギー発電施設・物流施設やREITの運用(戦略投資)、マンション・ビルの管理やホテル(管理運営)、不動産の売買仲介(不動産流通)の4つの事業をもつ会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆2,460億円 | +8.3% |
| 営業利益 | 1,669億円 | +18.6% |
| 営業利益率 | 13.4% | 前期 12.2% |
| 経常利益 | 1,478億円 | +14.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 967億円 | +24.7% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 11.2% | 前期 9.9% |
| 自己資本比率 | 26.3% | 前期 25.3% |
| 配当 | 年48円(配当性向35.4%) | 前期 36.5円 |
- 堅調な不動産売買市場を背景とした投資家向け売却や仲介事業の好調、広域渋谷圏を中心としたオフィス・商業施設の稼働の良化で、5期連続の増収増益となりました。売上高と各利益は、ホールディングス体制への移行前も含めて過去最高です
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 都市開発 | 広域渋谷圏の賃貸オフィスの稼働良化、住宅の投資家向け売却 | 3,999億円(+14.6%) | 752億円(+6.6%) |
| 不動産流通 | 売買仲介の取扱件数・取扱高の増加 | 3,647億円(+5.6%) | 644億円(+26.7%) |
| 管理運営 | マンション・ビルの管理、インバウンド需要でホテルが好調 | 3,644億円(−0.4%) | 272億円(+8.6%) |
| 戦略投資 | 物流施設などの投資家向け売却、再生可能エネルギー、米国施設 | 1,466億円(+32.3%) | 132億円(+156.9%) |
- 4つのセグメントの営業利益の合計1,800億円のうち、都市開発が約42%、不動産流通が約36%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 渋谷エリアのオフィス
- 賃貸オフィスは、会社が数多く保有する渋谷エリアを中心に好調で、賃貸オフィス・賃貸商業施設の期末の空室率は0.7%でした
② 仲介などの不動産流通
- 不動産流通は、堅調な不動産流通市場で売買仲介の取扱件数・取扱高が増え、営業利益+26.7%でした
③ 再生可能エネルギー
- 再生可能エネルギー事業は、稼働施設が計画どおり増え、全施設の稼働後の総定格容量(持分換算前)は2,693MWの規模になるとしています
4. 弱み・リスク
① 不動産売買市場への依存
- 増益には、堅調な不動産売買市場を背景とした投資家向け売却や仲介の好調が寄与しました。不動産市場の動きで利益が変わります
② 低い自己資本比率
- 自己資本比率は26.3%です
③ 分譲マンションの戸数
- 分譲マンションの計上戸数は1,006戸→899戸に減りました(契約戸数は1,584戸に増加)
5. ライバルとの比較
不動産大手と比べます。3社とも日本基準・2026年3月期です。
| 東急不動産HD | 野村不動産HD | 三井不動産 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆2,460億円(+8.3%) | 9,425億円(+24.4%) | 2兆7,097億円(+3.2%) |
| 営業利益 | 1,669億円(+18.6%) | 1,382億円(+16.2%) | 3,978億円(+6.7%) |
| ROE | 11.2% | 10.7% | 8.7% |
| 自己資本比率 | 26.3% | 28.5% | 32.4% |
- ROEは東急不動産HDがいちばん高く、自己資本比率は三井不動産が高い水準です(→野村不動産ホールディングスの強みとは、三井不動産の強みとは)。REITのしくみはJ-REIT(上場不動産投資信託)のしくみも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
東急不動産HDの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 賃貸オフィス・商業施設の空室率 | 0.7% | 決算短信(都市開発事業) |
| 不動産流通の営業利益 | 644億円 | 決算短信(セグメント別業績) |
| 再生可能エネルギーの総定格容量 | 2,693MW(全施設稼働後) | 決算短信(戦略投資事業) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高1兆4,000億円、営業利益1,900億円、当期純利益1,000億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年48円、2027年3月期予想50円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美渋谷のオフィスと仲介の両方で稼いでいるのね。空室率と、投資家向けの売却がどれくらい続くかを見ておきたいな
まとめ
- 東急不動産HDは、都市開発・戦略投資・管理運営・不動産流通の4本柱
- 2026年3月期は営業利益1,669億円(+18.6%)、5期連続の増収増益で過去最高
- 営業利益の約42%が都市開発、約36%が不動産流通
- 渋谷エリアを中心に、空室率は0.7%
- 2027年3月期は営業利益1,900億円・年50円の予想
参考文献
- 東急不動産ホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日). https://www2.jpx.co.jp/disc/32890/140120260511521611.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 野村不動産ホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月24日). https://www.nomura-re-hd.co.jp/ir/pdf/renketsu_20260424.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 三井不動産. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/ir/presentation/pdf/tanshin260513.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。