
マジ男待ち合わせのとき、寒そうだったから温かいお茶を買っておいたんだけど…。こんな小さなこと、意味あったのかな。

デア子え、それはうれしいと思うよ。でも、した側はそう思わないものなのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、ちょっとした親切が、受けとった人にどれくらい届いているかを調べた心理学の研究です。2023年にアメリカ心理学会の学術誌「Journal of Experimental Psychology: General」に載った、クマールとエプリーの論文「A little good goes an unexpectedly long way」の原文(著者が公開している版)をもとにまとめました。デートの研究ではなく、知らない人・友だち・家族などへの親切を調べたものです。
どんな実験?
8つの実験のうち、主なものです。
- 実験1a:シカゴ大学のMBAの学生106人が、2日のあいだに、だれかに好きな親切をしました(コーヒーを買う、車で家まで送る、花を届ける、お菓子を焼くなど)。相手には、あとでアンケートに答えてもらいました
- 実験1b:大学で集めた100人が、だれかにちょっとしたメッセージのカードを書いて郵送しました
- 実験2a:シカゴの公園のスケートリンクで、75人が、もらったホットチョコレートを自分で飲まずに、近くにいた知らない人にあげました
- 実験2b:実験室で、初対面の相手に、チョコレートやお茶などの小さな品を1つ選んであげました
どの実験でも、した側は「相手はどれくらい喜ぶか」「この親切はどれくらい大きなことか」を予想し、受けとった側は、実際の気持ちを答えました。
わかったこと(1):した側は「小さなこと」、受けとった側は「大きなこと」
- 実験2a(ホットチョコレート):親切の「大きさ」を0〜10で答えてもらうと、した側は3.76、もらった側は7.00でした
- 実験2b(小さな品):した側は2.67、もらった側は7.27でした。品物の値段の見積もりは、両者でほとんど変わりませんでした(3.45ドルと3.95ドル)
- 実験1a・1bでも、した側は、自分の親切を、受けとった側より「小さなこと」と見ていました
わかったこと(2):相手は、予想よりいい気分になっていた
- ふだんとくらべた気分(−5〜+5)を、した側が予想し、受けとった側が答えました
- 実験2a:予想は2.73、実際は3.52
- 実験2b:予想は2.08、実際は3.47
- 実験1a・1bでも、受けとった人は、した人の予想よりいい気分になっていました
- 「相手が気まずく感じるか」は、実験1aでは予想より気まずくなかったものの、実験1b・2bでは差がありませんでした。論文も、気まずさは場面によってちがうと書いています

デア子品物の値段は同じくらいに見ているのに、「大きさ」の感じ方がこんなにちがうんだ。
なぜ、ずれるのか
- 論文は、受けとった人のうれしさは、品物そのものに加えて、「自分のためにしてくれた」というあたたかさから生まれると考えています。した側は、品物のほうに目が向き、このあたたかさの分を見落としがちだというのです
- 実験3では、公園で同じカップケーキを、「知らない人が自分で食べずにくれた」場合と、「実験のお礼として、実験者から受けとった」場合で比べました。実験者から受けとった場合は、予想と実際のずれは見られませんでした。「親切としてもらった」ときに、ずれが出やすいということです
- 実験1aでは、親切をした人の多くが「ふだん、こういう親切を思っているほどはしていない」と答えていました。論文は、相手の喜びを低く見積もることが、親切をためらわせているのかもしれないと考えています(実験5a・5b)

この実験では、親切をした人は自分の行いを小さく見積もり、受けとった人は予想よりいい気分になっていました。うれしさは、品物だけでなく「自分のためにしてくれた」あたたかさからも生まれると考えられています。
デートに当てはめると
研究からいえることは、次のくらいです。
- 飲みものを用意しておく、ちょっとした品をわたすなど、自分では「小さなこと」と思う気づかいも、相手には思ったより大きく届いていることがある(実験1a〜2b)
- うれしさは、値段の高さより「相手のために」という気持ちから生まれる部分がある(実験2b・3)
- 一緒にいるときの気分が「また会いたい」につながる話は、一緒にいると気分がよくなる人は、また会いたいと思われる?、気持ちを言葉で伝えることは、ほめ言葉は、思っているよりずっとうれしいの記事もどうぞ
注意したいこと:
- デートの研究ではありません。相手は、知らない人・友だち・家族などで、アメリカの大学や公園での実験です。婚活中の相手に同じことをして、同じ結果になるかは、この論文からはわかりません
- 実験1a・1bは、受けとった人の一部しか回答していません(論文もこの点にふれ、全員が回答した実験2a〜4でも同じ結果だったと書いています)
- 気まずさについては、結果が実験によってちがいました。初対面に近い相手に高価な品をあげることなどを、この研究がすすめているわけではありません
- ごちそうするか割り勘にするかの考え方は、初デートのお会計の記事もどうぞ

マジ男高いものじゃなくても、相手のことを考えたちょっとしたことでいいんだね。気にしすぎないで、またやってみよう。

デア子わたしも、してもらったら「うれしかった」ってちゃんと言葉で伝えよう。
まとめ
- 親切をした人は、自分の行いを「小さなこと」と見ていた(ホットチョコレート:した側3.76・もらった側7.00)
- 受けとった人は、した人の予想よりいい気分になっていた(予想2.73・実際3.52)
- うれしさは、品物だけでなく「自分のためにしてくれた」あたたかさからも生まれる
- ただし、デートの研究ではない。気まずさの結果は実験によってちがう
参考文献
- Kumar A, Epley N. A little good goes an unexpectedly long way: Underestimating the positive impact of kindness on recipients. Journal of Experimental Psychology: General. 2023;152(1):236-252. doi:10.1037/xge0001271. 著者公開版:http://www.kumar-amit.com/s/Kumar-Epley-in-press-A-little-good-goes-an-unexpectedly-long-way-JEPG.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- PubMed. A little good goes an unexpectedly long way: Underestimating the positive impact of kindness on recipients(PMID: 35980709). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35980709/ (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

