
メル美生まれ変わって、好きな人にまた会いにくる話なんだって。

プレ男『怪談』なのに、こわくないの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、小泉八雲『怪談(Kwaidan)』(1904年)の「お貞のはなし(THE STORY OF O-TEI)」です。英語の原文をProject Gutenbergで、田部隆次の日本語訳を青空文庫で読みました。
どんな話?
| 題名 | お貞のはなし(THE STORY OF O-TEI) |
| 作者 | 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン) |
| 収録 | 『怪談(Kwaidan)』1904年 |
| 舞台 | 越後の国・新潟の町と、温泉の村伊香保 |
| 登場人物 | 医者の息子長尾長生、許嫁のお貞 |
- 英語の原文では、はじめの舞台が「province of Echizen(越前)」と書かれ、あとでは「Echigo(越後)」と書かれています。田部訳ではどちらも越後です
「この世で、また会えます」
- 長尾は医者の息子で、父の仕事をつぐための勉強をしていました。小さいころから、父の友人の娘お貞と婚約していて、長尾の修行が終わったら結婚することになっていました
- ところがお貞は体が弱く、15歳のとき、田部訳で「不治の肺病」(原文では consumption)にかかります
- お貞は長尾をよんで言います。「このよわい体では、よい妻にはなれません。生きたいと願うのは、わがままです。でも、また会えると思います」
- 長尾が「極楽(浄土)で会おう。そこにはわかれの苦しみはない」と答えると、お貞はやさしく首をふります。「いいえ、浄土ではなく、この世で。あなたのいまの一生のうちに。ただ、私はもう一度女の子に生まれて、大人にならなければなりません。15年、16年……長いですね。でもあなたはまだ19歳です」
- 長尾が「別の体、別の名前で、どうして君だとわかるだろう」と言うと、お貞は「それは神さまと仏さまだけが知っています。でも、あなたが受け入れてくれるなら、きっと帰ってこられます」と言い、目を閉じました

プレ男15歳で、「生きたいと願うのはわがまま」なんて…。
仏壇に納めた約束
- 長尾は、お貞の名を書いた位牌を仏壇にまつり、毎日そなえものをしました
- そして、「別の体でもどってきたら、結婚する」という約束を書き、判を押して封をし、位牌のわきに納めました
- でも長尾はひとり息子だったので、家族の願いでほかの人と結婚します。お貞の位牌へのそなえものは続けましたが、お貞の面影は、思い出しにくい夢のように少しずつうすれていきました
17年後、伊香保の宿で
- 年月のあいだに、長尾は両親を、そして妻とひとり子を亡くし、ひとりぼっちになります。悲しみを忘れようと、長い旅に出ました
- ある日、温泉と美しい景色で名高い山の村伊香保の宿に泊まると、給仕に出た若い娘の顔を見て、胸がとどろきます。お貞にそっくりだったのです
- 長尾が名前と生まれをたずねると、娘は、忘れられない、亡くなった人の声で答えました
- 「私の名はお貞です。あなたは私の許嫁、越後の長尾長生さんです。十七年前、私は新潟で死にました。あなたは、私が女の体でこの世に帰ってきたら結婚するという約束を書いて、判を押し、仏壇の位牌のわきに納めました。それで、帰ってまいりました」(田部訳)
- そう言うと、娘は気を失いました
そのあと
- 長尾は娘と結婚し、その結婚は幸せでした
- けれども娘は、伊香保で自分が何と答えたのかを、二度と思い出せませんでした。前の世のことも、何ひとつおぼえていません。出会いの一瞬だけ燃えあがった記憶は、また暗くなって、そのままだったのです

メル美約束を守って、ちゃんと帰ってきたんだね。こわいどころか、泣ける話。

小泉八雲の「お貞のはなし」で、お貞は15歳で不治の肺病にかかり、「この世で、また会える」と言い残して亡くなりました。17年後、伊香保の宿で、生まれ変わったお貞が長尾に名乗ります。
まとめ
- 「お貞のはなし」は、小泉八雲『怪談』(1904年)の話
- 医者の息子・長尾の許嫁お貞は、15歳で不治の肺病にかかり、「この世で、また会える」と言い残した
- 長尾は「生まれ変わったら結婚する」と書いた約束を、仏壇に納めた
- 17年後、伊香保の宿で、お貞にそっくりな娘が「私の名はお貞です」と名乗り、気を失った
- 2人は結婚して幸せに。でも娘は、前の世のことを何もおぼえていなかった
- 『怪談』のほかの話は青柳のはなし、十六桜、おしどり、小泉八雲の『怪談』もどうぞ
参考文献
- Lafcadio Hearn. Kwaidan: Stories and Studies of Strange Things(1904年). “The Story of O-Tei”. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/1210 (閲覧日:2026年10月5日)
- 小泉八雲(田部隆次訳). お貞のはなし(底本:小泉八雲全集第八卷 家庭版、第一書房、1937年). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000258/card59735.html (閲覧日:2026年10月5日)
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