
メル美お寺の鐘って、むかしは鏡を溶かしてつくることもあったんだって。

プレ男え、鏡で鐘?その鏡にまつわる怪談があるの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、小泉八雲『怪談(Kwaidan)』(1904年)の「鏡と鐘(OF A MIRROR AND A BELL)」です。英語の原文をProject Gutenbergで読みました。本文中の「」の言葉は、英語の原文から Claude が訳したものです。
どんな話?
| 題名 | 鏡と鐘(OF A MIRROR AND A BELL) |
| 作者 | 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン) |
| 収録 | 『怪談(Kwaidan)』1904年 |
| 舞台 | 「800年前」の遠江の国(注:いまの静岡県の一部)、無間山(英語では Mugenyama)のお寺 |
母の形見の鏡
- 無間山のお寺の僧たちは、大きな鐘をつくるため、村の女の人たちに古い銅の鏡を出してもらいました
- 八雲は、「いまでも、そうして集めた古い鏡が山になっているお寺がある。いちばん多かったのは九州・博多の浄土宗のお寺で、高さ33フィート(約10m)の阿弥陀像をつくるためのものだった」と書きそえています
- ある若い農家の妻も、鏡を出しました。でもあとで、とても後悔します。その鏡は、母のもの、そのまた母のもの、さらにその母のもので、たくさんの幸せな笑顔をうつしてきたのです
- 鏡の裏には松竹梅の浮き彫り。赤ちゃんのころ、母に見せてもらってよろこんだ模様でした。お寺に行くたび、柵の向こうに積まれた何百の鏡の中に、自分の鏡が見えます。「鏡は女の魂」ということわざも思い出し、こわくなりました
溶けない鏡
- 鏡がすべて鋳物師のもとに送られると、1枚だけ、どうしても溶けない鏡がありました
- 八雲は、「鏡を出した女の人が、心からさしだしていなかったので、その魂が鏡にとどまり、炉の中でも鏡をかたく冷たくしていたのだ」と書いています
- それがだれの鏡か、すぐにみんなに知られてしまいました。はずかしさにたえられなくなった妻は、書きおきを残して、自ら命を絶ちます
- 書きおきには、こうありました。「私が死ねば、鏡は溶けて、鐘もつくれるでしょう。でも、その鐘を鳴らしてこわした人には、私の霊が大金をあたえます」

メル美大切な形見を手放した後悔が、こんなことに…。
「無間の鐘」を鳴らしつづける人々
- 鐘ができてお寺につるされると、人々は大金ほしさに大勢でおしかけ、力いっぱい鐘を鳴らします。でも、よい鐘で、こわれませんでした
- 人々は昼も夜も鳴らしつづけ、僧たちの抗議も聞きません。たえられなくなった僧たちは、鐘を山から沼へころがし落としてしまいました。深い沼は鐘をのみこみ、残ったのは「無間の鐘」という伝説だけです
「なぞらえる」:手水鉢をたたいた梅ヶ枝
- 八雲は、日本の古い言葉「なぞらえる」を説明します。辞書では「まねる」「くらべる」「たとえる」ですが、ふかい意味は、「ある物や行いを、想像の中で別の物や行いの身代わりにして、ふしぎな結果を起こすこと」
- たとえば、寺を建てるお金がなくても、仏さまの前に小石を1つおくと、寺を建てるのと同じ気持ちなら、ほぼ同じ功徳がある。何千巻ものお経が読めなくても、お経をおさめた回る書庫を心をこめて回せば、読んだのと同じ功徳がある
- 鐘が沈んでからは、人々は鐘の身代わりをたたいてこわすようになりました。そのひとりが梅ヶ枝。平家の武士梶原景季(英語では Kajiwara Kagesue)と旅をしていてお金にこまったとき、銅の手水鉢を鐘になぞらえてたたいてこわし、「金300両!」と叫ぶと、宿の客が本当に300両をくれた、といいます
- この話から歌もつくられました。「梅ヶ枝の手水鉢 たたいて お金が出るならば みなさん身請けを それたのみます」(英語の原文ではローマ字)
泥の鐘をたたいた男と、つぼの中身
- 無間山の近く、大井川のほとりに、遊びほうけて財産をなくした農家の男がいました。男は庭の泥で無間の鐘の模型をつくり、「大金を!」と叫びながらたたいてこわします
- すると地面から、白い着物で長い髪をたらした女があらわれ、ふたのついたつぼをさしだしました。「あなたの熱心な願いに、ふさわしくこたえに来ました」
- 男は大よろこびで家にかけこみ、妻と2人でつぼを開けました。中には、ふちまでいっぱいに——
- 「いや、何がつまっていたかは、どうしても言えない」。八雲は、こうして話を終えています

プレ男中身を言わないのがいちばんこわい!でも、欲ばった男にはぴったりの「こたえ」だったんだろうな。

小泉八雲の「鏡と鐘」では、心からさしださなかった母の形見の鏡だけが、炉の中でどうしても溶けませんでした。
まとめ
- 「鏡と鐘」は、小泉八雲『怪談』(1904年)の話。舞台は遠江の国・無間山
- 鐘のために出した母の形見の鏡を後悔した妻。その鏡だけが溶けなかった
- 妻は「鐘をこわした人に大金を」と書きのこし、人々は鐘を鳴らしつづけ、鐘は沼に沈められた
- 「なぞらえる」:梅ヶ枝は手水鉢を鐘に見立ててたたき、300両を得た
- 泥の鐘をたたいた男のつぼの中身は、「言えない」
- 『怪談』のほかの話は安芸之介の夢、青柳のはなし、お貞のはなしもどうぞ
参考文献
- Lafcadio Hearn. Kwaidan: Stories and Studies of Strange Things(1904年). “Of a Mirror and a Bell”. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/1210 (閲覧日:2026年10月5日)
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